「人道支援」を装い、銃乱射と無差別爆撃
6月8日(土曜日)、ヌセイラト難民キャンプ(ガザ地区中部)の人口密集地と市場は人々でごった返していた。そこにイスラエルの特殊部隊が突入・襲撃し、死者274人、負傷者698人以上の大虐殺を行ったのだ。救出ルートを確保するために、わざと戦闘機で爆撃し、ミサイルを打ち込み、ヘリコプターや無人機が低空飛行し銃撃しまくるという惨劇を強行した。アル・アクサ殉教者病院や野戦病院は「血の海」と化した。
断じて許すことのできないジェノサイドであり、戦争犯罪だ。満身の怒りを込めて、この米・イスラエル共同の大虐殺を糾弾する。
「4人の人質解放」で大虐殺は美化・正当化できない
なぜ、わざわざこのような大虐殺をする必要があるのか!「人質解放」なら停戦協議で済むはずだ。しかも数人の人質を「救出作戦」で殺している。「人質救出」とは名ばかりで、「虐殺作戦でしか人質は救出できない」という「物語」を世界中にばらまくためなのだ。
イスラエル政府と米政府は、早速、「4人の捕虜釈放」を美化・正当化する大々的な「成功キャンペーン」を張っている。窮地に陥っていた米・イスラエルが、この「成功」で、目先を変えようとしていることは明らかだ。
だが、それはパレスチナ民族抹殺の論理、皆殺しの論理でしかない。西側政府・メディアは、「人質・捕虜」と言えば、昨年10月7日のアルアクサ洪水作戦時の「人質・捕虜」しか言わない。しかし、そもそも、数十年にわたりイスラエルがガザ・ヨルダン川西岸で無差別に逮捕・拘禁した7~8000人ものパレスチナ人を投獄し・殺し・虐待しているのだ。昨年のアルアクサ作戦時の抵抗勢力側が拘束した「人質・捕虜」は、その不当投獄されているパレスチナ人との「相互交換」を目的としたものなのである。
二重、三重の意味で卑劣な国際人道法違反
救出を口実に無辜の市民を大量虐殺すること自体が公然たる国際人道法違反だ。現地報道によると、さらにこれに二重の国際人道法違反が加わる。第1に、人道支援用トラックに偽装したことである。この虐殺作戦は、人道支援用トラックに米・イスラエル軍が隠れ、市場に潜入し、突如武装兵士が現れ、銃撃と爆破を強行したと証言した。
しかも第2に、このトラックは、バイデンが鳴り物入りで宣伝した「人道支援用米軍桟橋」から虐殺地点に侵入した。民間人や非戦闘員の身分を装うことは、国際人道法の下では、「背信行為」(Perfidy)というれっきとした戦争犯罪、国際人道法違反を構成する。(https://casebook.icrc.org/a_to_z/glossary/perfidy)
米軍桟橋は「政治的策略の煙幕」だった
元々、この米軍桟橋は、小さすぎて大量の人道支援には役立たないと批判されてきた。陸路を通じて大量輸送すべきだ、と。要するにこういうことだったのだ!米・イスラエルがこの桟橋を使って、人道支援を偽装した兵士を送り込むためだったのだ。今回の惨劇は、人道支援が本当かどうかの疑念をかき立て、飢餓状態にあるガザの人道支援をさらに困難にする。この面でも、許し難い、文字通りの「背信行為」だ。
米・イスラエル軍が共謀で大虐殺作戦
バイデンは、早速今回の「人質救出作戦」を祝福した。しかし自画自賛の意味もある。どういうことか?実は、今回の「救出作戦」が米・イスラエルの共同作戦だったからだ。捕虜の救出を専門とする米政府・FBI・軍の統合部隊(Hostage Recovery Fusion Cell)がイスラエル軍と計画から実行まで関与した。
米・イスラエルの共謀・共犯関係はますますエスカレートしている。これまでも、米高官がイスラエル戦時内閣へ参加し、武器・弾薬を大量供給し、偵察や作戦で相互調整し、ICCやICJの命令に米政府が脅迫や制裁をちらつかせ、バイデンや政府高官が「まだ大量虐殺ではない」「全面侵攻ではない」「レッドラインを越えていない」と、虐殺にゴーサインを出し続けている。国連では「恒久停戦」や「パレスチナ国家の承認」に拒否権を行使し続けている。7月には戦争犯罪者ネタニヤフに、民主・共和議会指導部が議会で演説させる名誉まで与えた。
あくまでも恒久停戦と「人質・捕虜相互解放」、軍撤退を
ハマス・抵抗勢力は、あくまでも即時恒久停戦、イスラエル軍全面撤退、捕虜・人質相互交換を要求している。これが平和への唯一の道なのである。われわれもこれを支持する。もうこれ以上、米・イスラエルの大虐殺を許してはならない。パレスチナ連帯運動をさらに強めよう。
2024年6月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局