[1]高市発言は「台湾有事」先制攻撃宣言
(1) 高市首相は11月7日、歴代の現職総理が誰一人として口にしなかった「台湾有事は日本有事」論を開陳し、対中侵略戦争の野望を露わにした。就任後わずか2週間でネオファシズム政権の本性をむき出しにした。まるで台湾を日本の領土のように扱い、中国が台湾を統一すれば武力侵攻すると宣言したのだ。それは台湾統一を許さないという究極の内政干渉である。アヘン戦争以来の中国人民の悲願である「台湾統一」の全否定であり、「核心的利益の核心」に手を突っ込んだのである。(【解説】台湾は「核心的利益の核心」/両岸統一は中国人民の悲願)しかも中国軍の演習に挑発的に接近し付きまとい、レーダーでの退去警告を受けて大騒ぎし、反中・嫌中の興奮状態を作りだした。危険なのは中国のレーダー照射ではなく、中国軍演習に挑発接近したことだ。高市首相は発言を撤回し、責任をとって辞任すべきだ。
そもそも高市発言は、国際法違反の侵略行為発言であり憲法9条違反である。台湾は国連でも国際法でも中国の領土だと認められている。だから「ある国が攻撃された場合、第3国が防衛に参加する」という集団的自衛権の条件を満たさない。従って、台湾の対米武力支援要請も、それを受けた米軍の集団的自衛権行使も、米中の交戦をもってする日本の集団的自衛権行使も成り立たない。発動すれば米日両国とも国際法違反の侵略行為となる。「急迫性」要件も、米軍がわざわざ中国の庭先に戦力を展開しているのだから正当防衛の根拠とはならない(朝日新聞12月4日、宮崎礼壹・元内閣法制局長)。もちろん日本単独の集団的自衛権発動についてもありえない。
ここから高市発言は2つの危険を暴露した。第1は、米日両政府が現在準備を加速する「台湾有事」での米日共同先制攻撃も、その中で日本と自衛隊がより主体的役割を担うことも国際法違反の侵略行為であり、憲法9条違反なのである。第2は、高市首相が答弁の後半で述べたのは、「台湾有事は日本有事」と断じ、米日共同ではなく日本が単独で先制攻撃する(敵基地攻撃)ということである。これも当然、違法な侵略行為であり、憲法9条違反だ。この第2は、安倍|麻生|高市と続くネオファシストの政治的野望である。米日が共同の先制攻撃準備を加速する中での単独先制攻撃発言を、過去に中国を蹂躙した他ならぬ日本が宣言したのだ。中国側が戦前の暗黒時代を想起し怒りと危機感を持つのは当然である。
(2) 日中は1972年の国交正常化以来最大の深刻な緊張関係に入った。天皇制ファシズムによって甚大な被害を受けた中国は即刻反撃と対抗措置に打って出た。首脳会談の拒否、政府・外務省に対する抗議、対日渡航自粛や水産物輸入中止、民間交流中断などだ。
ところが、政府と自民・維新の与党、参政党など極右勢力、メディアが一斉に、この対抗措置が「威嚇だ」「脅迫だ」と逆切れし、高市発言を正当化し、言論封殺に出ている。発言撤回と日中関係正常化を話すだけで袋叩き状態だ。
高市政権高支持率の決定的要因の一つは、野党の体たらくだ。立憲は対中超軍拡・対中戦争で自民党と違いはない。立憲の野田代表はそもそも尖閣国有化で日中関係を悪化させた張本人だ。先の党首討論で首相が「発言は言わされた」と言い逃れしたのを、破廉恥にも「事実上撤回した」と擁護するに至った。日本維新も国民民主も参政党も自民党と同じだ。
高市発言の撤回を要求しているのは日本共産党、れいわ、社民党である。ただし共産党は「けんか両成敗」の態度で、中国に対して自制と対抗措置の撤回を要求している。
高市首相自身が発言を撤回する可能性は極めて低い。ネオファシスト勢力に依拠し、国会が翼賛状態にあるからだ。われわれ反戦運動の側は、現在の国際情勢と国際的力関係から、高市政権をめぐる階級的諸矛盾がどのように先鋭化するかを冷静に見る必要がある。
[2]社会主義中国の「戦後国際秩序」をめぐる全面的外交戦と高市包囲網
(1) 高市発言は、世界の大激動期――社会主義中国の劇的な台頭とグローバル・サウスの集団的台頭、米帝と西側帝国主義の覇権の劇的没落――の真っただ中で発せられた。外交不在の高市政権にとって予想外の事態となった。本来なら高市を即座に支持するはずのトランプが表立って支持しなかったのだ。トランプ政権は高市どころではない。対中関税戦争が挫折し、究極のレアメタル制裁で屈服し、10月の米中釜山首脳会談で「休戦」せざるを得なかった。トランプの支持率は36%にまで下落している。来年の訪中と米中間選挙に向け大豆・農産物の対中合意取り付けを優先し、中国と正面対決できない(参照:高市ネオファシズム政権と闘おう)。
対中対決を叫んできたヨーロッパ勢も中国の経済・貿易力の前に妥協し始めている。マクロン大統領は訪中し、「一つの中国」を支持した。高市発言を表立って支持できる状況にはない。韓国も「台湾有事への自国軍の関与に反対」と、日本と距離を置いている。
中国政府はこのような国際的力関係の下で、一気に外交戦で高市政権を包囲し、孤立させ始めた。これにより高市発言は国際問題となった。中国政府は、国連事務総長あてに書簡を送り発言撤回を迫った。中露外相会談では、「日本の極右と再軍備に共同で対処する」ことを確認した。さらに、日本の非核三原則見直し議論にIAEA関係者や海外メディアから「核不拡散体制を弱める」との懸念が相次いでいる。ハーグ化学兵器廃棄会議で中国は、731部隊が遺棄した化学兵器の廃棄を強く迫った。2007年の完了予定をサボり続けているからだ。
折しも今年は反ファシズム戦争勝利80周年・抗日戦争勝利80周年であり、国連創設80周年である。中国政府は、反ファシズム戦争の勝利と終結の国際法的決着と戦後の出発点である国連創設、ナチス・ドイツと並ぶ天皇制ファシズム敗北の歴史的意義を全世界に訴え始めた。高市政権の対中強硬路線は自らの国際的孤立を深めるだけだ。
反ファシズム戦争の勝利は、国連創設と国連憲章を通じて、集団安全保障、主権平等、武力不行使・領土保全、紛争の平和的解決、自決権・脱植民地化、人権尊重、経済協力といった戦後国際秩序の原則を生み出した。多くの不十分さを抱えつつも、それは世界反ファシズム戦争と全世界の労働者・人民、民族解放運動が勝ち取った歴史的獲得物である。
にもかかわらず、米帝を先頭に西側帝国主義諸国は、戦後一貫して侵略戦争と植民地主義的介入を繰り返し、軍事・外交・経済のあらゆる側面から国連憲章の諸原則を蹂躙し、戦後秩序を踏みにじってきた。
日本軍国主義復活、日本ファシズム復活が、現実の国際政治の対決点となったのは、戦後初めてのことだ。軍国日本の復活は中国にとって特別の意味を持つ。駐日中国大使が厳しく批判したように、①反ファシズム戦争の勝利にもとづくヤルタ・ポツダム体制の否定、②日中共同声明などで確認されてきた「一つの中国」原則の否定、③台湾植民地支配の正当化と再侵略の宣言という三重の意味で、戦後国際秩序そのものを破壊する公然たる挑戦なのである。
(2) 第1に、中国は国連憲章の旧敵国条項を現実の政治課題として国連に提起した。この条項は、かつてのファシズム国家である日本・ドイツ・イタリアが再び侵略政策に乗り出した場合、国連創設国である中国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア(旧ソ連)が、安保理の事前許可なしに軍事行動をとる権利を認めた条項だ。日本政府は、即刻この条項は「死文化した」と主張したが、これはデマだ。外務省が言う1995年、2005年の国連総会決議は、その削除の「検討」「願望」に言及しただけで、実際には条文はそのまま残っている。
第2に、カイロ宣言(1943年)、ポツダム宣言(1945年)、日本降伏文書(1945年)を柱とするポツダム体制が、台湾・琉球を含む対日処分の枠組みを定めた戦後国際秩序の重要な構成部分だということだ。それは、中国の台湾に対する主権、日本が奪取した台湾等を返還する義務、戦後の対日処分原則を確定した。反ファシズム戦争の勝利は、国連憲章だけでなく、対日処分と領土処理等の具体的取り決めの総体としてポツダム体制に結実しているのである。
戦後秩序は、台湾の地位と帰属を法的・政治的に確定した秩序でもある。「台湾は中国の一部である」という「一つの中国」論は、こうした歴史的経過を背景に、日中共同声明(1972年)、日中平和友好条約(1978年)、二度の日中共同声明(1998年、2008年)で重ねて確認されてきた原則に他ならない。しかし高市首相は、サンフランシスコ平和条約(1951年)だけを持ち出して「台湾地位未定論」を振りまいた。サンフランシスコ体制とは、中国・ソ連・朝鮮・ベトナムなど主要な戦勝国を排除し、日本と西側諸国との間で結ばれた単独・片面講和であり、反共軍事同盟である日米安保条約と一体となって米帝主導の世界覇権体制の出発点となったものである。ポツダム体制と真っ向から対立する。
第3に、日本国憲法はポツダム宣言受諾と共に、日本が二度と侵略戦争を行わず、軍国主義に戻らないと世界に向かって誓った国際公約である。それを誠実に履行することは、敗戦国としての最低限の義務である。日本国憲法は単に国内問題ではない。戦後国際秩序の出発点なのである。憲法の国際的意義を再認識しなければならない。
(3) そもそも国連はなぜ創設されたのか、なぜ国連憲章の諸原則が打ち立てられたのかを、われわれは改めて一から学ぶ必要がある。それが中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利の甚大な犠牲の上に構築されたものだという歴史的かつ現代的意義を確認したい。
社会主義中国が主導するBRICS・SCOなどグローバル・サウス諸国は、その首脳会議宣言で、国連創設時・国連憲章に依拠する多国間主義の諸原則に則り、繰り返し帝国主義の侵略・介入・主権侵害への批判を明記している。この多国間主義秩序とは、戦後の出発点を取り戻すことなのである。
われわれは戦後史を、米帝主導の西側帝国主義の侵略と植民地主義の暴虐の歴史としてしか見なかった。今回初めて、中国による帝国主義の覇権主義との闘いが国連創設時の諸原則と国連憲章の復活と不可分に結びついていること、中国のBRICS・SCO創設と結束の意義を知ることとなった。戦後秩序とは、本来的・本質的には、過去のものではなく、日本軍国主義を含むファシズムと侵略戦争を断罪するものであり、米帝と西側帝国主義の侵略と植民地主義の戦後史に終止符を打つ原点なのである。
(4) 高市発言は日本軍国主義の侵略戦争と加害の歴史を呼び覚ました。これを反省・謝罪しないどころか、否定・歪曲に走る歴史修正主義は、戦後秩序の否定と一体のものである。「台湾有事」を口にしながら、日本が台湾を半世紀にわたって植民地支配し、暴虐の限りを尽くした事実は、完全に抹消されている。中国大陸だけでなく、台湾に対する加害と戦争犯罪の全貌を、われわれは徹底的に掘り起こし、暴き出していこう(参照:「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利80周年」特集(その2)にあたって)。
[3]高市軍国主義の歯止めなき暴走―対中共同先制攻撃と日本の能動性拡大
(1) 高市軍国主義は岸田軍国主義を大きく加速する。手始めは補正予算だ。軍事費GDP比2%の約束を2年前倒しして今年度達成するとした。小泉防衛相は台湾の目と鼻の先の与那国島を視察し、ミサイル配備を誇示し、非核三原則の破棄と、核兵器持ち込みと原子力潜水艦保有を公言した。明らかな挑発だ。さらに安保三文書前倒し改訂と「専守防衛」完全放棄、対中先制攻撃の長射程ミサイル大増強、軍事産業強化と武器輸出解禁、戦前の治安維持法に通じる市民監視強化のスパイ防止法などの反動化、憲法改悪等々が全面的に含まれる。高市首相が目指すのは全面的な戦争国家なのである。
そもそも首相自身が日本軍国主義復活、天皇制ファシズムと日本軍の中国侵略、植民地支配、大量虐殺を肯定し、戦争責任を全否定する歴史修正主義者であり、生粋のネオファシストだ(参照:高市ネオファシズム政権と闘おう)。このような中で高市首相が対中武力行使を明言したのだ。問題は、発言を裏付けるような対中先制攻撃計画の準備と超軍拡を急速に推し進めていることだ。
(2) この高市軍国主義は米帝の軍事戦略の転換に合わせるものだ。12月4日にトランプ政権は「国家安全保障戦略」(NSS2025)を公表した。近日中に軍事戦略にあたる「国防戦略」(NDS)も発表される。今回のNSSの最大の特徴はバイデン政権が世界中に拡大した「三正面戦争」が米国の軍事的・財政的能力の限界に突き当たったことを踏まえて、軍事的政治的戦略の優先順位を変更したことだ。従来中国を「唯一の競争相手」「最大の仮想敵国」としてきたが、それを変更し最優先課題を「米本土と西半球(南北アメリカ)」支配にシフトした。モンロー・ドクトリンの復活である。ラ米カリブから中露を排除し、自分の植民地主義的勢力圏として再編成するものだ。欧州については露骨にNATO諸国自身で防衛体制をつくれ、米軍は縮小すると記述する。インド太平洋については、対中経済競争に打ち勝つことに合わせて、これまでと同様に、台湾の「現状維持」(挑発的な武器供与と「曖昧戦略」)、第一列島線の防衛=中国の封じ込めを提起する。決して引くわけではない。代りに、今まで以上に日本、韓国等に軍事費と軍事負担、米軍への施設の提供などを要求する。岸田政権は、バイデン政権下で「台湾有事」で米国の腰が引けることを恐れて米国に対する一層の肩代わりを提案し米軍を引き留めようとした。これが22年の「安保三文書」だ。高市は今、米日共同での対中先制攻撃体制を質的に強化しようとしている。構想だけだった岸田政権から大胆に踏み出し、米日共同攻撃の中で日本がより主体的・能動的に関与し、そのために兵器・装備や軍事演習などで実態を持たそうとしているのだ。
(3) そもそも「台湾有事」とは、バイデン政権誕生直後の2021年3月に米上院公聴会で、元インド太平洋軍司令官デビッドソンが「27年までに中国が台湾を武力侵攻する」と発言したことが唯一の「根拠」だ。それは、台湾の民進党と独立勢力をけしかけて独立宣言をさせ、それを支援するために米軍が武力介入する話である。中国の戦略や作戦ではない。中国側は「平和的台頭」と「平和的統一」路線で一貫している。なぜその年に中国が侵攻しなければならないのか。全くのデマだ。ところが米日政府と西側メディアは一斉にこの「台湾有事」がさも真実であるかのように世界中に拡散し、日米両政府は「27年台湾有事」を目標に対中軍拡を加速した。
しかし、実際には、米帝の対中戦略は迷走している。第1に、中国の国力・経済力と防衛力が日増しに強大になり、一昔前のように軍事的に脅迫すれば簡単に相手が後退するという状況ではなくなった。全面戦争での勝利は不可能で、局地戦である台湾と海空戦闘しか戦略を立てられない。中国は米側の挑発に乗る必要もなく、自信を持って長期計画で一貫した「平和的統一」路線を前面に押し出している。しかも台湾国内では現状維持が多数派で、「独立宣言」できる状況ではない。
第2に、戦争国家アメリカの歴史的限界と衰退である。2021年に発足したバイデン政権は米帝国主義の財政力・国力を超える「三正面戦争」を開始し、世界中で戦火を拡大し始めた。ヨーロッパでは米・NATOのウクライナ「代理戦争」、中東では米=イスラエル共同でのガザ大虐殺戦争、そしてアジアでは前記の「台湾有事」だ。バイデン・ハリス民主党の大統領選挙での敗北の最大の原因は、この自国の疲弊と労働者・人民の悲惨な生活状態を顧みない戦争国家アメリカへの不満であった。
元統合幕僚長ら自衛隊出身者らによる「台湾海峡危機に関する机上演習」(2022年度)の結果は惨憺たる有様であった。米主力の空母などがグアム以遠に後退し、在日米軍の海兵隊・空軍の一部だけが自衛隊と共に戦い、一身に打撃を引き受ける台湾や日本は瓦礫の山になるとの結果が出ている。自衛隊は、その状況で米軍の主力が応援にかけつけるのを待つとのんきなことを言う。高市政権が軍事費増税と医療・社会保障の切り捨てで膨大な攻撃兵器を溜め込み、強行しようとしているのは、こんな自殺的・自滅的な戦争なのだ。
[4]日本は歴史的な岐路に―高市軍国主義の暴走を阻止しよう
(1) 高市政権と共に対中侵略戦争の破滅の道を進むか、これに立ち向かい日中平和共存・日中友好への道を切り開くか――われわれは歴史的な岐路に立っている。今こそ高市軍国主義と闘うべき時である。長期に及ぶ困難な闘いとなる。
一見すれば、高市政権の暴走を止める諸力は国内にはないかのように見える。しかし、社会主義中国の国力の増大とグローバル・サウスとの結合による米帝と西側帝国主義の衰退が生み出す国際的力関係の変化は、必ず高市政権の国際的孤立と動揺を引き起こす。日本の高い対中貿易依存の下での中国の対抗措置が日本金融資本の経営に打撃を与え、米国に発動したようにレアメタル制裁に及べば、高市政権と財界=金融資本の間にも亀裂が走り得る。
確かに、一方でこのまま野党が対決しない状況が続けば、人民大衆の絶望がさらに深まり、逆に参政党や保守党などネオファシスト政党にさらに向かうことは避けられない。しかし他方で、高市政権の基盤は脆弱だ。対外矛盾が国内の階級諸矛盾に転化するだろう。労働者・人民の不満と怒りの可燃物は着実に蓄積している。対中超軍拡・超軍事費増による大衆増税と医療・社会保障切り捨ては、実質賃金の超長期低迷とインフレ・物価高で貧困に苦しむ労働者・人民の生活悪化と相俟って、我慢の限界が来るだろう。自公与党を過半数割れに追い込んだ人民大衆の不満を生み出す状況は何も変わっていない。財政大盤振る舞いは将来の消費税大増税を招き、「サナエノミクス」による円安は物価高につながる。
(2) われわれ反戦運動の任務は重大だ。当面、5つの重要課題に全力を挙げよう。第1は、高市辞任要求を浸透させる中で、高市軍国主義の度外れの危険、米日共同先制攻撃において日本が主体的・能動的役割を果たす危険、日本列島の壊滅と全国民を犠牲にする対中戦争の暴走を広く訴えること。これを日中平和友好と結び付けること。第2に、高市軍国主義反対と生活防衛を結合し、軍事費大幅削減、消費税廃止・大幅減税、法人税・富裕層への大幅増税を掲げて闘うこと。第3に、高市軍国主義反対と、スパイ防止法や国旗損壊罪など反動化攻撃反対と結合して闘うこと。第4に、高市軍国主義との闘いを差別・排外主義反対、人権擁護と結合して闘うこと。第5に、憲法改悪阻止を前面に押し出すこと。
真っ先に声を上げ行動に出たのは、学生と若者たちである。発言撤回を要求する官邸前行動には、若者を中心に1700人が結集した。野党も反戦・護憲運動の中央組織も動かない中で、市民運動として各地で火の手が上がり始めている。差別・排外主義に反対し、強制送還反対、入管法、日本軍「慰安婦」など人権問題で関心を高め、運動に参加する若者が確実に増えている。各地の反基地・弾薬庫反対の運動も粘り強く闘い続けられている。
メディアの中でも少しずつ前向きの変化が現れ始めた。外国人差別・排外主義の高まりへの危惧、集団的自衛権行使の違法性の指摘などに敏感に反応し、確信を持って声を上げ行動する人々も増えつつある。非常に困難な状況だが、地域・学園をはじめあらゆる持ち場から、粘り強く世論に働きかけ、下からの大衆運動を積み重ねていこう。
2025年12月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局
