2月24日、中国外交部は12項目からなる「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」を発表した。それは、主権尊重と領土的一体性の保障、冷戦思考・軍事同盟反対、他国の安全性を損なう安全保障の否定、停戦と和平交渉を開始、核兵器不使用などを柱に、ウクライナ戦争の停戦を呼びかけ、国連憲章に基づく協議の原則を提起し、中国が働きかける意思があることを示した。われわれはこの中国提案を断固支持する。
バイデン大統領は即日、「ロシアを利するだけ」と拒否した。なぜ米国が拒否するのか? ここに、ウクライナ戦争が米による対ロシア代理戦争という本質が端的に示されている。この提案は一見して不可能に見える。だが、それは違う。米帝の戦争エスカレーションを誰も止められない。西側諸国とメディアは、対ロシア徹底抗戦、ロシアの無条件撤退と敗北を煽り立てている。反戦運動がまるで「戦争運動」になり、ウクライナの徹底抗戦を支持している。要するに戦争で決着をつけよという無謀で無責任なものばかりだ。この好戦的雰囲気をどう転換し、停戦・和平をどのようにして国際的争点として押し出すか。この歴史的使命を中国は自らに課した。それが12項目提案だ。ウクライナ政権内部の和平派を元気づけ、ヨーロッパで支持者を獲得し、西側に分岐を持ち込み、徹底抗戦の米帝を孤立させる狙いがある。そして新興・途上諸国を味方に引きつけ、停戦・和平の突破口を切り開こうとするものである。
中国提案は、ウクライナ戦争をめぐる情勢を一変させた。プーチンは初めから好意を持って受け止め、解決に向けての中国の役割に期待を表明した。ウクライナも「ロシア軍の撤退は譲れない」としつつも、中国提案を拒否せず、関心を示して習近平主席との協議を呼びかけた。ウクライナ戦争と米・NATOによる対ロ制裁、食料・燃料の高騰で苦しめられているグローバルサウス諸国が相次いで中国提案を支持した。NATO諸国の中からも、スペインやフランスなど、際限のない戦争追求だけの米国とは一定独自に停戦への可能性を探る動きが出てきた。
中国提案によって、停戦・和平が国際的争点になり始めた。今日では世界の3分の2が停戦を求めている。「今こそ停戦!」の声を広げていこう。
(編集局)
中国外交部発表
ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場(要旨)
(1)各国の主権の尊重。国連憲章の趣旨と原則を含む、広く認められた国際法は厳格に遵守されるべきであり、各国の主権、独立、及び領土的一体性はいずれも適切に保障されるべきだ。
(2)冷戦思考の放棄。一国の安全が他国の安全を損なうことを代償とすることがあってはならず、地域の安全が軍事ブロックの強化、さらには拡張によって保障されることはない。各国の安全保障上の理にかなった利益と懸念は、いずれも重視され、適切に解決されるべきだ。
(3)停戦。各国は理性と自制を保ち、火に油を注がず、対立を激化させず、ウクライナ危機の一層の悪化、さらには制御不能化を回避し、ロシアとウクライナが向き合って進み、早急に直接対話を再開し、情勢の緩和を一歩一歩推し進め、最終的に全面的な停戦を達成することを支持するべきだ。
(4)和平交渉の開始。対話と交渉はウクライナ危機を解決する唯一の実行可能な道だ。
(5)人道的危機の解消。人道的危機の緩和に資する全ての措置は、いずれも奨励され、支持されるべきだ。
(6)民間人や捕虜の保護。紛争当事国は国際人道法を厳格に遵守し、民間人及び民生用施設への攻撃を避け、女性や子どもなど紛争の被害者を保護し、捕虜の基本的権利を尊重するべきだ。
(7)原子力発電所の安全確保。原子力発電所など平和的原子力施設への武力攻撃に反対する。
(8)戦略的リスクの低減。核兵器の使用及び使用の威嚇に反対するべきだ。
(9)食糧の外国への輸送の保障。各国はロシア、トルコ、ウクライナ、国連の署名した、黒海を通じた穀物輸出に関する合意を、均衡ある全面的かつ有効な形で履行し、国連がこのために重要な役割を果たすことを支持するべきだ。
(10)一方的制裁の停止。国連安保理の承認を経ていないいかなる一方的制裁にも反対する。
(11)産業チェーンとサプライチェーンの安定確保。各国は既存の世界経済体制をしっかりと維持し、世界経済の政治化、道具化、武器化に反対するべきだ。
(12)戦後復興の推進。国際社会は紛争地域の戦後復興への支援措置を講じるべきだ。中国はこれに助力し、建設的役割を果たすことを望んでいる。
(「人民網日本語版2023年2月24日」)