軍事費増税・人民生活切り捨てを許すな
世論と大衆運動の力で岸田政権を打倒しよう

 臨時国会の最終盤、立憲民主党(立民)は維新との共闘を最優先し、実効性のない「統一教会被害者救済法案」に賛成して成立に手を貸した。与党に加え、維新・国民・立民は、会期延長も、法案の実効性を求める徹底審議も拒絶した。野党は、次々と明らかになる自民党の統一教会との緊密な関係を徹底的に追及することなく、早々に国会を閉じることに加担した。被害者の救済ではなく、岸田政権と与党を救済したのだ。
 法案は、成立前からその実効性のなさが暴露されている。①寄付勧誘への「配慮義務」に罰則規定がない、②信者2世の救済は被扶養者だけ、しかも巨額の寄付でも取り戻せるのはわずか月数万円、③未成年の信者2世は親権のために訴えを起こすことさえ非常に困難、等々、とても被害者の救済にはならないものだ。維新・国民・立民の野党は、事実上被害者を切り捨てる与党の「救済法案」を公然と支持したのである。

図に乗る岸田政権 反動的・反人民的政策を加速

 今臨時国会は異例ずくめであった。岸田政権は、旧統一教会との癒着、政治とカネの問題、選挙違反疑惑等の噴出で窮地に陥り、3閣僚更迭に追い込まれ、支持率も低下して未曽有の危機にあった。だがそれでも政権が倒れない、追い込むことが出来ない最大の原因は、野党の翼賛体制であった。最大野党の立民が、維新との連携・共闘で右旋回して岸田の延命に手を貸したのだ。そればかりか、参院選の公約に掲げた消費税減税は誤りだったと投げ捨て、先制攻撃論に容認姿勢を示し、安保関連文書にも正面切って反対していない。
 野党の露骨な助け船で図に乗った岸田政権は、息を吹き返したかのように軍国主義的、反動的・反人民的政策を一気に加速し始めた。野党がこうした体たらくでは、世論と大衆運動の力で抑え込んでいくしかない。岸田政権の対中戦争準備、軍事費増税と人民生活切り捨てを徹底的に批判し、野党の迎合と翼賛体制を突き崩し、岸田政権打倒に向かって進んでいこう。

軍事費倍増のための増税に反対しよう

 岸田首相は12月5日、今後5年間で軍事費総額43兆円を確保し、27年度に軍事費対GDP比2%を実現すると公言した。巨額の軍事費の財源は増税と歳出改革=人民関連予算削減になるのは間違いない。11月22日、防衛力に関する「有識者会議」の報告書は、〝防衛力の強化は国民全体の問題〟とし、「今を生きる世代全体」が軍事費増を負担すべきと打ち出している。軍備増強を国策の最優先課題とし、国民が軍事費を賄うためにさらに税金を納め、生活を犠牲にしていく、それが当たり前の国づくりを目指そうというのだ。政府・メディアは、対中軍拡と軍事費増を前提に、財源を国債にするか、社会保障の縮小か、増税かの三択を国民に迫っている。われわれは、これら全てに反対する。
 軍事費倍増を見越した増税の動きはすでに始まっている。10月26日の政府税制調査会では、「消費税率を10%のままで財政が持つとはとても思えない」等の意見が出た。消費税の15%への増税に加え、退職金への課税や配偶者控除の廃止など実質的な所得税増税も俎上に上っている。EV車を対象に走行距離に応じて課税する「道路使用税」など新たな税の創設も検討を始めている。

憲法違反の先制攻撃論反対 平和外交を進めるべき

 12月1日、自民、公明は中国を標的にした「敵基地攻撃能力」=先制攻撃力の獲得で基本合意した。これが年内に改定するという安保3文書(国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画)の目玉だ。国際法違反であり重大な憲法違反である。曲がりなりにもぎりぎりのところで維持してきた「専守防衛」の歴史的な破棄だ。
 日本政府は、「中国の武力侵攻」をでっち上げるが、あり得ないことだ。中国の外交政策は、台湾との平和的統一である。尖閣諸島は、領有権問題の棚上げによる日中平和・友好の構築が基本だ。
 本当に中国が日本を攻撃してくると政府が考えているのであれば、首相をはじめ政府要人や議員が訪中団をつくって中国指導部との対話と友好親善を深めに行き、戦争にならないよう外交努力を最優先することが先決だ。ところが国会でも一切そのような議論はない。「やられる前にやる」とばかりに「敵基地攻撃能力」保有を急いでいる。対立を生み出し、戦争をけしかけているのは米国の台湾分離=中国の国家分裂の挑発であり、中国への経済制裁であり、日本の尖閣国有化だ。
 平和と安定の東アジアを作るのは、平和外交であり、平等、互恵、協力の関係だ。軍備増強で平和は生まれない。

人民生活をさらに悪化させる 負担増・切り捨てに反対しよう

 市民生活が悪化の一途をたどっている今の時期に、平気で増税や生活関連予算の削減を打ち出してくるなど許されない。この一年で生活はどんどん苦しくなっている。4月、6月、9月、10月と食料品や生活必需品の値上がりが家計を直撃している。これから冬にかけて、暖房用の電機・ガス代の負担が重くのしかかる。10月の消費者物価指数は、前年同月比3・6%上昇し、40年8カ月ぶりの伸びとなった。だがこれで一段落ではない。来年早々から値上げがさらに予定されている。地下鉄やJRの運賃も上がる。
 消費税10%(軽減税率8%)の負担は半端な額ではない。給与からすでに所得税や年金・健康・介護保険料をごっそり搾り取られた上で、さらに生活に必要なものを買うごとに1割もの税金が取られる。消費税が15%、20%になればどうなるのか。軍事費総額43兆円は、今後5年間で国民一人ひとりが34万円、4人家族で140万円もの軍事費を負担することを意味する。増加分16兆円だけでも、5年間で一人13万円、4人家族で50万円以上の負担増となる計算だ。軍事費捻出、戦争準備のための増税など絶対に許されない。
 健康保険料の異常な増額が決まっている。国民健康保険料が、2023年度から2万円増額され、年間上限額を87万円に、介護保険と合わせた年間の上限額は104万円になる。医療保険の高齢者の負担も増える。75歳以上の高所得者(年収1000万円程度)の保険料上限を年66万円から80万円へと大幅に引き上げるのに加え、年金のみで年収153万円以上の中所得者の保険料も増やす。約4割の高齢者が負担増となる。介護保険では、保険料の引き上げの他、自己負担引き上げ(2割負担となる所得基準の引き下げ)などを狙っている。
 一方で2022年4月から年金支給額が0・4%引き下げられた。来年度の年金支給額も、マクロ経済スライドが3年ぶりに実施され、物価上昇に比べて目減りする見込みだ。さらに、国民年金保険料の支払いを60歳までから65歳までに延長しようとしている。5年間で約100万円の負担増となる。2025年に法改悪する方針だ。

翼賛体制を突き崩そう 岸田政権の打倒へと進もう

岸田政権の増税、生活切り捨てに対して、怒りが広がっている。共同通信の世論調査(10月29~30日)では、物価上昇が生活の打撃になっていると回答した人は8割超に上る。ツイッターでは、「#自民党に殺される」がトレンド入りした。このまま岸田政権の暴走を許せば、人民生活はさらに破壊され殺されてしまう。
 国会の翼賛体制は、今臨時国会で一気に進んだ。「被害者救済法」だけではない。軍事費倍増と財源問題でも同じだ。野党は全く対決できないばかりか、むしろ軍事費増支持に傾いている。もとより維新は9条改憲とあわせて軍事費増、敵基地攻撃能力保有を主張している。国民民主も敵基地攻撃能力保有に賛成だ。立民も敵基地攻撃能力容認に転換し、「必要な防衛力整備」を求めている。共産党は、中国批判の急先鋒に立ち、自衛隊活用方針を打ち出している。
 翼賛体制の基礎にあるのは、与野党を問わず全政党が「中国脅威論」に立っていることだ。12月5日には参院で、具体的根拠を何も示さない中国非難決議(新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議)を可決した。唯一、れいわだけが反対したが、それは決議は生ぬるい、中国を名指しで批判せよという理由であった。米日政府とメディアが一体となった反中宣伝、「中国脅威論」に同調し、自国帝国主義こそが戦争の脅威を高めていることを自覚し批判することなしに、対中軍拡と軍事費増額に真正面から反対することはできない。
 立民など野党の対決姿勢の欠如、政権へのにじり寄りが、窮地に陥った岸田政権の延命を許していること、図に乗った岸田政権が軍国主義的反人民的政策を一気に推し進めていることを徹底的に暴き出そう。足元から声を上げ、国会の翼賛体制を突き崩そう。
 岸田政権に対する労働者・人民の不満と怒りが、今後さらに広がることは避けられない。さらなる物価高騰、急激な円安に対する無策への怒りは高まる。対中戦争準備の大軍拡とそのための増税、切り捨てと負担増は、反発を呼び起こさずにはおかない。世論と大衆運動の力で、岸田政権をさらに追い込み、打倒へと進もう。「軍事費倍増のための増税反対」を合言葉に闘いの輪を広げよう。

2022年12月9日『コミュニスト・デモクラット』編集局

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