高市ネオファシズム政権と闘おう
○超軍拡・民生切り捨ての補正予算案反対
○対中反戦と人民生活防衛を結合して闘おう

(1)対中超軍拡と生活切り捨ての補正予算案に反対する
 政府は17兆7000億円もの巨額の補正予算・総合経済対策を閣議決定し、年内成立を狙っている。これは超軍拡・民生切り捨て予算だ。われわれは断固反対する。
 第1に、1.7兆円の軍事費を追加した対GDP比2%の前倒し達成だ。第2に、独占資本へのくれてやりを「危機管理投資支援」の名目で認めた。これは軍需産業、資源・エネルギー安全保障など準軍事「経済安全保障」への大盤振る舞いだ。第3に、物価高・人民生活対策予算はなしとなった。決定的に重要な消費税減税は拒否された。逆に政府与党は、軍事費急増のための所得増税を打ち出した。最低賃金1500円を撤回した。OTC類似薬の保険外し、労基法破壊の残業規制撤廃=労働時間規制緩和も盛り込まれた。第4に、補正予算の半分以上を11兆6000億円もの国債発行で賄おうとしている。赤字国債の野放図な発行により、今後、政府支配層が消費税大増税で人民に転嫁するのは間違いない。
 補正予算案・総合経済対策での高市の目論見を打ち砕かなければ、医療・社会保障の切り捨てと人民負担増が益々エスカレートするだろう。

(2)高市の軍国主義化・反動化の危険を暴露しよう
 高市首相は、「台湾有事」発言の撤回を拒否し、さらなる対中戦争準備と反動化へと突き進もうとしている。これまでの自公政権の一線を一気に超えようとしている。「宣戦布告」宣言で支持率を上昇させ、メディアと一体となって中国の対抗措置を「威嚇だ」「恫喝だ」と、大衆の間で反中・嫌中イデオロギーを煽り立てている。
 安保三文書の改訂作業が始まっている。「敵地攻撃能力」確保のための長距離ミサイルの大量配備と弾薬庫建設、軍需産業の保護育成、武器輸出の5類型撤廃と殺傷兵器の輸出の解禁、VLS装備原潜導入、非核三原則の見直しによる対中核対決の最前線化、等々。
 人民監視・人民弾圧のスパイ防止法案が急浮上している。首相は参政党と国民民主党の法案提出を受けて本気でやる気だ。高市政権は国家情報局や対外情報庁(日本版CIA)や国旗損壊罪など反動化と国内治安体制強化を狙っている。民族排外主義を煽り、外国人労働者への差別と蔑視、外国人排除の法整備を声高に叫んでいる。
 参院では憲法審査会が開かれ、改憲案の起草が極右政党から提起された。日本国憲法がファシズムの復活を封じ込め侵略戦争を二度と繰り返さないという中国とアジア諸国人民への公約であることを、改めて思い起こすべきだ。

(3)高市政権のネオファシズム的性格と危険性
 高市政権はネオファシズム政権である。少数与党となった自民党内の最も極右的反動的な部分を糾合し、緩衝材の役割を果たしてきた公明に代えて極右政党である維新の会と新たに連立を組み、参政党、国民民主党をはじめとする同類の極右政党を利用し、立憲が右旋回する中で、軍国主義的・反動的政策を次々とエスカレートさせている。
 自民・日本維新は突如、定数削減法案を国会に提出した。今国会で強行する構えだ。結論が出なければ「自動削減」するという乱暴なものだ。少数野党を切り捨て民主主義を葬る与党独裁法案である。絶対に許してはならない。 何よりも高市首相自身が純粋なネオファシストだ。今後もあらゆる場でその本性が出るだろう。彼女は衆院議員になって以降、安倍元首相に傾倒し、靖国参拝強行、露骨な改憲発言、侵略戦争の誤りを認めた村山談話を追及するなどの歴史修正主義推進の張本人であり、民族排外主義と外国人排除、日本会議や統一教会、ネオナチ団体との関係等々のファッショ的信条と経歴を誇ってきた。4月には台湾を訪問して今回の発言の伏線を敷いた。
 政権中枢にも多くのネオファシストが群がる。極右の木原稔官房長官や小林鷹之政調会長、反中の「日本ウイグル国会議員連盟」や「日華議員懇談会」の会長である古屋圭司選対委員長、元警察庁長官の露木康浩官房副長官、国対委員長と首相補佐官を兼務する維新の遠藤敬、そして閣僚には「外国人排除」を信条とする小野田経済安全保障相、南京大虐殺はデマと主張する松本洋平文科相等々。ほぼ全員が極右団体日本会議国会議員懇談会や神道政治連盟国会議員懇談会に加盟している。

  

(1)財界は軍需産業の復活と武器輸出解禁で成長を目指す
 日本資本主義はバブル崩壊以降、深刻な超長期停滞(超長期慢性不況)に陥っている。なぜか? 金融資本、独占資本は低賃金と非正規雇用で莫大な利潤を獲得しながら、国内で設備投資をせず、雇用も海外に流出しているからだ。労働者・人民、特にその底辺層ほど窮乏状態にある。個人消費も超長期低迷に陥るのは当然だ。
 金融寡頭制支配層はこの難局をネオファシズム政権によって強行突破しようとしている。財政拡張による対中超軍拡と軍需産業の復活が柱である。岸田政権を受け継ぎ軍事費倍増で安定的な兵器開発・生産の予算を前倒しし、旧財閥系の三菱や川重などの軍需独占体の復活を国策にし、武器輸出を解禁する。グローバル金融資本の司令塔・経団連が今年7月、「わが国の防衛装備移転のあり方に関する提言」を出した。しかし、今の超長期停滞を軍需で脱却するなど妄想に過ぎない。

(2)金融寡頭制支配層の社会主義中国に対する階級的恐怖
 高市政権は、財界=金融独占資本が全面支持している。なぜか?金融資本の無謀な軍事大国復活追求の背景には、2010年に中国のGDPが日本のGDPを超えたという「中国ショック」がある。戦後、アジアの経済大国として君臨してきた日本帝国主義の足元がぐらついたのだ。これが中国・アジアを主な収奪源泉とする日本の金融資本支配層全体の階級的恐怖となった。社会主義中国が奇跡的な持続的成長を達成し、グローバル・サウスを自己の周りに結集させ、米帝一極支配、米帝主導の西側帝国主義の覇権を根底から脅かし始めたのである。新植民地主義支配と途上国収奪体制を直撃しようとしている。軍事覇権だけではなく、ドル・金融覇権やハイテク覇権もG7の政治覇権も掘り崩され始めた。これが米欧日を含む西側帝国主義が、その原動力である社会主義中国を叩き潰そうとする帝国主義的衝動となっている。帝国主義日本は、中国と直接対峙する地理的条件から中国攻撃の先兵となり、中国を武力で封じ込めることで、帝国主義陣営内での地位を大幅に向上させようとしているのである。

(1)高市政権の危険性を訴え、高支持率を覆そう
 高市政権の高支持率が続いている。高支持率が続く限り、メディアがこれを増長させる限り、野党がこれを支持し、攻めあぐね続ける限り、高市のやりたい放題と軍国主義と反動化攻撃は益々エスカレートする。これをどこからどう切り崩していくのか。高市政権を守勢に追い込む諸条件は二つある。
 一つは、高市のネオファシスト的危険性をどこまで大衆に訴えることができるかだ。若者の間で高市の危険性はほとんど理解されていない。補正予算案については前述した。来年度予算も露骨な超軍拡・人民切り捨て予算となるだろう。
 何よりも高市発言が何を意味するかを語ることだ。それは自衛隊が「台湾有事」を口実に「米日共同先制攻撃」することである。中国の反撃を日本が一手に引き受け、日本列島全体が火の海になり焦土と化し、膨大な死傷者を出す日中全面戦争である。これを歴代自民党政権が計画し、先制攻撃兵器の調達から日米軍事演習まで着々と準備してきた。ところが、こんな恐ろしい冒険主義的戦略を国民には一切知らせず、メディアもそれを知りながら押し隠してきたのである。これを全面的に暴露する必要がある。反戦運動の任務は重大だ。
 とりわけ若者への宣伝が鍵を握る。ドイツやフランスのように若者が真っ先に戦争に駆り出される危険がある(参照:ドイツ軍国主義復活~徴兵正反対の「高校生学校ストライキ」)。高市発言を支持するということは、日中全面戦争につながるということを訴えよう。そのためにも、天皇制日本の過去の侵略戦争の歴史を改めて知り、特に中国に与えた加害の実態を一緒に学ぼう。戦後の日中関係の歴史と真摯に向き合おう。われわれ自身がまだまだ知らなさすぎる。

(2)対中反戦と人民生活防衛は一体~日中平和友好を訴えよう
 もう一つは、対中貿易に大きく依存する日本資本主義が、日中対立と対抗措置の拡大の下で、経済危機を招き、人民生活にその影響が及ぶことは必至だということである。日中貿易なしに、日本の経済も人民の暮らしも成り立たない。
 30年以上にわたるバブル崩壊後の超長期停滞の下で、かろうじて日本資本主義が底割れせずにきたのは対中貿易が構造的に組み込まれてきたからだ。この構造は、一方で金融資本が対中貿易による収奪で莫大な利潤を獲得してきた。これは「内部留保」で金融資本を肥え太らせただけであった。しかし他方で、人民生活が底割れしなかったのは、中国から安価な生活必需品や耐久消費財などを輸入してきたからだ。人民生活は中国の労働者から多大な恩恵を受けていることを理解しなければならない。
 現時点では農水産物、インバウンド、コンサート、文化交流に過ぎないが、今後日本企業の貿易品が対抗措置に含まれれば、様々な生活必需品や耐久消費財の価格が上がるだろう。それが高市のインフレ・物価高無策、医療・社会保障切り捨てや所得税・消費税増税など人民生活切り捨て・負担増政策と結びつけば、大衆の熱狂や幻想は剥落するはずだ。
 すでに反撃が始まっている。首相官邸前では、抗議集会が開かれ若者を中心に1700人が結集した。対中反戦平和と人民生活防衛を不可分一体のものとして、結合して闘っていこう。

2025年12月5日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

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