Ⅰ
[1]イランの不屈の抵抗の勝利。「停戦」を歓迎する
(1)米=イスラエルによるイラン侵略「12日間戦争」は終結した。西側政府・メディアは、あたかもトランプが喧伝し、彼の気まぐれとはったりのX投稿を垂れ流している。しかし、米国は侵略の当事者だ。「仲介者」の資格などない。元々、イランは米=イスラエルの侵略に応戦しただけで、侵略者が侵略をやめれば、応戦もやめるとの一貫した立場である。「停戦」は、一方的に侵略した米=イスラエルが一方的に侵略を停止したに過ぎない。だから、明確な「合意文書」もない。いわゆる独り相撲だ。
(2)6月13日に始まる米=イスラエルの対イラン戦争は、中東における反米・反帝の最前線で闘う主権国家イランに対する公然たる侵略戦争であった。彼らの最大の目的は、イランの政権転覆だ。トランプもネタニヤフも、最高指導者ハメネイ師の暗殺を繰り返し公言した。BBCに亡霊のようなパーレビ王朝の御曹司を登場させ、政権転覆を語らせた。トランプは、「なぜイランで体制転換が起きないのか」と嘆き、ネタニヤフも、「イラン政権の苛烈な専制政治に立ち上がれ」と煽動した。彼らは、イランを一撃すれば、体制は崩壊すると思い上がったのだ。
多数の子どもと女性を含む1000人以上が犠牲となり、負傷者は5000人近くに達した。フォルドゥ地下核濃縮施設やナタンズ核施設、イスファハン核施設、アラクの原子炉が爆撃され、防空施設、イラン国営放送や医療センター、保育所、通信網など民間インフラが攻撃され破壊された。軍参謀総長、イスラム革命防衛隊司令官、核科学者・技術者など国家と軍の中枢20人以上が殺害された。
6月22日には、米軍が参戦した。フォルドゥの施設に12発、ナタンズ施設に2発の超大型バンカーバスターGBU57を撃ち込み、イスファハンの施設には潜水艦から20発もの巡航ミサイルを撃ち込んだ。この攻撃にB2爆撃機を米本土から出撃させ、125機もの空軍機を参加さた。まさに、米=イスラエル帝国主義が襲いかかったのだ。
(3) イランは、この初期の打撃から1日も経たず態勢を立て直し、断固たる反撃に出た。イランのミサイルとドローンは、イスラエルの防空網を突破し、要衝を確実に破壊し、甚大な打撃を与えた。イスラエルへの防衛体制、軍事的反撃能力を見せつけた。テルアビブなど、主要都市がイランの反撃で多大な損害を受け、繰り返し空襲警報が鳴り響き、市民は防空壕に避難せざるを得なくなった。イスラエル国民にとって、ガザやレバノンやシリアなどを空爆し、大量虐殺してきたが、本格的な反撃を受けたのは初めてだった。ネタニヤフは被害をメディアで報道するのを禁止したが、どだい無理である。イラン攻撃当初の国民の勝利の陶酔感は瞬時にパニックと不安に変わった。
イランは6月23日、カタールの中東最大の米軍基地にも報復攻撃を加えた。トランプは、イラン政権転覆の野望は無理と判断し、イラン側の計算された冷静沈着な事前通告に「感謝」し、「一撃離脱」を決めた。米帝主導の「三正面戦争」が持続する中で、さらなる中東での戦火拡大は、軍事的にも政治的にも財政的にも限界に来ている。トランプの有力支持層からも反発が広がった。
イランの果敢な報復攻撃と防衛力が、米=イスラエル帝国主義の軍事的危機をもたらし、「停戦」に追い込んだのである。彼らは、イランが長期にわたる軍事挑発と要人暗殺、政権転覆策動、制裁と経済的圧殺で弱体化したと高をくくった。「独裁国家は脆弱だ」と思い上がった。西側メディアはこの「イラン崩壊論」で世界中の人々を騙した。しかし国内に様々な階級矛盾を抱えながらも、イランの政府と人民は反米=反イスラエル、独立と主権死守で彼らの想像を超える団結、勇気と不屈の精神を発揮した。
今回の「停戦」はイランの勝利である。われわれは、これを歓迎する。同時にそれは、中国、ロシアを先頭に政治的外交的対抗軸で支援したグローバル・サウスの勝利であり、イラン侵略に反対した世界的な反米・反帝の反戦運動の勝利である。
[2]イラン侵略反対運動とパレスチナ連帯運動を結合して闘おう
(1) ガザに再び焦点を当てよう。飢餓と餓死の限界が迫っている。ガザ全面占領と大虐殺をやめさせ、ガザ封鎖解除を実現させ、食糧を入れさせよう。全面的封鎖によって、極度の食糧不足、医療破壊が起こり、5~7万人の子どもの重度栄養障害、未就学児の急性栄養失調はこの3ヶ月間で3倍になり、小児・乳幼児の栄養失調が急拡大している。
イラン侵略はガザ大虐殺戦争をめぐる国際的非難から目を逸らせらせることも目的の一つであった。実際、ネタニヤフ政権は、世界がイラン空爆に目を奪われる中、援助大虐殺=民族浄化を一気にエスカレートさせた。6月13日にガザ地区「70%立入禁止」と宣言し、以後住民移動を制限し、援助拠点と隊列に攻撃を繰り返した。5月27日に始まった「死の罠」作戦による虐殺の犠牲者は、6月13日のイラン侵略以降、270~440人(負傷者は約3000人)と、それまでの110~245人(同1000人)とくらべて大幅に増大した。
われわれは、似非人道機関「ガザ人道財団」(GHF)の解体・解散を要求する。それは飢えた住民を食糧をエサにおびき寄せ、その配給場所で銃を乱射し撃ち殺すための「死の罠」だ。人道援助の大原則は取りに来させるのではなく、届けるものだ。われわれは、食糧配布を国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)などの国際人道団体に戻すことを要求する。「援助の兵器化」を許すな。
(2) イランの反撃と勝利は、イスラエルの飢餓戦略で苦しい立場にあるハマスなどパレスチナ抵抗勢力を勇気づけ、ゲリラ戦を活発化させ、敵に甚大な打撃を与えている。
全世界でパレスチナ連帯運動に再び火がついている。オランダ、ベルギー、英国などで連日数万~10万人規模の大規模デモが再燃している。封鎖解除、武器輸出停止、停戦実現と合わせて、自国政府の加担・共謀中止の要求が前面に出ていることが大きな特徴だ。BDS(ボイコット・投資引き上げ・制裁)運動も新たな展開を見せ始めた。軍事スパイウエア反対、学術ボイコットと協力凍結、イスラエルと取引する商品ボイコットが急速に広がっている。イスラエル製品撤去は、イタリアの大手生協、英国の生協グループなど欧州全域へと拡大している。
イランは、なぜ米=イスラエルから目の敵にされているのか。それは、パレスチナ解放と抵抗勢力を支持し、「抵抗の枢軸」支援を通じてガザ大虐殺戦争に真っ向から対抗しているからだ。だから、イラン侵略反対とパレスチナ連帯は不可分一体のものである。
イラン侵略に反対する闘いとパレスチナ連帯運動を結合し、侵略者米=イスラエルを徹底的に追いつめていこう。石破政権は結局は、米=イスラエルのイラン侵略を支持した。われわれは、国際法・国連憲章違反の侵略、原子力・核施設攻撃を支持した日本政府を厳しく非難する。
Ⅱ
[1]「イラン核兵器開発」のでっち上げを徹底して暴露しよう
(1) 米=イスラエル帝国主義は諦めていない。トランプは再び、「再空爆」を主張し始めた。依然として彼らは、「イラン核兵器開発」なる作り話を焦点化するつもりだ。トランプやG7は、「イランはテロリスト国家で、核兵器の開発を目指し核の脅威だ」と攻撃し、侵略を正当化するが、全くのでっち上げだ。
第1に、イランは、最高指導者ハメネイ師が2003年にファトワ(布告)で「核兵器開発をしない」と宣言している。イスラム国家イランでは、これは絶対的な指示である。第2に、核兵器に必要な高濃度(90%以上)のウランは保有していない。60%程度のウランしか持っていない。基本的に民生用の核濃縮を行っているだけだ。しかもこれまで国際原子力機関(IAEA)の査察と監視を受け、秘密にしていなかった。最近のIAEAの報告でも60%濃度のウラン量が増えたと言っているに過ぎず、核兵器を開発しているいかなる指摘もしていない。イランの核武装は切迫していたというのは真っ赤なウソだ。
しかし、彼らはイランのこの「平和的原子力開発」を、「イラン核兵器開発」にすり替え、イラン政権転覆の口実にし続けているのだ。それは、「大量破壊兵器」をでっち上げイラクに侵略し、「化学兵器使用」をでっち上げシリアを侵略したのと同じ手口だ。
(2) トランプはイランと交渉を再開すると言うが、そもそも前提条件が合わない。トランプは、「平和的原子力開発」の禁止を要求し、イランは「平和的開発」を国家主権だとして断固推進する構えだ。時が来れば、トランプとネタニヤフは再び、侵略を開始するだろう。
米=イスラエルに侵略の責任を取らせなければならない。やり得は許されない。何よりも、今回の核施設への爆撃を謝罪させなければならない。イランの憲法守護者評議会は、核不拡散条約を放棄することなく、IAEAが核施設の安全な条件を保証するまでIAEAとの協力を停止すること、イランの施設の安全と平和的な核活動を保証しない限り、IAEA査察官の立ち入りを禁じることを決めた。これがイラン側の再交渉の前提条件だ。米=イスラエルの核施設攻撃を厳しく非難していないことをIAEAに謝罪させなければならない。当然のことだ。
ところがIAEA事務局長グロッシは、傲慢にも、イランに対し、移動したとされる濃縮ウランの所在と核施設の破壊状況を査察すると圧力を加えている。
[2] イスラエルに核査察を入れろ。IAEAの犯罪を暴露しよう。中東に「非核兵器地帯」を設置せよ
(1) 核兵器を保有し、周辺国を核で脅迫しているのは、イランではない。イスラエルだ。イスラエルは中東唯一の核武装国である。イスラエルを建国した直後から核兵器計画を始動させ、1960年代にディモナに原子炉を建設し、1967年の第三次中東戦争で実戦配備したと言われている。1973年の第四次中東戦争で「予防攻撃寸前だった」と暴露されている。
米帝主導の西側帝国主義は、イスラエルを中東石油の植民地主義的略奪・支配のための「前哨基地」と見なし、核武装させ、空軍機で周辺国を空爆し、大量虐殺しまくり、CIAやMI6などの諜報機関と一体化した残忍極まるモサドを繰って暗殺やテロ、政権転覆を好き放題させ、最新ハイテク産業進出と巨額の財政支援によってこの凶暴な軍事ファシズム国家、虐殺国家を人為的に作り上げてきた。そしてイスラエルの最終手段は「存亡の危機」を理由にした核攻撃なのである。
だから中東諸国は1970年代から、イスラエルの核兵器をどう封じ込めるかに取り組んできた。ところが、西側諸国は、イスラエルへのIAEAの核査察を阻止し、核保有そのものを西側メディアが絶対に扱わないことで一致した対応をしている。
(2) IAEAの犯罪性が明らかになった。米=イスラエルによる今回のイラン攻撃にIAEAグロッシ事務局長が公然と加担したのだ。イランが押収したIAEAの秘密文書がグロッシ事務局長と米=イスラエルの結託、事務局長がどのように米=イスラエルの指示で動いているかを暴露し始めた。この直後に、イスラエルが突如イランに攻撃したのだ。イスラエルの核兵器から、イランのありもしない「核問題」に争点を逸らせるが目的だったことは明らかだ。
米=イスラエルの指示を受けたグロッシは、イスラエルのイラン攻撃前日12日に、イラン非難決議を強行し、侵略に突破口を開いた。だが、ここでの「核兵器開発の疑い」なるものは、今から20年以上も前の、イランがすでに廃棄した古い計画だった。許し難いのは、攻撃初期の多数のイラン核科学者の暗殺に、グロッシが名前と居場所をリークした疑いがあることだ。膨大な秘密文書は、今回のイラン侵略で一旦、後景に退いたが、再び焦点に浮上するはずだ。
(3) イスラエルに対する核査察は不可能ではない。国際的認識は進んでいる。2022年10月、イスラエルに核兵器の放棄と核施設を国際原子力機関(IAEA)の監視下に置くことを求める決議案が採択されたのだ。これに反対したのは、米国、イスラエル、カナダなどわずか5カ国だけだ。
「イランの核兵器開発」問題を真に解決するのは、米=イスラエルによる「武力解決」ではないことは明らかだ。新しい平和的な道を探究しなければならない。それはイラン政府・議会のIAEAに対する「中立性」要求がきっかけになるかもしれない。IAEAとグロッシが侵略に加担した後は、もはや従来通りの米・イランによる「核交渉」は不可能である。それは、中国やロシアと中東諸国が支持する平和的解決への道だ。
それは、第1に、イスラエルを核不拡散条約(NPT)体制に加入させ、核査察を入れ、特権的な核保有を破棄させること。第2に、そのために米と西側によるイスラエルの核査察妨害を阻止すること。第3に、中東に「非核兵器地帯」を設置すること。これである。イランはこれを支持している。
もちろん、「非核兵器地帯」は、米主導の西側帝国主義がイスラエルを支持する限り、また米帝の常習的な中東での侵略戦争が続く限り、不可能に近い。しかし、方向性は明らかだ。
*注:「非核兵器地帯」とは、条約等の国際約束により,特定の地域において、域内国が核兵器の生産,取得、保有、配備及び管理を行うことを禁止することによって作り出される「核兵器のない地帯」を意味する。この付属議定書には、域外国である核兵器国(米国、ロシア、英国、フランス及び中国)が域内国に核攻撃しないことが含まれる。
Ⅲ
[1]放射能汚染を引き起こす原子力・核施設への攻撃を糾弾する
今回の米の参戦は、核施設への攻撃、原子力施設への危険極まりない攻撃であった。前例のない米軍による3つの核施設同時攻撃。ウラン濃縮施設への破壊攻撃は、濃縮ウランの飛散、地下水汚染など深刻な被ばくと放射能汚染を引き起こす。それは、周辺住民のみならず中東全域に放射能汚染と恒久的環境破壊の脅威を与える危険性があった。イスラエルも、イラン侵略で繰り返し、原発と核関連施設を空爆した。これらすべてが明白な戦争犯罪である。「危険な力を内蔵する工作物等」への攻撃を厳格に禁じた国際法(ジュネーブ諸条約追加議定書I・第56条)違反だ。
G7・西側政府・メディアはこの戦争犯罪を非難せず、むしろ支持・容認した。あろうことかトランプは6月25日のNATO首脳会議で、イラン核施設攻撃を広島・長崎への原爆投下になぞらえ、「原爆で戦争を終結させた」と正当化した。許し難い暴言である。被団協は即刻非難した。米の原爆投下は、戦争終結とは無関係の、戦後冷戦を見据えた大量虐殺兵器の人体実験である。われわれはこれを糾弾する。そしてこれを非難しない石破政権を厳しく非難する。
[2]侵略者「不処罰」をやめさせる時が来た。侵略防止の国際的枠組みづくりを。
米=イスラエルの今回のイラン侵略をきっかけに、両国の「不処罰」(impunity)の長い歴史に終止符を打たなければならない。
そのためには、まずわれわれ反戦運動が今回の米=イスラエル侵略の責任、国際法違反・国連憲章違反を徹底的に追及することが重要だ。しかし、それだけでは不十分だ。侵略防止の国際的枠組みを作る必要がある。今こそ、中国やロシア、グローバル・サウスの出番だ。
――国連安全保障理事会は6月22日、イランの要請で緊急会合を開き、ロシア、中国、パキスタンが無条件の即時停戦、民間人の保護、国際法の順守、対話と交渉を求める決議案を提示した。
――BRICSは6月24日、米=イスラエルを非難する共同声明を出した。イラン侵略が国際法及び国連憲章に違反すること、平和的な原子力施設に対する攻撃が国際法及びIAEA関連決議に違反していることを非難し、紛争の平和的解決を求めた。その上で、「中東における核兵器その他の大量破壊兵器のない地帯を設立する必要性」を再確認した。
――その前6月23日、ベネズエラのマドゥーロ大統領は、西アジアを非核兵器地帯として確立することを目指すサミットを招集する提案をした。サミットは、中露とアラブ連盟、イスラム協力機構、湾岸協力会議、BRICSが共同で主導する。
すでに社会主義中国は、米国やG7帝国主義の侵略を防止する包囲網を作り、「国連改革」に取り組み始めている。「不処罰」を許さない体制づくりに、われわれの反米・反帝の反戦運動も注目し、支持していきたい。
Ⅳ
[1]イラン勝利、米=イスラエル敗北の歴史的意義
今回、イスラエルは本国自体が戦場になり、多大な損害を受け敗北した。これは初めてのことだ。イスラエルの敗北は2006年のレバノン侵攻以来だが、イスラエル国内が戦場になり敗北したのは、今回が初めてだ。
米帝にとって、今回の敗北は初めてではない。アフガニスタンから撤退し、イラクの占領支配も破綻した。ロシア打倒・解体のウクライナ「代理戦争」でも事実上の敗北状態だ。社会主義中国は着々と防衛力を強化し、「台湾有事」を画策する米日帝国主義に隙を与えない状況だ。
戦争国家は戦争で敗北することで没落する。米帝主導の西側帝国主義による「三正面戦争」は、今回のイラン侵略挫折を含め、中国-ロシア-イランの防衛力と政治的・外交的・経済的包囲網にはね返されたことになる。米帝の最も強大な軍事覇権が国際的な壁にぶち当たったのだ。膨大な軍事負担は、米国自身の国家財政破綻、連邦債務危機を爆発させドル・金融覇権をも脅かし始めている。ガザ大虐殺戦争と今回のイラン侵略は、誰が侵略者・虐殺者で、誰が侵略され虐殺される側かを全世界に明らかにした。西側の「自由と民主主義」「人権」の正体が剥がれ落ち始めた。メディア・文化覇権も崩れ始めた。米帝の5大覇権*が一つ一つ掘り崩されていく「新しい一時代」が到来している。
*注:米帝国主義の「5大覇権」とは、われわれの考えでは、「軍事覇権」、「政治覇権」(G7と様々な国際機関の支配)、「ドル・金融覇権」、「ハイテク覇権」、「メディア・文化覇権」を指します。
[2]社会主義中国主導のBRICS・SCOと共に歴史の進歩の側に立つ
米=イスラエル帝国主義のイラン侵略は、米・NATOのウクライナ「代理戦争」に続いて、BRICSや上海協力機構(SCO)の正式加盟国に対する初めての侵略であった。しかし、このグローバル・サウス機関は見事に試練に打ち勝った。それは、対イラン戦争であるだけでなく、対BRICS戦争でもあったのだ。これに対し、中国・BRICS・SCOは政治的外交的対抗軸を構築し、対峙した。
6月25~26日のSCO国防相会議で、中国国防相が米国を念頭に「一国主義と保護主義が増長し、覇権やいじめ行為が国際秩序に打撃を与えている」と主張し、「世界の戦略的安定維持」を訴えた。さらにイランが侵略された真っ只中の6月21~22日、イスラム協力機構(OIC)外相理事会の会合が開催され、中国との協力強化が謳われた。OICは多国間主義機関として国連に次ぐ世界第2の規模だ。OIC決議では、「イスラエルと米国によるイラン核施設攻撃は国際法違反である」と断じ、即時停止と責任追及を要求し、イランの自衛権を明記した。
米帝主導の西側帝国主義がその歴史的没落から逃れるための「三正面戦争」、世界帝国主義戦争に訴え、歴史を逆転させようとしている。これに対し、社会主義中国主導のグローバル・サウスが多国間主義的平和攻勢をかけ、歴史を前進させようとしている。われわれは、歴史的進歩の側に公然と立って闘う。
2025年6月28日
『コミュニスト・デモクラット』編集局