編集局声明:
米帝主導連合軍によるアサド政権転覆を糾弾する
米・NATO、トルコのシリア分割支配を許すな

(1)米帝主導の「代理戦争」
 米帝国主義が突如、今度はシリアで牙を剥いた。米主導のイスラム原理主義シャーム解放機構(HTS)などテロリスト・グループが12月8日に首都ダマスカスに攻め込み、アサド政権を打倒した。バイデンとネタニヤフは「歴史的勝利だ」と大歓迎した。今回の事態が誰の階級的利益を代弁するかを表す。主力のHTSは元々「ヌスラ戦線」でアルカイダの分派だ。イドリブ県に逃亡しそこで米とトルコ、イスラエルに保護され、資金と食料と武器を与えられ訓練された部隊(ウクライナでも訓練された)で、数千人の外国人傭兵からなる。いわばテロリストを使った米帝の「代理戦争」だ。
 シリア人民は2011年以来13年もの間、四方八方から攻め込まれ、満身創痍の中で米帝の侵略に抵抗してきた。シリアはイラク、リビアと並んで、この地域で反米・反帝・反植民地主義国家として米帝に逆らい続けてきた。最初にフセインが公開処刑のように虐殺され、次にカダフィが処刑され、今度はアサドが追放された。残るはイランだけだ。
 れわれわれは、米帝主導連合軍によるシリア侵略とアサド政権転覆を糾弾する。アサド大統領はロシアに亡命した。それでも抵抗を続けるシリア人民を支持し、連帯する。
  
(2)イスラエル、トルコも参戦
 複数のテロリストやイスラエルやトルコを同時に動かせるのは米国だけだ。今回の侵略にイスラエルも参戦している。ゴラン高原からシリアに戦車で攻め込み「緩衝地帯」と称してシリア国土の占領分割を開始した。これで、なぜシリア侵略がレバノン停戦の翌日から始まったのかも納得がいく。戦線が伸びきったイスラエルがシリア方面で軍事活動するためだったのだ。
 トルコも参戦した。侵略に参加したシリア国民軍はトルコの傀儡だ。ユーフラテス川以東を支配し、今回デリソールなどに支配を拡大したシリア民主軍はトルコに対して武装闘争を続けるクルド民主統一党傘下だが、この地域でシリアの油田を占領し、資源略奪を続ける米軍と協力してきた部隊だ。
  
(3)米=イスラエルはアサド打倒で戦局転換を企図
 昨年10月以降のハマス・パレスチナ抵抗勢力による不屈の民族解放戦争によって米=イスラエルの中東軍事覇権・石油支配が根底から揺らいでいた。ガザ大虐殺戦争に反対し、パレスチナ人民に連帯するレバノンのヒズボラ、イエメン、イラク、イランから米=イスラエルに反撃が繰り返された。米=イスラエルは、軍事的行き詰まりを打開するために意表を突く戦局転換が必要だった。それがシリア侵略であり、アサド転覆である。

(4)13年に及ぶ米帝の「代理戦争」と経済制裁の打撃
 シリアの政府軍と民兵、ロシア軍、ヒズボラやイラン系民兵は侵略に対して抵抗した。しかし、シリア政府軍は不意打ちを食らい、多方面から一斉になだれ込む侵略軍に圧倒され、防衛線を引く間もなかった。
 シリアは内戦ではない。メディアは帝国主義の侵略を隠蔽するために、わざと「内戦」を吹聴し、米英やテロリストが自作自演で行った「化学兵器使用」をでっち上げ、「独裁者アサド」を喧伝し、侵略を正当化してきた。だが実際は、今回の侵略と同じ米帝主導連合軍が2011年以来、13年に及ぶ侵略と占領支配で国土を分割支配してきたのだ。
 2015年にロシアの支援で持ちこたえ、国家再建に奮闘してきたが、これを妨害したのが米・EU主導のシリア制裁だ。国家再建の原資である石油資源が米軍に略奪され、輸出できなくなった。制裁は戦争行為なのだ。外貨準備と国庫は底を突いていた。高いインフレと燃料不足、食糧不足に悩まされてきた。メディアは報道しないが、米はシリアの油田を直接軍事占領し、石油収入を略奪してきた。食糧生産地帯の多くも米・トルコ支援の反政府テロリストに押さえられてきた。

(5)侵略者によるシリアの分割支配は必ず破綻する
 最悪の事態は、侵略者の間で草刈り場になり、分割支配されることだ。米・NATOやテロリストにシリアの国家統一をする意思も能力もない。すでにシリア民主軍はトルコと衝突し、反政府グループと内紛を始めた。イスラエルも空爆と領土略奪を始めた。
 米・NATO・イスラエル軍の新たな出撃拠点になれば、中東の反米・反帝闘争、民族解放運動が危機に直面する。ヒズボラへの打撃はパレスチナの抵抗闘争と抵抗枢軸の打撃につながる。イランに対する軍事的脅威も高まる。多極世界の構築への逆流になりかねない。
 しかしわれわれは確信する。米国一極支配への対抗は止めることができない。米帝国主義はますます侵略的かつ凶暴になるが、その没落は歴史の必然だ。


2024年12月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

本紙第90号 2021年4月10日、国のシリア侵略戦争10年米軍はシリアと中東から全面撤退せよ 対シリア経済制裁を撤廃せよ https://communist-democrat.org/?p=2705

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました