石破新政権と闘おう!
対中戦争準備、改憲、増税・切り捨て、原発再稼働を許すな

能登の復興支援は後回し 党利党略の解散・総選挙

 石破新政権は、戦後最短のわずか8日で衆議院を解散し、10月27日投開票の総選挙に打って出た。石破首相は、「予算委員会で論戦して解散」「政治資金不記載議員の公認は徹底議論」「選択的夫婦別姓」「原発ゼロ」等、自民党総裁選での約束をすべてかなぐり捨てた。新政権発足の「刷新感」で少しでも支持率が上昇した機会を利用して裏金問題、統一教会問題等に関係した議員の「みそぎ」を済ませ、一連の事件のもみ消しをはかるためである。党利党略であることは、誰が見ても明らかである。それでも強行しなければならないほど、自民党政権の腐敗の闇は深い。
 何よりも許せないのは、新年の大震災に続き9月21日の集中豪雨によって再び激甚災害に見舞われた能登半島への復興支援と対策を、この党利党略で後まわしにし続けていることだ。選挙期間と新内閣発足まで被災地域への対策は後まわしにされ、支援に当たるべき人も避難所となる公的施設も選挙のために動員される。今、最優先されるべきは、被災地への緊急かつ十分な支援と早期の生活再建のための人的財政的対策の立案と実行である。

まるで岸田政権ー軍事最優先も裏金・政治腐敗も丸ごと継承

 発言をころころ変える石破首相は、早くも野党やメディアから集中砲火を浴びている。石破政権への世論の不信感も広がり始めた。石破首相は「アジア版NATO」「日米安保の改正=対等関係」などを持論として主張し、9月17日の沖縄・那覇市での演説会で「私は日米地位協定の見直しに着手する」と言い切ったが、10月4日の所信表明では「日米同盟を基軸に友好国、同志国を増やす」などと前言を撤回し、「地方創生」「若者・女性の機会を守る」「ルールを守る」など抽象論に終始した。しかしこれこそ、破綻し退陣に追い込まれた岸田路線の継承に他ならない。岸田前首相を退陣に至らせたのは直接的には「政治とカネ」問題による支持率急落と低迷であり、その根底には軍事最優先とそのための増税・収奪、人民生活悪化の自民党政治そのものへの不信がある。石破首相は、裏金と政治献金問題を追及するつもりはない。安倍元首相の殺害にまで至った旧統一教会との黒い関係も残ったままだ。その意味からも破綻した岸田政権の政策と体質をまるまる引きつごうとしているのだ。
 中でも石破首相が強い意欲を示しているのは、日米軍事同盟の強化と軍事力増強による対中戦争準備だ。これまで岸田政権のもとで進められてきた、軍事費倍増、対中攻撃力の大増強、南西諸島と日本列島の対中攻撃基地化、米軍と自衛隊の指揮統制機能の一体化、弾薬庫の新増設、武器輸出の強化、軍需産業育成などを全面的に引き継ごうとしている。原発・DX推進も岸田路線を継承する。内閣の布陣も、日米同盟と軍事政策最優先だ。岩屋外相、中谷防衛相はいずれも防衛族で防衛相経験者だ。石破氏は、総裁選の最中に台湾を訪問して中国の批判を招いた。連日反中宣伝がなされ、海自護衛艦による台湾海峡通過など、危険な対中挑発がエスカレートした。岸田前首相が次期政権に託した改憲も同様だ。石破首相は改憲について、9条2項(戦力の不保持)の削除と自衛隊を「軍隊」として明記することを主張しており、より好戦的な立場から自民党憲法改正実現本部の条文化作業と与野党の改憲議論を加速させる危険を高めている。中谷防衛相は自民党改憲実現本部リーダーで、「自民党憲法改正草案」策定時の委員長だ。

対中戦争準備の先兵の役割を担う危険

 石破氏が米紙に寄稿した「日本の外交政策の将来」で前面に掲げた「アジア版NATO」は、自民党内部や米国、さらにインド外相やASEANからも「荒唐無稽こうとうむけい」「非現実的」などと一斉に批判を浴びた。所信表明演説では、自らのその持論を封印した。しかし、この石破構想自体が、対中戦争準備を加速し、日本が先兵としての役割を担う衝動を強め、現実の危険性を高めていることに批判を集中しなければならない。
 石破首相は就任するやまっ先にバイデン大統領と電話会談を行い、日米同盟の連携強化と日本の軍事費倍増を約束した(参照:過去最大の2025年度軍事費概算要求)。中国を仮想敵とし、日本をウクライナに見立ててら対中戦争の先兵になることを想定している。安倍政権の集団的自衛権解禁、岸田政権の軍事費倍増方針の上に立って、日米韓豪比の緊密化、クアッドやAUKUSとの連携強化を進めようとしている。米国は、アジアの同盟国と欧州のNATO諸国をかき集め、アジア太平洋で中国と対峙させる動きを加速させている。英国やドイツなどアジアだけでなく欧州諸国との準軍事同盟化も進んでいる。日本が米国の核戦力行使・威嚇に公然と加担する「核拡大抑止協定」の議論が始まっている。今年中に日米の指揮系統が一体化され在日米軍に統一指令部ができる。急速に進む対中戦争準備の具体的な現れについて批判を強めよう。

軍事最優先で破壊されてきた人民生活

 長期にわたる自公政権の行き詰まりと破綻の結果が噴出している。軍事最優先、米国の戦争への加担、独占資本優遇のために、医療・社会保障・年金制度を破壊し、学校教育を破壊し、収奪と人民負担を限りなく強化してきた。消費税導入と法人税低減、介護保険制度創設、高齢者医療制度創設など、次から次に制度を切り崩してきた。金権政治と政治腐敗、深刻化する生活悪化、医療・社会保障・年金制度の破綻。介護制度の破綻。少子化、出産や子育て不安、教育費高騰、老後の不安、非正規労働者の激増と労働強化、雇用不安と不安定化等々。さらに日本経済の長期低迷からの活路を、経団連と一体となった軍需産業の育成と全面的な武器輸出に見出そうとしている。
 石破政権は、国民皆保険制度そのものを崩壊させる危険性がある健康保険証廃止とマイナ保険証への移行を11月末に予定通り強行する姿勢を崩していない。来年には運転免許証をひもづけるつもりだ。政府は後期高齢者の医療費3割負担の対象者を増やす方針を示している。石破新首相の誕生で、軍事費捻出のため「消費税15%」への警戒が一気に高まった。「労使自治」を名目に労基法改悪の動きもある。戦争動員体制のために通常国会で成立した地方自治法改悪、農業基本法改悪、セキュリティクリアランス法に続いて、民間の通信・情報を幅広く捕捉する能動的サイバー防護法も画策されている。このまま自公政権の存続を許せば、戦争の道を進み、戦争最優先に社会と国が改造され、中国との戦争準備に動員され、人民生活はぼろぼろに破壊されてしまう。

石破新政権と闘う運動を足元で組織しよう

 自民は支持率が低迷しているが、野党は保守化・右傾化を強め、対立軸を出せない状態に陥っている。野田氏が代表となった立憲は、日米同盟基軸を打ち出し、消費税減税や原発ゼロを選挙公約に盛り込まなかった。維新や国民との共闘を模索し、自民支持の保守層から票を獲得することで、自民と並ぶもう一つの保守政党をめざす意図を露わにし始めている。ナショナルセンター連合は「共産党」との共闘を攻撃し、選挙での野党共闘を各地で破壊する役割を果たしている。自民以外の選択肢を狭めているのが現状だ。急速に進む議会政治の翼賛化に対して批判を強めなければならない。
 しかし、労働者・人民の増税と生活苦への不満は蓄積している。足元では、数多くの粘り強い闘いがある。対中戦争準備が各地で進む中で全国の反戦反基地運動のつながりを形成する動きが進んでいる。原発再稼働阻止のための使用済み核燃料乾式貯蔵反対の闘いやむつ使用済み核燃料中間貯蔵施設反対闘争、反貧困と生活支援の闘争、非正規労働者の最賃引き上げ闘争、教科書改悪反対と日の丸・君が代強制反対の闘い、入管法改悪反対と入管制度そのものへの反対の闘い、障がい者の人権擁護や差別に反対する闘争、部落解放闘争、労働組合運動、LGBTQ差別に反対する闘いや女性差別に反対する闘い、等々がある。ガザ虐殺糾弾・パレスチナ連帯行動は、イスラエルの侵略から1年が経って、スタンディングや集会・デモの勢いは衰えず、イスラエルと日本の軍需産業との関係に矛先を向けた闘いが構築され、新たに若い人たちが運動に参加してくる状況にある。安倍元首相に続いて岸田前首相も「任期中改憲」を実現できなかった。憲法9条を守らせる運動と世論は、このような足元での地道な闘いの中で維持されてきたものだ。
 石破政権は早くも危機にある。「短命」「選挙管理内閣」などという声も出ている。選挙の顔として選出されたはずの石破自民党への支持率は日に日に低下している。選挙候補者の「裏金議員非公認」「原則公認」「一部非公認」と、世論と党内事情から右往左往し、石破政権の基盤の脆弱さを露呈している。
 戦争に血道をあげ、戦争準備を最優先し、金融資本と癒着し、人民生活を破壊してきた自公政権に闘いの矛先を向けて闘おう。大衆運動と世論の力で来る衆院総選挙で自民党を敗北させよう。首相をすげかえるのではなく、自公政権そのものに終止符を打とう。

2024年10月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

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