後半国会も対中戦争準備と闘おう
大軍拡財源確保法案を廃案に! 軍事費増税反対

軍拡財源確保法案阻止の意義を人々に訴えよう

 後半国会の最大の焦点は、大軍拡財源確保と軍国主義諸法案と対決し、「安保3文書」を撤回に追い込むことだ。
 最初の対決対象が「防衛費財源確保法案」だ。3月末成立の2023年度予算は、歴史的な大軍拡予算になった。軍事費は文教費や公共事業費を抜いて2番目の予算項目に躍り出た。軍事費は26・4%増(1兆4214億円増)の6兆8219億円だ。「安保3文書」で打ち出した「5年間で43兆円、5年後にGDP2%」という異常な軍事費膨張を、あらゆるところから調達することで実現しようとしている。
 予算編成原則が軍事費確保のために滅茶苦茶になっている。それが政府の計画する今後5年間で「決算剰余金」の流用3兆5000億円、医療や文教など他項目の歳出削減3兆円強、新設の「防衛力強化資金」4兆6000億円~5兆円、増税1兆円等々の軍事費投入だ。今年度予算では、本来国庫に返還すべき「決算剰余金」や歳出削減分を勝手に軍事費につぎ込んだ。人民の税金・資金の許しがたい流用だ。
 さらに、来年度以降の軍事費拡大を保障するための法律がこの大軍拡財源確保法案だ。この法の成立なしには軍事費の持続的拡大は成り立たない。この法律は次年度以降の軍事費を蓄える「防衛力強化資金」を設置する。円安対策で円が過剰になった外為特会からの3・1兆円繰り入れを中心にすでに4兆6000億円を確保し、1兆2000億円を今年の軍事費に投入し、3兆4000億円を次年度以降にキープしている。しかし外為特会の剰余も本来国庫返還で人民全体の金だ。勝手に軍事費にするなど許されない。また、国立病院機構や地域医療機能推進機構の国庫納付金や国有財産の処分などでむりやり「税外収入」をひねり出し資金に投入している。だが、これらは本来一時的な資金であり今後も持続できる保証はどこにもない。大軍拡財源確保法案の成立を阻止できれば、歴史的な大軍拡予算の出鼻をくじくことができる。

軍事費大増税反対、カネは生活に回せの声を広げよう

 岸田政権が大増税を企てているのは明らかだ。なりふり構わない政府は、本来新型コロナや物価対策のために計上した「予備費」の未使用分3・8兆円さえ軍事費に投入しようと狙っている。
 歴史を画するような軍事最優先予算が、まともな議論も抵抗もなく3月の年度内に成立したこと自体が異常事態だ。しかし、国会では同じ構図が続く。大軍拡財源確保法に対しては共産、立民、国民、維新は一応反対の態度だ。しかし維新、国民は軍拡積極支持で、立民も軍事費増は否定しないが無駄が生じる可能性があるからと「軍事費増税」に反対しているだけだ。要するに軍事費拡大を赤字国債か他分野の歳出削減で実施しろという立場だ。これでは大軍拡財源確保法に徹底して反対することはできない。野党全体が「中国脅威論」に屈服、あるいは進んで受け入れていることが最大の問題だ。対中戦争・対中軍拡ではなく対中外交、対中平和外交を最前面に掲げて政府に迫る野党が存在しないことが大問題だ。これが人民関連予算削減をもたらし、軍事費増税に道を開いている。
 社会保障関係は自然増分を1・7%増に切り縮められ、文教関係費0・3%増、農林水産0・4%減等と軒並み押さえ込まれている。コロナ禍と物価高騰の下で、本来人民生活関連に投入されるべき金はすべて軍事費に投入されているのだ。カネは軍事費ではなく生活に回せの声をさらに広げよう。

国家主導の軍需産業育成、武器輸出に反対しよう

 大軍拡財源確保法案に加え、戦争態勢作りに向けた重要法案、諸政策が次々に出されている。防衛装備品生産基盤強化法案は、武器輸出を推進するために、国が軍需産業を支援し、助成する仕組みと基金を設ける法律だ。軍需産業を強化し、武器輸出を強化するために国家が補助金を投入する。部品のサプライチェーン維持のためには国が企業の生産ラインを買い取る。兵器産

の国有化など戦後初めてのことだ。政府による供給網の掌握や軍事機密の保持等も含まれている。
 政府はこれと軌を一にして「防衛装備移転三原則」のさらなる見直しを進めている。第2次安倍政権は、2014年に戦後一貫して武器輸出を原則禁止してきた「武器輸出禁止三原則」を廃止したが、武器輸出は拡大せず、それを通じて強力な軍需産業を作ることもできなかった。次期戦闘機開発を英伊と共同開発し、武器輸出拡大に軍需産業の活路を見いだそうとする岸田政権は、「防衛装備移転三原則」に付けた条件さえ改変、撤廃しようとしている。軍需産業を維持するために、武器輸出の大幅拡大を狙っているのだ。
 岸田内閣が4月5日に国家安全保障会議で決定したのが「同志国」の軍に防衛装備品を無償供与する「政府安全保障能力強化支援OSA」だ。近年、日本政府は政府開発援助ODAを、途上国の開発援助から日本に従わせたい国への選択援助にシフトさせてきた。OSAはこれを更に飛躍させたものだ。軍への支援ができないODAとは別に、対中国包囲に協力しそうな国を「同志国」と定め、その国の軍に装備品を供与するというものだ。当面は巡視船、監視用レーダー等で直接の武器ではないが、これらをテコ入れすることで負担を減らし、対中軍事力強化を図ろうというものだ。「防衛装備移転三原則」に準ずるとされるだけで武器を供与しない制約もない。フィリピンやマレーシア、バングラデシュ、フィジーなどを狙って、直接日米の対中軍事包囲に引っ張り込もうという極めて危険な動きである。
 これら一連の軍事関連法案は全て「安保3文書」の中に組み込まれた一体のものだ。対中戦争準備、戦争態勢作りを構成するもので、日本の国家を戦争国家に根本的に変える危険極まりない動きで、憲法に正面から反するものだ。

日本学術会議改悪法案、原発束ね法案に反対しよう

 他にも後半国会で悪法が山積だ。「日本学術会議改正法案」は、現在は日本学術会議内の相互推薦になっている会員資格について、「選考諮問委員会」を新たに設置し、これを通じて事実上政府が介入する道筋をつけるための法律だ。経済団体からの会員候補の推薦なども含んでいる。政府からの独立を旨とし、軍事研究の否定なども含めて独自の提言を行い、対中戦争準備を進める政府に従わない日本学術会議を、権力と資本が一体となって支配するしくみを作ろうとするものだ。
 原発の60年運転延長のための「GX脱炭素法」など原発束ね法案、在留外国人を「犯罪者」扱いし強制送還しやすくする入管法改悪がある。
 「異次元の少子化対策」は、出産分娩費用の増額や男性育休取得、児童手当の所得制限撤廃など、安心して子どもを産んで育てられる条件からは程遠い、見せかけの政策を並べているだけだ。若い世代が結婚や出産を躊躇する最大の理由である非正規労働による低賃金や、子育て・教育費にお金がかかりすぎるという問題にまったく応えていない。しかもこの不十分な政策でさえ財源の裏付けがなく、なんと社会保険料に上乗せするという案さえ出している。

広島G7戦争サミット反対 9条改憲を阻止しよう

 広島G7サミットは文字通り「戦争サミット」だ。岸田は、メディアと一体となって、ウクライナ戦争、対中戦争を煽り立て、戦争サミットを成功させた「西側のリーダー」を演じ、支持率が底打ちしたことを背景に、6月の解散を目論んでいる。広島から戦争鼓舞、反ロ反中イデオロギーのプロパガンダを許してはならない。
 岸田は、大軍拡予算と軍国主義法案を強行したあと、憲法9条改悪を狙っている。違憲の自衛隊のままで、なし崩し的に対中戦争準備を進めるのではなく、正真正銘の軍隊として、米と一体となって対中戦争に突き進む、私権制限や国家緊急権を行使できる状況を獲得したいという衝動がある。目下のところ衆院憲法審査会では、緊急事態条項が主要なテーマとなっており、参議院議員の任期延長・緊急集会とあわせて、武力攻撃を含む有事における国民の権利の制限が議論されている。自民党議員は「台湾有事」を念頭に9条改憲の必要に言及している。立憲は論憲を前面に出し、憲法審査会毎週開催を皮肉った小西議員を処分し、維新と共に、緊急事態に絡めて憲法裁判所の新設を提案した。憲法審査会は条文化を想定して議論が交わされる危険な局面に入ろうとしている。
 沖縄はじめ南西諸島では、米日によって戦争が引き起こされることへの危機感が高まり、戦争準備反対と日中友好を掲げて闘いを進めている。政府が「台湾有事」を国民の意識の中に植え付けるために行っている、避難シェルターの設置計画、住民避難の訓練等に対しても機敏に反対の声を上げている。本土でも、反中プロパガンダに粘り強く対抗し、戦争準備反対、日中友好のキャンペーンを進めていくことが必要だ。岸田の「戦争する国」づくりにストップをかけよう。

2023年4月9日『コミュニスト・デモクラット』編集局

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