第1回「パレスチナのための世界反アパルトヘイト会議」

『イスラエルの入植者植民地主義、アパルトヘイト、ジェノサイドに関するヨハネスブルグ宣言』

 5月10~12日、南アフリカのヨハネスブルグで第1回「パレスチナのための世界反アパルトヘイト会議」が開催された。この会議は、「パレスチナ人民に対するイスラエルの犯罪責任を追及し、ヨルダン川から地中海に至るまでのイスラエルのアパルトヘイトを解体するために取り組む、世界的な反アパルトヘイト運動の動員の基礎を築くこと」を目的として開催され、世界24カ国以上のパレスチナ連帯組織の代表など約480人がヨハネスブルグに集まった。
 3日間の討議の成果として、最終日に「イスラエルの入植者植民地主義、アパルトヘイト、ジェノサイドに関するヨハネスブルグ宣言」が採択された。会議に先立って発表されたメディア声明「グローバルな連帯と行動のマイルストーン」とあわせて、その全訳を紹介する。


(翻訳:小津)

メディア声明:
第1回「パレスチナのための世界反アパルトヘイト会議」: グローバルな連帯と行動のマイルストーン
2024年4月24日

First Global Anti-Apartheid Conference for Palestine: A Milestone in Global Solidarity andAction
http://antiapartheid.net/media-statement/


 「南アフリカ反アパルトヘイト運営委員会(SAAASC) は、南アフリカ解放闘争で正義と抑圧の終焉を求めたグローバルな呼びかけに呼応する歴史的な動きの中で、パレスチナのための第1回「世界反アパルトヘイト会議」の開催を発表する。この極めて重要な会議は、パレスチナ人からの鳴り響く呼びかけに応えるものである。それは、2001年にダーバンで開催された「人種差別反対世界会議」の遺産によって強化され、そして特に現在進行中のガザにおけるパレスチナ人に対するイスラエルのジェノサイド行為に対処する緊急の必要性によって増幅されたものである。
 2022年初頭から、南アフリカの社会正義活動家たち、宗教指導者たち、連帯諸組織は、パレスチナの人々とその闘いに対するグローバルな支援を劇的に活性化させるための世界会議の開催に取り組んできた。
 この会議は、2024年5月10日から12日まで開催され、イスラエルのアパルトヘイト入植者植民地とアパルトヘイト体制に対するパレスチナ人の闘いを支援することに捧げられる「世界反アパルトヘイト運動」の先駆けとなるだろう。この運動は、パレスチナ人民に対する犯罪の責任をイスラエルに問い、ヨルダン川から地中海に至るイスラエルのアパルトヘイトを解体することを目的として、世界規模の行動を結集するという集団的な熱望を反映している。


会議の戦略的目標 

 この会議は、イスラエルのアパルトヘイトに反対するグローバルな動員、組織化、協調を強化するための基礎を築くものである。主な目的は以下の通り。

• イスラエルの抑圧体制を孤立させることを目的とした、包括的な政治的、法律的、外交的戦略とメディア戦略を発展させる。

• イスラエルの入植者植民地、アパルトヘイト、ジェノサイドの常習行為と政策の解体に貢献するグローバルな連帯と行動を促進する。

• 自決権と帰還の権利を含むすべての権利を求めるパレスチナ人民の闘いを支援する。

 この会議は、南アフリカのアパルトヘイトの解体に貢献した国際連帯の不朽の精神を受け継ぐものであり、あらゆる形態のアパルトヘイトに反対する新たな世界的運動の始まりを示すものである。私たちは重要な分岐点に立っている。集団的な憤りを、パレスチナ内外での自由、正義、平等のための具体的な行動に移すことを、進んで行おうとしている。

 第1回「パレスチナのための世界反アパルトヘイト会議」は、行動へのグローバルな呼びかけの誕生である。私たちは、人権と正義のために尽力する世界中の人々に呼びかける。国籍や背景にかかわらず平等と自由の原則がすべての個人に確実に普及するようにしようとしている、この歴史的な取り組みに参加するようにと。

 会議は多数のパネル・ディスカッションとワークショップで構成される。講演者には、「Sinn Fein」の議長デクラン・カーニー、「パレスチナ・ナショナル・イニシアティブ」のリーダー、ムスタファ・バルグーティ、ベツレヘムのムンサー・アイザック牧師などが登壇する。


日時: 2024年5月10日~12日
場所: サントン・コンベンションセンター、ヨハネスブルグ

イスラエルの入植者植民地主義、アパルトヘイト、ジェノサイドに関するヨハネスブルグ宣言


Stop Genocide against Palestinians 14 May 2024 By:Global Anti-Apartheid Conference
Johannesburg Declaration on Israel’s Settler-Colonialism, Apartheid and Genocide
https://hlrn.org/activitydetails.php?id=qGhqaA

 私たち、世界20カ国以上からの代表者は、あらゆる階層、あらゆる信仰と非信仰、多様な政治的およびイデオロギー的見解の何百万人もの人々の意見を表明し、2024年5月10日から12日まで南アフリカのヨハネスブルグで会合、1世紀の植民地主義に、75年続いているナクバに、75年にわたるイスラエルによるジェノサイド、植民地主義、アパルトヘイトに、75年以上の土地略奪に、75年の抑圧と基本的権利および自由の否定に、憤り激怒している。エルサレムを含むヨルダン川西岸地区、ガザ地区、48年地区、難民キャンプのパレスチナ人と、ディアスポラのパレスチナ人は、シオニストの軍事機構の下で数十年にわたり苦しんできた。

 私たちは、7カ月間にわたって続くジェノサイドを目撃してきた。イスラエルがガザを陸、海、空から残忍に砲撃し、絶滅キャンプに変えていくのを世界は見てきた。イスラエルは、保健医療、栄養摂取、教育、インフラなど、ガザの人々の生活条件を破壊してきた。イスラエルは、ガザ地区の230万人の市民に対して、性暴力を、飢餓を、水、医薬品、医療支援の剥奪を、戦争の武器として用いている。これは国際法に違反し、倫理観、道徳観に反している。集団墓地が発見されて、ガザの大虐殺の規模がいっそう明らかになりつつある。イスラエルは意図的に子どもと女性を殺害している。生命を生み出し、維持し、守る女性たちである。私たちは、イスラエルの生殖に関するジェノサイドに強く反対する。

 イスラエルはガザの環境とインフラを破壊し、人が住めないようにしている。

 イスラエルの強力な西側同盟国、主にアメリカ合衆国と一部のヨーロッパ諸国は、最も洗練された兵器を供給することで、パレスチナ人民に対するこのジェノサイドを可能にし続けている。これらの諸国は、また、外交的・政治的にイスラエルを保護している。国連安全保障理事会の拒否権の行使や、国際法へのひどい違反にもかかわらずアパルトヘイト国家への制裁を拒否するなどによってである。

 西側の政治的・経済的エリートたちは、弁解の余地のない戦争資本主義という形で、パレスチナ人の血と命から利益を得ている。イスラエルとそのジェノサイドを支える者たちによって何十年も続けられてきた戦争は、パレスチナの人々に対するものであるだけでなく、人類全体に対するものである。

 しかし、パレスチナ人と世界の人々は黙ってはいない。

 パレスチナ人の声は、世界中で聞かれる。瓦礫の下からも、ガザの難民テントの中からも、占領下のパレスチナ全土でレジスタンスを通して響きこだましている。パレスチナの人々の痛みは私たちすべての痛みとなり、その怒りは私たちすべての怒りとなり、その不屈の精神は私たちの不屈の精神となり、その闘いは私たちの闘いとなっている。

 世界中の正義を愛する人々の声は、街頭で、メディアで、ソーシャルメディアで、学生たちの野営地で、礼拝所で、法廷で、職場で、学校で、聞かれ続けている。

 こうした声は、多国間機関や国際法廷において、良心のある政治指導者や政府によって増幅されてきた。国際司法裁判所における南アフリカ政府の絶え間ない努力は、この点で際立っている。こうした努力は、イスラエルのすべての戦争犯罪者の訴追を含まなければならない。私たちは、動員をかけて、イスラエルに制裁を加えるよう各国政府に容赦なく圧力をかけていく。パレスチナ内外のこれらの声は、すべて、シオニストの入植者植民地主義、人種差別主義、アパルトヘイト、ジェノサイド・プロジェクトに断固反対するものである。私たちは、「アフリカ人権憲章」に触発されている。それは、「植民地主義、新植民地主義、アパルトヘイト、シオニズムを撤廃し、あらゆる形態の差別を廃止することを約束」している。シオニズムは人種差別である!

 私たちは、イスラエルの暴力と不正義に対して、またパレスチナの人々や世界中の人々に対する帝国主義の策謀に対して、怒りと抵抗の声をさらに増幅させる。

 私たちは、南アフリカとナミビアのアパルトヘイト終結を支援した世界的な反アパルトヘイト運動――私たちの多くがその運動に参加した――に触発され、その運動を引き継ぐものとして、イスラエルとその支援者たちの入植者植民地主義とアパルトヘイトに立ち向かうために、今、立ち上がる。イスラエルとそのジェノサイドに加担した者たちが確実に責任を問われるようにし、パレスチナ人民の解放のための闘いを支援し、国際法によって保証された自由、尊厳、自決、帰還、抵抗の権利を回復するために立ち上がる。

 私たちは、今、「パレスチナのための世界反アパルトヘイト運動」の一員として、あらゆる信仰、背景、イデオロギーのパレスチナ人と連帯して立ち上がる。パレスチナにおいて、また世界各地で、占領、植民地主義、アパルトヘイト、ジェノサイドと闘う。パレスチナ人の英雄的行為、強さ、スムド(不動心)は、私たちをさらなる高みへと鼓舞し、緊急の行動へと駆り立てる。

 私たちは、イスラエルによるジェノサイドを終結させるための即時、無条件かつ恒久的な停戦のために、イスラエル軍の撤退のために、ヨルダン川西岸における入植者と軍事テロの終結のために、ガザの包囲解除のために、決意を持って立ち上がる。パレスチナ人には、イスラエルが破壊したすべてのものを再建する権利があり、補償、賠償を受ける権利がある。私たちは、現在進行中のナクバが終わりパレスチナが解放されるまで、休むことはない。私たちは、南アフリカのアパルトヘイト国家に対する反アパルトヘイト運動によって行われたように、ボイコット、ダイベストメント、制裁のキャンペーンと、行動計画にあるその他の戦略を用いて、アパルトヘイト国家イスラエルを完全に孤立させるための活動を含め、私たちの目標に向けてあらゆる戦略と戦術を用いるつもりである。

 私たちは、すべてのパレスチナ人政治犯、被拘留者、人質の即時釈放を要求し、恣意的な逮捕、行政拘留、拉致、囚人に対する拷問の停止を要求する。

 私たちは、イスラエルの不正義に立ち向かい、植民地主義とアパルトヘイトに反対し、国際社会の一員として道徳的および法的義務に沿って行動することを表明した諸政府に敬意を表する。私たちは、イスラエルがジェノサイドを行い、国際法に違反して処罰されずにいるときにさえ、シオニスト・プロジェクトを可能にした政府、あるいはそれに加担し続けている政府――バルフォアからバイデンに至るまで――を糾弾する。イスラエルの攻撃は、真実、権利、正義、平等、公正といった人間的価値観に対するものである。それは、人種差別と暴力的抑圧を定着させ、人類を核による荒廃で脅かしている。

 パレスチナ人民とともに立つということは、人道、正義、平等とともに立つということを意味し、あらゆる形態の人種主義に反対すること、反パレスチナ人種主義、反黒人人種主義、反ユダヤ人差別、反イスラム嫌悪を意味する。私たちの行動計画は、「世界反アパルトヘイト運動」の展開と成長を示している。私たちは、パレスチナの人民の完全な解放まで、緊急に取り組むことを決意している。

 この最初の「パレスチナのための世界反アパルトヘイト会議」において、私たちは、2001年にダーバンで開催された反人種主義世界会議や2005年のイスラエルに対するボイコット、ダイベストメント、制裁を求めるパレスチナ市民社会の呼びかけも含め、数十年にわたる世界中の広範な運動を基盤として、パレスチナ連帯をエスカレートさせる反アパルトヘイト運動を新たに構築するプロセスを開始した。私たちは、世界中のすべての連帯運動に対し、グローバルな反アパルトヘイト運動を構築するこの努力に参加するよう呼びかける。それは、すべての抑圧され搾取されている人々とともに立ち上がるものである。

 私たちは、消費者、学術、スポーツ、芸術、文化のボイコットを強化し、経済・金融制裁のキャンペーンを強化することによって、アパルトヘイトのイスラエルを孤立させることに取り組んでいる。私たちは、次のことを優先する。イスラエルの航路を遮断すること、イスラエルに対する武器禁輸のキャンペーンを展開すること、イスラエル占領軍を支援し、資金提供し、武器を供給し、それに参加している人々を標的にすること、国際的なスポーツ、文化、学術団体からイスラエルを追放すること。

 世界反アパルトヘイト運動が、アパルトヘイト国家の南アフリカにアパルトヘイト体制を完全に解体するまで譲歩しなかったように、私たちもまた、イスラエルの入植者植民地プロジェクトを完全に解体するまで、譲歩することを拒否する。そのことに私たちは全力を尽くしており、私たちの目的が達成されるまで立ち止まることはありえない。

パレスチナは解放される、川から海まで!

アマンドラ! (力を)

アウェイトゥ!(われらに)

人民に権力を!


 

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