パレスチナ人民会議の閉会声明

 5月24~26日、デトロイトで「パレスチナ人民会議」が開催された。この会議は、パレスチナ民族解放の闘いを前進させるために、パレスチナ青年運動、人民フォーラム、ANSEWR連合など北米の組織が召集した。会議には、全米に広がる学生主導のガザ連帯野営地運動を背景に、全米各地から3500人以上が参加、オンラインでは実に数万人が参加した。会議は「閉会声明」で、イスラエルのラファ攻撃に抗議し、即時停戦とガザ封鎖の即時終結、全パレスチナ囚人の解放、パレスチナ占領終結を要求して、6月8日ホワイトハウス包囲行動を呼びかけた。同時に、イスラエルに大量の武器と武器部品を輸送する世界最大級の物流会社マークス社を標的とする武器禁輸キャンペーンを開始すると宣言した。パレスチナ人民会議のサイトに掲載された閉会声明の全文を紹介する。 (翻訳:小津)

パレスチナ人民会議の閉会声明

5月24~26日デトロイト「パレスチナ人民会議」

Closing Statement — People's Conference for Palestine • May 24 - 26

 ラファで、強制退去させられていわゆる人道地帯に避難しているパレスチナ人のキャンプを、数時間前にシオニスト占領軍が爆撃した。私たちはキャンプと呼んでいるが、実際には、間に合わせのテントに避難している140万人以上の強制避難民が密集している場所である。シオニスト勢力は、ガザ地区全域を居住不可能にした。安全な避難所を破壊の地域に変えてしまった。シオニストの占領は、新たなレベルの蛮行に達した。そしてこれは、西側諸国の犯罪勢力が、シオニスト勢力に、この戦争を全く罰せられることなく続けるために必要な物質的、軍事的、イデオロギー的支援を与えているからである。

 これは人道的危機などではない。これは植民地化された人々に対するジェノサイド戦争であり、私たちの精神を絞め殺し、破壊するものだ。これは人類そのものに対する戦争だ。

 しかし、兄弟姉妹の皆さん、占領軍の怒りと無差別的な破壊に気を取られて、絶対的な真実から目をそらしてはいけない。その真実とは、パレスチナの人々の精神を破壊するのに十分なほど強い爆弾も、熱い火も、残忍な刑務所も存在しないということである。私たちは、およそ破壊されるような民族ではない。パレスチナ人にとって死者は殉教者になることなのだということを、占領軍は知らない。囚人は教師となる。包囲された者は解放者となる。そして難民は、必ずや正当な故郷に帰る鍵となる。勝利は、抽象的な概念でも未知の未来でもない。勝利は地平線上にある。私たちは、まさに勝利のために、ここにいて組織するのである。

 占領者たち、死と破壊の勢力への、私たちのメッセージは次の通りである。あなたたちは、まったく罰せられることなく殺人を行い、傷害を負わせてきた。あなたたちは、あなたたちの爆弾や戦争技術がパレスチナ人の精神と意志を打ち砕くだろうと考えている。あなたたちは、私たちの運動に対する弾圧が私たちの行動を止めると考えている。しかし、すべての殉教者、すべての囚人は、私たちの決意と信念をただ強めるだけなのだ。家族が破壊され、男たちが投獄され、ガザの人々が難民テントに避難させられ、飢饉に直面し、この残忍な大量虐殺に耐え続けているときに、私たちにできることは――かろうじてなしうることは――降伏と軍事組織解隊を拒否することだけである。どんな脅迫や弾圧も、シオニズムの人種差別的でジェノサイド的な本質に目覚めそれに晒された大衆を、思いとどまらせることはできない。私たちは、シオニズムが敗北するまで、そして私たちの人民の完全な解放と帰還が実現するまで、毎日ここに、街頭に、キャンパスに、教室に、職場にとどまるつもりだ。

 今日ここにいらっしゃる皆さんは、パレスチナの闘いの歴史に名を刻んでいる。私たちは、デトロイトで「パレスチナ人民会議」を開催し、北米全域から3500人以上が参加し、オンラインでは数万人が参加した。私たちは、北米で、また世界中で、パレスチナのための運動が勝利するまで闘う、そのためにここにいる、そういう私たちのメッセージを明確にした。 

 会議を主催している組織は、ジェノサイドと革命の真っ只中でこの会議を招集した。なぜなら、現在進行中のFalasteen(パレスチナ)のための民族解放闘争における多くの部門の1 つとして、この運動を発展させることが私たちの義務だからである。この3日間にわたって、私たちは、自分たちの歴史と現在から将来に活かすための教訓を得た。運動のリーダーたちから、勝利、挑戦、敗北の経験を聞いた。運動を前進させるためのつながりや関係を築いた。私たちは、殉教者や囚人たちに、またその遺志を継いでいる家族に敬意を表した。

 当局は私たちを阻止しようとし、講演者のビザ発給を拒否し、空港で参加者に嫌がらせをしたが、私たちはひるむことはなかった。この3日間、私たちは、学生運動と労働セクターの多大な貢献を中心に団結し、文化戦線での前進を探り、帝国主義と投獄がパレスチナでどのように機能しているかについての知識を深め、職場でシオニズムとの関係を断ち切る方法をめぐって戦略を練り、キャンペーン目標について足並みをそろえた。

 私たちは、この会議で20万ドル以上の資金を集めた。ガザの再建のためであり、解放のために究極の犠牲を払い続けてきたし今も払い続けているガザの人々を支援するためである。そして、私たちは知っている。これが私たちにできること、すべきことの、ほんの一滴に過ぎないということを。

 友人たち、そして同志たち、兄弟姉妹たちよ。私たちは、高度に組織化された敵と対峙している。だから、私たちはもっと組織化されなければならない。これは私たちがこの場を離れても持ち続ける私たちの約束――組織化の約束――である。

 パレスチナの闘いの行方を決定するのは現地での抵抗であり、その闘いは長期化し、状況を予測することは不可能であることを、私たちは知っている。しかし、私たちが解放に一歩近づいていることは確かであり、解放は可能であるだけでなく、目に見え手で触れることができるほど確実であり、世界の大衆によって求められているものでもある。だが、解放に近づくためには、遠く離れたディアスポラにいる私たちは、準備を整え、備えなければならない。

 そこで、結論に至る前に、パレスチナのために皆さんが引き続き組織化していくことができる方法を強調したい。私たちは、運営委員会として、この重要な時期にいっそうよく調整し対応するための、私たちのインフラの構築を決定した。ここで2つの重要なお知らせをしたい。

 まず、6月8日は、米国とイスラエルによるパレスチナ人の大虐殺が8ヶ月間となり、そしてガザ占領54周年にあたるということである。1ヶ月前、ラファへの侵攻はレッド・ライン(越えてはならない一線)だとバイデンは言った。しかし今、ラファ侵攻は何週間も続き、侵攻はガザ地区全体に拡大し、バイデンのレッドラインはどこにも見当たらない。バイデンは、イスラエルへの軍事援助を止める代わりに、パレスチナ人を殺害し虐殺するために使われる数十億ドル以上の武器の輸送を許可した。

 バイデンはレッドラインを引くことができないが、私たちにはできる。6月8日に、私たちは全米から集まり、ホワイトハウスを包囲する。赤い服を着て、私たちの要求を高く掲げ、私たちこそがレッドラインであることを世界に示そう。私たちは、即時停戦、ガザ封鎖の即時終結、すべてのパレスチナ人囚人の解放を要求し、パレスチナ占領の終結を要求する。

 最後に、本日、パレスチナ青年運動は、海運物流会社マースク社を標的にした武器禁輸の要求を前進させるキャンペーンを開始する。この会社は、ジェノサイドが始まって以来、最も多くの武器と武器部品をイスラエルに輸送してきた物流会社である。米国がイラクとアフガニスタンで使用した兵器の90%を輸送した会社である。ガザで私たちの人民を虐殺するために使用されている何千もの兵器の輸送に責任を負っている会社である。

 私たちは、1つの兵器会社だけを追及するのではなく、すべての兵器会社を追及する。過去8ヵ月間、人々は、個々の兵器会社にピケを張り抗議してきたが、今こそ組織的な標的を絞ったキャンペーンを行う時だ。マースク社を追及することで、私たちは、大量破壊兵器の文字通りの流れと輸送を妨害することになる。私たちは、帝国が最も痛手を受けるところを攻撃することになる。だから、私たちのキャンペーンに参加し、パレスチナ青年運動に続き、国際的なキャンペーンに乗り出そう。なぜなら、人々の力が帝国を屈服させることができるし、実際に屈服させるだろうということを、私たちは知っているからだ。

 私たちは、殉教者であり革命家であった故ガッサン・カナファーニの言葉を引用して終わることにする。「帝国主義は世界中にその体を広げた。頭は東アジアに、心臓は中東に、動脈はアフリカとラテンアメリカにまで及んでいる。そのどこを攻撃しても、帝国主義にダメージを与え、世界革命に貢献することになる。」 何があろうとも、私たちは最前線に立ち、帝国主義にとって無視できない政治的、経済的、道徳的危機を生み出すことによって、ジェノサイドを画策したその罪と共犯関係を暴露し続けるつもりである。

国際連帯万歳! パレスチナ闘争万歳!

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