高市ネオファシズム政権との闘いを強めよう
高市首相は「台湾有事」発言を撤回し、対中戦争準備をやめよ

[1]自民党圧勝の危険性と「民意」との乖離――闘いはこれから

「ネオファシズム連合」による大政翼賛体制の危険
 衆院総選挙の結果、国会情勢は激変し、労働者・人民にとって極めて困難で危険な状況が作り出された。自民党が316議席を獲得し戦後初めて単独で2/3議席を超えた。絶対安定多数どころか、自民党単独で参院否決法案を再可決でき、衆院で改憲発議の必要議席数を獲得した。維新を含めた与党で352議席、実に衆院の3/4を上回り、やりたい放題の圧倒的支配体制である。
 他方で、中道改革連合は当初の3割を下回る壊滅的惨敗となった。共産・れいわ・社民の左派・リベラル勢力はわずか5議席で存続の危機に陥った。その結果、自民・維新、参政、国民、みらい等、公然と改憲を唱える極右・保守の改憲勢力、いわば「ネオファシズム連合」が衆院の9割近くを占めるという事実上の大政翼賛体制が確立した。戦後日本政治史上かつてない歴史的事態であり、西側先進諸国においても類例を見ない異常事態である。
 日本金融寡頭制支配層の司令塔である経団連は、高市圧勝を歓迎し、社会保障切り捨て・負担増、経済の軍事化、原発推進を要求した。

小選挙区制の根本的欠陥で歪められた「民意」
 しかし議席数だけ見て判断するのは誤りだ。高市自民党の圧勝と国会支配そのものが、現実とはかけ離れた虚構だからである。
 何よりも第1に、得票率と議席数の極端な乖離である。小選挙区制の根本的欠陥を直視しなければならない。自民党の得票率は比例区で約36.7%、小選挙区を含めた全体でも4割程度に対して、議席数は約68%を占める。投票率56.26%を考慮すれば、全有権者の2割程度が自民党に投票したに過ぎない。有権者の圧倒的多数が高市自民党を支持しているわけでもなく、ましてや「白紙委任」などではないのだ。議席数に絶望するのではなく、その根底にあるこの真実を冷静に見据えて、即刻闘いを始めよう。
 第2に、徹底的な争点隠しと野党の自壊である。高市自民党は、選挙を「高市信任投票」にすり替え、メディアとSNSを総動員して選挙争点をことごとく押し隠した。若年世代を中心とする「刷新感」「変えてくれそう」といった現在の閉塞状態からの漠然たる期待を利用し、高市早苗個人に感情動員した。これは決して強いものではない。これに対して、戦争法反対と原発反対を放棄した中道改革連合は、高市自民党と対決する争点をあえて外し、自民党と変わらない政策を提起し、改憲反対、対中戦争反対、原発再稼働反対の人々の支持を失い、自壊した。
 第3は、反中・嫌中プロパガンダによる煽動だ。選挙戦自体が異様だった。中国の脅威が繰り返し煽られ、排外主義が覆う中で、メディアは高市礼賛報道に終始し、対中強硬姿勢を唱える高市支持を高める要因の1つとなった。
 選挙結果は、現実の「民意」を反映したものではない。それは徹底的に歪められ、押し隠されたのである。自民圧勝の翼賛体制は、極めて脆弱である。高市政権が推し進めようとしている改憲・対中軍国主義、排外主義と治安弾圧体制強化、人民生活破壊政策は、労働者・人民の不満と怒りを高めずにはおかない。現在の自民党による国会支配を突き崩すことは十分可能である。われわれは、人民大衆の切実な要求、戦争ではなく平和、軍事費を人民生活へ、消費税減税・廃止と生活防衛、等々を粘り強く大衆世論に働きかけていこう。絶望することなく、大衆運動を強めよう。

[2]「中国と戦争する国づくり」を阻止しよう

改憲阻止の闘いに取りかかろう
 高市が選挙で打ち出した「あらたな国づくり」なるものは、安保政策の全面強化やスパイ防止法などを軸とする中国と戦争する国づくりだ。高市はそのため、改憲への野望を表明した。緊急事態条項、9条改悪による「国防軍」「自衛隊」明記等で、自衛隊を文字通りの軍隊とし、戦時の人権制約を条文化するものだ。目下の高市政権の目論見は、反中宣伝を強め、憲法審査会での議論を活性化させ、2年半後の参院選での改憲派2/3の議席獲得によって一気に改憲国民投票へと持ち込むことだ。改憲反対の世論と運動づくりに早急にとりかからなければならない。

軍事費急増と対中戦争準備のエスカレーションを許すな
 総選挙後の通常国会の最大の焦点は、来年度予算案だ。すでに25年度予算で補正予算を含めて軍事費GDP比2%を2年前倒しで達成した。来年度予算に9兆353億円、3.8%増を要求しさらなる増額を目指している。高市は「安保三文書」の改定をトランプに約束し、対中戦争準備態勢とそのための戦争国家化をさらに新しい段階に引き上げようとしている。中国本土を射程に入れたミサイルの大量配備と「敵基地攻撃能力」獲得、VLS装備原潜や空母導入、非核三原則の放棄と核持ち込み、軍需産業の「国有化」と本格的育成、武器輸出の5類型撤廃と無制限の拡大等々、これまでと比較にならない危険な内容だ。最重要の課題は、軍事費増と対中戦争準備の加速化を阻止することである。高市「台湾有事」発言を撤回させ、日中平和友好への転換を迫ろう。靖国神社参拝に反対し、日本の加害責任を徹底的に追及しよう。

戦争国家化のための反動・治安弾圧の法整備、体制作りに反対する
 スパイ防止法制定が、当面の焦点の一つになる。高市首相は、中国と戦争をするために、市民監視と情報収集・分析のための「国家情報局」や対外情報庁(日本版CIA)の設置、スパイ防止法など、対中情報戦と国内監視・治安弾圧強化のための体制構築・法整備に本格的に動き出そうとしている。「国旗損壊罪」は、日本国家への国民の忠誠を強制し、「非国民」をあぶりだすためのものだ。外国人規制と排外主義の強化は、中国人を標的にした投資規制が一つの焦点になっている。

社会保障・人民生活切り捨て、人民への犠牲転嫁の国債発行をやめよ
 軍事費増の負担は、増税と社会保障・人民生活の切り捨てとなって人民生活にのしかかる。2027年1月から軍事費増税で所得税額に1%付加される。だがGDP比2%は出発点に過ぎない。3.5%、5%という対米公約を実現するとなればさらに10兆円~20兆円規模の増税が不可避だ。
 来年度予算案では、社会保障費は自然増を低く抑え込まれ、高額療養費制度の改悪や介護保険サービス改悪等で一層の人民負担が課せられる。さらには「尊厳死」「家族会議」等の議論によって、「終末期医療」費の削減が狙われている。
 われわれは国債発行にも反対する。膨大な国債残高はすでに人民生活を苦しめており、さらに必ず次世代の大増税となってはね返る。現役世代のみならず子や孫の世代まで負担を強いる国債発行は許されない。「責任ある積極財政」に反対しよう。

[3]下からの大衆運動を強化し、高市ネオファシズム政権と対決しよう

大衆運動で政治を変えていこう
 今回の選挙で忘れてはならないのは、日本では人民の日常的な大衆運動が決定的に弱いことだ。野党は選挙しかせず、連合指導部は経済闘争すらせず、地域運動は衰退している。欧米では、右傾化の下であっても、人民運動も労働運動も地域運動も健在である。大衆運動で政治を変えていくことを改めて人々に訴えていこう。権力とカネを持つ自民党・財界に打ち勝つにはそれしかない。

対中対決、野放図な積極財政は危機と矛盾を深める
 「安倍一強」をもしのぐ「高市一強」は、自民の慎重派や野党の批判をも封じこめ、独裁的な権力を行使する危険を高める。中長期的な覚悟で高市政権との闘いを構築していく必要がある。自民圧勝をもたらした「高市人気」、刷新感や変革のイメージへの若者の支持を変えていくには、時間をかけた粘り強い闘いと世論への働きかけが必要だ。
 高市政権は盤石ではない。G7で唯一トランプに傾斜し中国と対決する外交政策は必ず破綻する。経済的にも72年以来最悪となっている日中関係のさらなる悪化、中国との貿易関係の悪化を通じた日本経済への打撃、放漫財政によるインフレ促進と円安、トリプル安の可能性、それによる人民生活の悪化等々が現れるのは不可避だ。「高市人気」の虚構をはぎ取るために闘いを強めよう。

生活への不安・怒りを反改憲・反軍拡へ
 一方では、低賃金と不安定雇用にあえいでいる若者や底辺労働者が、政治への関心を持つ暇さえなく、投票所に足を運ぶことさえできていない実態がある。他方では、生活悪化や不安定雇用への不安や怒りが、政府と支配層ではなく、外国人や高齢者などに向けられ、これがとりわけ若年層を「ネオファシズム連合」への支持に向かわせている状況がある。このような状況下で、打ち捨てられ、最も苦しんでいる人たちの要求をくみ取り、足元で大衆運動を闘っていくことが必要だ。同時に、中国脅威論、差別・排外主義、世代間対立の煽動、終末期医療の打ち切りや「尊厳死・安楽死」を唱える優生思想、自己責任論、歴史修正主義等々との闘いを強化しなければならない。
 すでに欧米諸国ではイタリアでのパレスチナ連帯のゼネストやドイツの徴兵制反対の高校生ストなど、大規模な形で、被抑圧民族との連帯と人民生活との結合が生み出されている。まだまだ日本では小さいが、高市政権に対する危機感と不安が確実に広がっている。選挙戦では、「#ママ戦争を止めてくるわ」がXトレンド1位になった。高市政権の対中戦争準備と軍国主義化、経済・人民生活破壊が、日本の労働者人民の覚醒にかならず繋がっていくだろう。
 高市政権の軍事費突出、対中戦争準備、生活破壊反対の大衆運動を強化しよう。大衆運動と世論の力で野党を突き上げよう。高市ネオファシズム政権を追いつめよう。


2026年2月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました