裏金疑獄の幕引きを許さない
戦争国家化と人民収奪推進の後半国会に怒りの拳を
今国会は政治資金裏金疑獄で揺れ、自民党政権に対する批判が高まりをみせた。岸田内閣の支持率は、年度末の世論調査(JNN)で22・8%となり、6か月連続で過去最低を更新。不支持率も過去最高の75・0%に達した。だが、岸田政権は、軍事を最優先し人民生活を切り捨てる2024年度予算案を「数の力」をもって年度内に成立させ、「次期戦闘機」を手始めとする殺傷兵器の第三国輸出を解禁する政府決定を強行した。野党は世論と運動を組織できないまま、岸田政権による前半国会の暴挙を阻止できなかった。
しかし、後半国会では、衆・参に「政治改革特別委員会」が設置され、裏金疑獄の徹底究明と責任追及が問題となる。軍事国家化に向けた「次期戦闘機」条約案と「セキュリティークリアランス(身辺調査)制度」創設法案、人民収奪による「子ども・子育て支援法改正」案、税金・社会保険料に未払いがあった場合の永住許可取り消しを含む「育成就労制度創設法」案(入管難民法改定案)等が焦点化する。闘いは終わっていない。
裏金疑獄のうやむや決着を許すな
岸田首相は、非公開の密室で「処分対象者(85人)」への「追加聴取」を自ら行い、4月4日には政治資金収支報告書への不記載額が500万円以上に達する39名のみの「処分」を決定した。世論からも反発の強い安倍派幹部の塩谷、世耕の2人のみを「離党勧告」とする一方、西村、下村、高木の3人を痛くもない「党員資格停止」に止め、高木、萩生田、松野(安倍派)と武田(二階派)等、17人を形式的な「役職停止」とし、他の17人は軽微な「戒告」に止めた。その他46人は「処分なし」だ。岸田は、これをもって疑獄問題への対応を打ち切り、今国会中に「政治資金規正法改正」を成立させて総裁選前に逃げ切るつもりだ。
安倍派の政治資金「キックバック」の再開への関与が明らかになっている森元首相、裏金領収の張本人二階元幹事長、そして自民党総裁としての岸田首相の裏金関与の事実究明と責任問題を闇に葬ってはならない。徹底した事実の解明と関係者の処罰を求める。それ抜きの「改正法」審議を許してはならない。
次期戦闘機開発機関設立条約の批准を許すな
日英伊3カ国の防衛相が昨年12月に合意・署名した次期戦闘機(F-3)の共同開発を管理・運営する政府機関の設立に関する条約(GIGO設立条約)の承認(批准)が、強行されようとしている。条約の批准によって、国産殺傷兵器の第三国輸出が本格的に開始されることになる。
条約は、日英伊3カ国政府によって国際機関(GIGO)を設立し、英国「BAEシステムズ」、伊国「レオナルド社」、日本「三菱重工業」を核に英国に本社機能を持つ共同企業体(JV)と契約を結ぶ。日本からは、さらに三菱電機(電子機器)、IHI(エンジン)等が関わる。条約によって、締約国はGIGOに資金を拠出し、職員等への特権を付与し、その秘密情報を「保護」し、他の締約国の輸出を支援する義務を負うこととなる。
日本政府は、この条約による3カ国共同開発の殺傷兵器としての次期戦闘機を皮切りに、本格的な軍需大国にのし上がろうとしている。
条約の国会承認を阻止しなければならない。また、この条約が前提としている「セキュリティークリアランス制度」創設法案を参院では廃案に追い込まなければならない。
「子ども・子育て支援法」改定案による収奪と福祉切り捨てを許すな
「改定案」は、岸田内閣が昨年12月に決定した子ども未来戦略「加速化プラン」(子育て世帯を対象とする支援の拡充等)の内容とその財源を規定する法案である。
支援法の財源はまず、医療保険の保険料に上乗せする形で全国民から徴収する。26年から段階的に徴収額を引き上げ、28年には1兆円を確保するとしている。事実上の大衆増税である。政府は、負担額を少なく見せるために、実際には負担しない子どもを含む「加入者一人当たり」の引き上げ額しか公開していない。しかし、実際には「被保険者一人当たり」の年間負担額は、国民健保で1万3370円、協会けんぽで1万1770円、健保組合で1万7170円、共済組合で2万390円増える(第一生命経済研究所による試算)。共働きでの負担額はさらに大きい。また、医療・介護保険制度の改悪(65歳以上の介護保険料の引き上げ、介護サービス利用者負担の引き上げ、75歳以上の後期高齢者医療保険制度の保険料引き上げ等々)による1・1兆円も財源とされている。大衆増税と医療福祉の切り捨てを許すな。
2024年4月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局