カラカスで反ファシズム世界フェスティバル
「反ファシズム・インタナショナル」を創設

 

世界反ファシスト国際フェスティバルの閉会式に出席した
マドゥロ大統領(2025年1月11日)  https://orinocotribune.com/

 マドゥロ大統領の就任式に合わせて、1月9~11日にカラカスで「反ファシズム世界フェスティバル」が開かれた。125ヵ国の代表ら2000人が集結した。最終日にマドゥロ大統領は閉会演説で、反ファシズム戦争勝利80年に際して世界的な団結を呼びかけ、この勝利は主に、ナチス・ドイツに対するソ連赤軍の努力と、日本帝国に対する中国人民の勝利の結果であると強調した。
 ベネズエラにとって、ファシズムとは、マドゥロ政権とボリバル革命を叩き潰そうとする米帝国主義とその手先=極右・反革命野党のことだ。ベネズエラだけではない。キューバもニカラグアも絶えず米帝の制裁と介入に苦しんでいる。米帝国主義がファシズムそのものなのだ。ブラジルではボルソナロが、アルゼンチンではミレイなどのトランプ支持のファシストが台頭している。ラ米カリブと世界でファシズムが抬頭し、いわば「ファシズム・インタナショナル」を形成している。しかし、反ファシズムの側は分裂し、孤立している。今こそ、「反ファシズム・インタナショナル」を創設しよう。これがフェスティバルの目的だ。既に77ヵ国が自国でそれを組織しようとしている。

最終決議で行動計画を提起

 このフェスティバルでは、第3回「国際コミュニケーション会議」や「ボリバル革命の継続、反ファシズム闘争、多極化」フォーラムが開催され、いくつもの分野別フェスティバルが行われた。「反ファシズム闘争における女性」「若者と学生:多極世界構築の先駆者」「社会運動とグローバルな大衆アジェンダ」「21世紀の労働組合主義と反ファシズム」「植民地主義とファシズムに対する先住民の闘争」などである。特に、国家主権に対する新自由主義的攻撃に対応する対策が議論された。閉幕式で発表された「最終決議」では、今後の取り組みとして次の諸点が強調された。・「反ファシズム・インタナショナル」の事務局を設置し、その支援のもとで、各国、各地域、各大陸において、その支部の組織化と強化を進めていく。
・「反ファシズム・インタナショナル」のシンクタンクの創設と実施。
・世界中の若者を、新しい世界の建設に取り組むリーダーとして育成する目的で、来たる3月に「新世界の苗床」トレーニング・キャンプを開始する。
・宗教界の「世界反ファシズム会議」を開催する。
・グローバル・サウスの政治教育学校の国際会議を開催する。
・各組織内の大衆基盤に反ファシズム運動を根付かせるために、地域社会のイニシアティブを発展させる。
・3月8日に「反ファシズム・フェミニスト・インタナショナル」を発足させる。
・我々の大陸の先住民による「世界反ファシズム会議」を開催する。
・ファシズムに立ち向かう法的・立法的戦略を確立するために、ファシズムに反対する法律家の世界会議を開催する。
・世界の人々に「反ファシズム・インタナショナル」を強化するよう呼びかける。
・2025年を平和、公平、解放の世界実現に向けた節目の年にする。

昨年9月からの準備活動が結実

 この反ファシズム運動はベネズエラが主導している。それは、米帝の封鎖・制裁による苦境から脱し、石油依存から脱却して必需品の自国生産を実現し、経済を回復させ発展させてきたことによって可能となった。ベネズエラは昨年9月10~11日に第1回「反ファシズム世界会議」をカラカスで開催した。国際組織創設の準備はそこから始まった。ロドリゲス副大統領は、「ファシズムが地球全体にその触手を広げるのを防ぐために、私たちは心をひとつにして団結しなければならない」と強調した。また、パレスチナはファシズムに抵抗する人々の表現であるとして、パレスチナの人々を称賛した。カベージョ内相は、ファシズムのグローバル化に対応するため、「反ファシズム・インタナショナル」の設立を提案した。さらに、11月4~5日には、「反ファシズム議会フォーラム」が開催され、議会の世界的なネットワークの創設が発表された。11月20~23日には「反ファシズム青年フォーラム」も開催された。この積み重ねの上に、遂に「反ファシズム・インタナショナル」結成につながったのである。


(小津)

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