消費税大幅減税を 5%から廃止へ進め
軍事費を大幅削減し、困窮する人民に回せ

軍事費削減を争点にせよ 「聖域化」するな

 国会の現状は惨憺たる有様だ。最大の問題は軍事費削減問題であるべきだった。ところが立民ら野党は全く争点にしなかった。最重要の「企業・団体献金廃止」も与党の反対を突き崩せない。自公政権が30年ぶりに衆院で過半数を割ったにもかかわらず、予算・法案審議で、与党を追い詰めるのではなく、与党化を競い合い、まるで「大連立」が実現したかの如き様相を呈した。
 「対中戦争をやめ、日中平和友好を」がなぜ国会で争点にならないのか。軍事費は9.9兆円にのぼる(防衛省外を含む軍事関連予算)。22年の5.4兆円から、毎年1兆円以上を積み増している。野党はなぜこれを「聖域化」し「タブー視」するのか。なぜ「財源は軍事費だ」と言えないのか。非正規・正規を問わず低所得者がインフレ・物価高の中で生活危機にある。だから2000円のコメに殺到する。若者世代も氷河期世代も高齢者世代も押しなべて生活苦にある。なぜ、軍事費を削減し、困窮する人民に回せと言えないのか。
 われわれは、反戦平和運動、命と生活を守る大衆運動に取り組む中で、「軍事費を大幅削減し、困窮する人民に回せ」を争点にせよと訴え続ける。

根本的改革が待ったなしの農業と年金

 政府与党の誤った政策の結果、労働者・人民の命と生活を支えてきた農業、医療・年金・福祉などの制度が、財政危機と少子高齢化の下で破綻し始めている。これらの制度の抜本的建て直しについて、立民などはあえて追及しようとしない。

(1)新自由主義=農業解体農政を転換せよ
 石破政権は、小泉新農水相を就任させ、2000円指定の政府備蓄米放出で衆目を集め、都議選・参院選向けに内閣支持率の浮揚を図っている。小泉と自民党農水族の対立は八百長に過ぎず、備蓄米放出はあと数回で底を突く。単に減反政策をやめれば済むものでもない。そもそも生産者が激減しているのだ。
 今問題になっているのは、自民党の戦後農政の破綻、新自由主義農政の破綻である。農業は、戦後一貫して自民党・財界主導の対米従属重化学工業化優先政策の犠牲になってきた。1995年の食管体制廃止後、コメの生産を需給予測ギリギリにまで抑える「減反・減産」政策を農家に押しつけ、需給バランスがわずかに崩れるだけで価格が急騰する状態を続けた。小規模自営農家や伝統的な複合経営を切り捨て、農業輸出を奨励するために集約化・大規模化によるコストダウンを強要した。「政府補助金」でコメ以外の輸入飼料依存の養豚・養鶏への転換、果樹など「輸出競争」産品への単一化・専門化・大規模化を進めてきた。「諦めさせる農業」だ。
 昨年成立した改正食料・農業・農村基本法は、輸出拡大のための集約化・大規模化に加え、AI・ロボットによる「スマート農業」を謳った。それは独占資本(農業機械メーカー、IT企業など)を潤すだけだ。
 小規模自営農家、兼業農家を敵視し、切り捨てる、こうした新自由主義農政の結果、農業人口は持続不可能なまでに激減した。1960年に1175万人いた基幹的農業従事者(主に自営農業に従事している者)は2020年には136万人にまで88%も減少し、同200万戸あった専業農家は23万戸に減少させられた。この内の69.6%(94万人)が65歳以上である(農水省「農林業センサス」統計)。さらにその半数近くが75歳以上と言われている。2024年の同統計標本調査推計値では、基幹従事者111万人まで深刻化している。1960年に41万戸あった酪農家は僅か1万2千戸まで減った。結果、1965年に79%あった日本の食糧自給率(カロリーベース)は、2021年に38%(農水省統計)にまで低下した。畜産品では、国産飼料のみで生産する自給率は、卵(13%)、牛乳・乳製品(27%)、豚肉(6%)、鶏肉(9%)と驚くべき数値が並ぶ。
 今こそ、自民党・財界主導の新自由主義農政を根本的に転換すべきだ。労働者・人民の食を守るため、農業を産業の柱に位置づけ、所得保障と補助金に財政投入すること、とりわけ小規模自営農家、地方・農村を維持するための山間地農業へは手厚い保障が必要だ。

(2)マクロスライド廃止――最低保障年金制度の確立を
 自公政権の年金制度改正関連法案に、立民による「基礎年金底上げ」修正を法案本文ではなく附則に併記した修正案が、5月30日、わずか2日の審議で衆院を通過した。しかし、「底上げ」を実際に行うかどうかは不確かなままだ。2029年の「財政検証」の結果を待って判断するという。底上げ分の半分(2040年で5千億円、60年には2兆円)の国庫負担財源をどうするかもスルーされている。問題を先送りしただけの法案にわれわれは反対だ。メディアで「あんこ(底上げ)は匂いだけ」(朝日社説)と揶揄されるのも当然だ。
 われわれは年金制度の抜本改革を要求する。①「マクロ経済スライド」撤廃による年金減額の中止。②高額所得者の保険料の大幅増額。そのための厚生年金「標準報酬月額」の最高額引上げ。③「最低保障年金」制度の導入。そもそも、基礎年金が2057年には現行水準よりも3割も減額される理由は、「マクロ経済スライド」による給付調整により、基礎年金がこの年まで抑制され続けるからである。
 若者の年金負担軽減だけを問題にするのは誤りだ。厚生年金加入でも、就職氷河期世代、差別的低賃金の女性労働者など、加入期間が短く、標準報酬月額の低い労働者の厚生年金額も低く押さえ込まれる。今でも受け取り年金額が5万円前後しかなく生活ができない低年金者がいる。世代間対立を煽り、結局は10年後、20年後、30年後に生活保護対象者が増える最悪の状況になる。年金は労働者・人民の権利である。

軍事費大幅削減、「大企業・富裕層」増税で消費税減税を実現しよう

(1)「財源論」イデオロギーを批判し、財源論の呪縛を打破しよう
 今国会で与野党が口を揃えて強調したのが「財源論」である。高額医療制度論戦の際も、基礎年金の論戦の際も、与党はまるで自らは一貫して健全財政の守護者の如く、財源を示せと脅迫する。しかし、財政赤字は、自民党・財界のバラマキ政策が人為的に生み出したものだ。自民党は歳入と歳出の両面で、経団連など財界の言うがままに予算を編成してきた。無駄な公共事業や独占資本への大盤振る舞いに湯水のごとく予算を費消し、「大企業・富裕層」への超大型減税や優遇税制で財源を枯渇させてきた。1000兆円もの巨額の財政赤字の責任は自公政権と財界にある。彼らに「健全財政」「財源」を言う資格はない。
 1989年の消費税導入以来の税収総額が、社会保障のために使われたのではなく、同年以来の大規模な「大企業・富裕者」減税に使われたことは議論さえされない。三十数年で日本の所得再分配機能が破壊され、逆再分配構造(富裕層への所得集中)が生み出されたのである。彼らが溜め込んできたこの利益を吐き出せばいいのだ。ところが立民など野党までもが「財源論」に呪縛されている。「大企業・富裕者」を「聖域化」するな。
 政府・メディアは、相変わらず「消費税を減税すれば社会保障財源がなくなる」と脅迫する。しかし、消費税は「一般財源」である。社会保障だけに使われているのではない。また、「食料品消費税ゼロの恩恵を受けるのは高所得者だけ」とうそぶく。それなら、消費税そのものを廃止すればいい。彼らは、軍事費や「企業・富裕層」優遇税制や企業へのくれてやりに対しては、一切「財源」を言わない。人民生活を議論する時にだけ「健全財政」「財源」を持ち出す。彼らの階級的「財源論」イデオロギーを正面から批判しよう。

(2)「大企業・富裕者」大幅増税と合わせ消費税5%から廃止へ
 消費税をめぐる論戦でも財源論が国会論戦で最大の争点になっている。自民党も公明党も消費税減税反対を決めた。野党はいずれも、消費税減税の規模も期間も限定的で、財源を赤字国債という「未来世代への増税」や、社会保障費削減など、結局は労働者・人民に負担を強いる与党顔負けの「財源」を示す有様だ。立民はわずか1年限定の食料品0%と給付金2万円(外為特会剰余金)、国民民主は時限的消費税率一律5%(赤字国債)、維新は2年間の食料品0%(社会保障費削減)。れいわは消費税廃止だが、赤字国債、社民党は食料品0%(企業内部留保への課税)を掲げている。日本共産党は、これら野党とは異なり、「大企業・富裕者増税で消費税廃止に向け緊急に5%」である。
 われわれは、軍事費大幅削減と「大企業・富裕者」大幅増税で消費税減税から廃止へ進むことを要求する。そのためには、対中戦争をやめ日中平和友好に軍事外交政策を転換し、対米従属の日米軍事同盟から脱却し、日米安保体制を打破することが必要となる。巨額の軍事費を半減するだけで消費税5%削減は可能である。さらに軍事費を削減し、これと「大企業・富裕者」増税を組み合わせれば消費税の撤廃も可能である。
 消費税導入と社会保障切り捨て、対中戦争と対中軍拡、軍需産業の基幹産業化を推進しているのは、金融資本と金融寡頭制支配層である。彼らは法人税減税を要求し、長期にわたり労働者に低賃金を押し付け、医療・年金・福祉を切り捨て、膨大な利潤(内部留保539兆円)を蓄積してきた。平和を守り、労働者・人民の命と生活を守るため、反金融資本の反戦運動・反独占闘争を前進させよう。


2025年6月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

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