[1]侵略同盟拡大を宣言したヴィリニュス会議――NATOを解体するときが来た!
(1)ヴィリニュス会議の2つのテーマ。対ロシア戦争の徹底抗戦とNATOグローバル化
今年のNATO(北大西洋条約機構)首脳会談が7月11~12日、ロシアとベラルーシを挑発するかのように、近接するリトアニアの首都ヴィリニュスで開かれた。加盟31ヵ国に加え、スウェーデンとウクライナ、グローバルパートナー4国(日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)が参加した。
同会議のテーマは2つある。第1に、ウクライナに対して対ロシア戦争を最後まで徹底抗戦するよう強制すること、ロシアを敗北させ、プーチン政権を打倒し、親米・親西欧の従属国にすること。第2は、NATOのグローバル化だ。その最大の集中点は、NATOをアジア太平洋に拡大し、社会主義中国を軍事的に包囲する対中軍事同盟に変貌させることである。
われわれはNATOの侵略的危険に対する認識を、地理的にも歴史的にも、その凶暴性においても、大きく変えなければならない。首脳会議は米帝と西側帝国主義が世界平和に対する脅威の根源であることをはっきりと示した。ウクライナ戦争はNATOの東方拡大の不可避的結果である。だが、それ以前から、NATOの拡大は、域内・域外を問わず、絶えず人為的に敵を戦争を作りだし拡大し、世界中で殺戮と災禍を生み出してきた。次から次へと新たな敵を作り、新たな戦争を引き起こし、犠牲者を積み上げてきた。NATOが拡大するところに戦争と分断あり、だ。だとすれば、「NATOのアジア太平洋への拡大」はアジア太平洋での戦争と分断を意味する。
ヴィリニュス会議は、新たな「グローバルNATO」への転換点となった。同会議の決定、NATOの侵略的犯罪史とその罪状を告発することで、この「戦争の怪物」の全貌を暴き出そう。「NATOを解体するときが来た!」――欧米の反戦運動はNATOの解体、加盟国からの離脱を要求して闘っている。人類の平和と安全のために侵略的軍事同盟NATOは解体されなければならない。客観的に、そういう時代に入っている。
(2)米帝一極支配の崩壊の始まりとNATOのグローバル化
米帝国主義は、石油・天然資源と市場を追い求めて、1990年代以降旧ソ連・東欧圏に進出することで、米帝一極支配体制を作り上げた。米帝を盟主とする帝国主義的国際秩序は、軍事同盟を拡大し、絶えず侵略戦争と内政干渉で反米・反西側政権を転覆し、獲得した国や地域の資源や市場の支配を拡大し続けることで、行き詰まっていた帝国主義を危機から脱却させ、米帝一極支配を維持してきた。
しかし、西側諸国が2007~08年にグローバル金融恐慌に陥る中で、社会主義中国が持続的な経済成長を遂げ、GDPでドイツを抜き(2007年)、日本を抜き(2010年)、米国に追いつき追い越す間際まで迫っている。中国はこの経済力を背景にロシアとの協力関係を強化し、2001年には上海協力機構(SCO)を、2009年にはBRICSを設立し、2013年には一帯一路が始動する。これらは全てNATOのような軍事同盟ではない。政治的・経済的協力機関だ。
NATOは米帝一極支配の軍事的道具である。NATO本部はブリュッセルにあるが、ワシントンが実際の本部だ。その米帝一極支配が、2010年代以降、中国の急速な発展と中露の連携が主導する「多極化」によって崩壊し始める。米帝主導の西側帝国主義が、中露の台頭に階級的な恐怖を抱き、これを叩き潰そうと本格的に動き始めた。これが「NATOグローバル化」の階級的衝動力である。米帝は、西側帝国主義を巻き込むことによって自らの力の限界を突破しようとしているのだ。
[2]ウクライナ戦争の元凶はNATO―NATOに代えてヨーロッパ全体の安全保障体制を
(1)これ以上犠牲者を増やすな。今すぐ停戦・和平を
これ以上、ウクライナやロシアの兵士や住民の犠牲者を増やすな。今すぐ停戦・和平を。真の平和、永続的な平和を目指すなら、ウクライナのNATO非加盟=「中立化」とファシスト軍の排除、ロシア語系住民の生命と安全の保障が不可欠だ。ロシアとウクライナの双方の平和と安定を実現するには、NATOを解体しヨーロッパ全体の平和を保障する集団的な安全保障体制を構築することが必要である。
ウクライナ戦争ほど、NATOの侵略的本質を露わにしたものはない。昨年2月にロシアはウクライナに軍事侵攻した。確かに主権国家ウクライナへの侵攻は国際法違反で誤りだ。しかし、同時にわれわれは、この戦争の歴史的起源に遡ってこの本質を捉えるよう主張した。親露政権を転覆させた2014年の「マイダンクーデター」以降の、ネオナチのアゾフ部隊によるロシア語系住民の大虐殺を抜きにして、ゼレンスキーとこのファシストとの権力一体化とウクライナにおけるファシズムの復活を抜きにして、またウクライナをNATOに加盟させ、中距離ミサイルでロシアを狙い、対ロシア侵略の前線基地にするNATOの野望を抜きにして、ウクライナ戦争の本質は理解できない。ナチス・ヒトラーとの戦争で2700万人もの犠牲者を出したロシアの恐怖は計り知れない。欧米の戦闘的な反戦運動、左翼・共産主義者が、ウクライナ戦争は2022年2月ではなく、2014年に始まっていたとするのも、そういう意味である。
大多数の新興・途上諸国はロシアの誤りを認めながらも、米や西側の対露全面制裁に反対か保留の立場だ。なぜか? それは、NATOの東方拡大、NATOの侵略的本質が元凶であることを自らの体験から理解しているからだ。
(2)米・NATOによる対ロシア「代理戦争」の性格がますます露わに
1年半が経った現在、米・NATOによる対ロシア「代理戦争」の全貌が露わになった。NATOは、西側メディアを操りながら、「反転攻勢」や「勝利は近い」のデマゴギーをばらまき、ウクライナの兵士や住民を肉弾として消耗させ、尻を叩き、徹底抗戦に追い込んでいる。
ヴィリニュス共同声明は、ウクライナがクリミヤ半島、ドンバスをはじめ全占領地からロシア軍を撤退させるまで戦いを支持する、今後も長期にわたってウクライナを軍事的、政治的、財政的に支援する、ということを確認した。米国は、劣化ウラン弾に続いてクラスター弾供与を認め、フランスは巡航ミサイル供与を決めた。F16のパイロット訓練にも踏みだした。ウクライナにクリミヤ、ロシア本土に対する攻撃をそそのかしている。これらはロシアの報復を呼び起こし戦争の拡大を招きかねない冒険主義だ。
米・NATOは、結局はウクライナのNATO加盟を認めなかった。「門戸は開かれている」「永続的支援の交渉開始」となだめただけだった。
今やゼレンスキー政権は、米・NATO帝国主義丸抱えの、対ロシア消耗戦争をするだけの異様な政権になっている。戦争に必要なもの一切、兵器や弾薬、戦闘や作戦の指揮から軍事諜報要員まで戦争に必要なもの一切を西側が提供し、兵士や警察官、公務員の給与を含む財政の全てが西側からの融資で成り立っている。財政経済政策、関税や物価は米政府とIMFが決め、偽情報の拡散やプロパガンダは英政府が決めている。等々。かつてこんな戦争はなかった!
ウクライナ戦争の元凶は米・NATOであることは明らかだ。未だに、この戦争を「ロシア帝国主義」と「ウクライナ帝国主義」の間の「帝国主義間戦争」と捉えたり、ただ「ロシアの侵略」と捉える見方は、米・NATO帝国主義の全面的な関与の現実から目をそらし、米・NATO帝国主義の侵略的本質を見抜けず、その戦争犯罪を免罪する謬論でしかない。
(3)NATOの対ロ戦争態勢を急速に増強
ヴィリニュス会議は、ロシアを「最も重大かつ直接的脅威」と決めつけ、対ロ戦争態勢を急速に増強しはじめた。ウクライナ戦争で弱らせた後、NATOが直接攻撃する態勢をとり始めた。今回、フィンランドに続きスウェーデンも加盟させ、北部からロシアに対する包囲、軍事的脅威を与える態勢を作り上げた。
ウクライナを長期間ロシアと闘わせるだけではない。並行してNATO自身がロシアに対する戦争態勢を急速に増強している。首脳会議は、各国が軍事費を最低GDPの2%以上に急増させることを確認するとともに、昨年のマドリード会議で決めたNATO軍事計画――現在3万人規模のNATO緊急展開軍を30万人に拡大する、それを東欧に集中配備し、対ロ戦争に備える――実現に突き進みはじめた。冷戦時の軍事対決態勢を再来させ、たとえウクライナ戦争が終わっても、ロシア政権打倒と国家分裂を狙うつもりだ
[3]グローバルNATOと帝国主義的植民地主義
(1)米ソ冷戦終焉後のNATO・EU・グローバル金融資本の支配拡大
NATOはそもそも彼らが言うような「防衛同盟」などではない。攻めたことはあっても攻められたことは一度もない。その侵略的本質はその誕生からして明らかだ。第二次世界大戦の結果、ヨーロッパが社会主義化したことに恐怖し、社会主義ソ連を軍事的に叩き潰すために米欧帝国主義が1949年に創設した。防衛を余儀なくされたソ連・東欧がワルシャワ条約機構を作ったのは6年後だ。米ソ冷戦時代、NATOはソ連社会主義と社会主義世界体制を核兵器と大規模な軍事力で威嚇し続けた。戦争の威嚇で緊張を作り出し、社会主義に膨大な軍事的負担を強要し、最終的にはソ連邦を崩壊させた。NATOは設立当初から現在に至るまで一貫して米帝国主義を盟主とした冷戦と侵略、途上国支配の道具だったのだ。歴史はそのことを示している。
そしてソ連崩壊時に、米ソ間、ソ独間で「NATO不拡大」を公式に約束したにもかかわらず、米・NATOは侵略と異常な拡大を進めてきた。NATO拡大はEU拡大とセットで進められた。米欧のグローバル金融資本はIMF・世銀と一体となって旧ソ連・東欧圏の国有企業の民営化と規制緩和で略奪と市場拡大を進めた。
手始めは親ロシアの姿勢を保っていた旧ユーゴスラビアの解体だった。1995年からの内戦にNATOは空爆と「停戦監視」で介入し、1999年のコソボ紛争では国連安保理決議を経ずに、2カ月にわたってセルビアに対する大規模空爆を行い、劣化ウラン弾で放射能だらけに汚染し、多くの市民の命を奪った。中国大使館を空爆したのもこの時だ。民族的に入り乱れた複雑な火薬庫であるバルカン半島をバラバラに分裂させ、民族紛争を煽り立てた。
1999年にハンガリー、ポーランド、チェコを加盟させ、2004年にはエストニア、ラトビア、リトアニア、スロベニア、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアを加盟させた。2009年にはアルバニアとクロアチア、2017年にはモンテネグロ、2020年には北マケドニアの加盟が決まった。
これら旧ソ連圏・東欧圏加盟の総仕上げがウクライナだった。NATOはここに対露攻撃基地、モスクワまでわずか5分で到達できるミサイル基地を設置する予定だった。そしてフィンランドの加盟が決まり、今回スウェーデンも加盟国の承認を待つだけとなった。ロシアを西側国境線から全面包囲した形だ。
NATOは核武装した核軍事同盟でもある。ベルギー、ドイツ、オランダ、イタリア、トルコに約150発の米軍のB61核爆弾が配備されている。さらにイギリスに米の核兵器配備を復活させる。欧州への核兵器は核拡散防止条約に違反して非核保有国に配備されている。NATOは核先制不使用政策に一貫して反対している。ウクライナ戦争後、まるでロシアが核の脅迫をしているかのように西側メディアは喧伝しているが、NATOの東方拡大がロシアに対する核包囲であることは全く触れない。
(2)域外侵略・域外拡大――中東、アフリカ、ラ米カリブへ
米・NATOは、確かにロシアを正面とするヨーロッパの軍事同盟である。しかし、その認識は現実の半分でしかない。残りの半分は中東・アフリカ、ラ米カリブへの拡大と関与だ。中東・アフリカ、ラ米カリブではNATO軍だけでなく、NATOの主要同盟国が連携して派兵・介入して覇権を行使しており、それらを含めてNATOの支配とみなければならない。
アフリカは歴史的にヨーロッパ帝国主義の植民地・勢力圏であり、戦後は米帝国主義と共に、その植民地・勢力圏の資源・労働力・市場を略奪し支配している。これらの国々は、政治的に独立したにもかかわらず、主権侵害、クーデター、政権転覆などによって未だに新植民地主義支配の軛に縛り付けられたままだ。
実際、2000年代に入って組織的・系統的に中東、アフリカ、ラ米カリブに侵略し、介入し始める。
① NATOは1991年に「新戦略概念」を策定し、公然とNATOの侵略地域を欧州域外へ拡大する決定を行った。1991年には再度新戦略を打ち出し、まずは中東への軍事介入を進めた。2001年、国際治安支援部隊(ISAF)を創設し、アフガニスタン侵略の主要部隊となった。侵略と殺戮は2021年8月に追い出されるまで20年間続いた。イラク侵略では、米英主導の下でNATOの旧東欧加盟国が進んで参加した。2011年には、米・NATOの軍や諜報機関が、イスラム原理主義武装組織を利用してシリアにも介入した。イラクのフセイン、リビアのカダフィに続いてアサド政権打倒とアサド殺害を企てたのだ。侵略で国家元首を殺害するなど、まるで19世紀の植民地時代への回帰だ。NATOのどう猛さ、凶暴さは頂点に達した。西側に操られた国際刑事裁判所は、これら米・NATOの戦争犯罪を暴いたことはない。
2021年はシリアでアサド政権が勝利を確実にし、米・NATOがアフガニスタンから敗退した年
だ。これが、米・NATOが失地回復のためにウクライナを次の戦場に選んだ理由の一つと言われている。
② 次はアフリカだ。2011年、米・NATOはリビアを侵略し、国家元首カダフィを殺害し、国家を丸ごと崩壊させ、その石油資源を略奪した。7月末のニジェールでの反仏・反米・反帝・反植民地主義の軍事クーデターに対する米・仏の介入と干渉は、未だにこの地域が米・NATO帝国主義の植民地支配で苦しめられていることを示している。
米は、2007年にアフリカ軍(AFRICOM)を創設した。米国の欧州軍(EUCOM)も、AFRICOMも本部はドイツのシュトゥットガルトにある。「NATO・AU協力」の名の下、NATOはアジスアベバのアフリカ連合本部に公式連絡事務所を置き、アフリカ連合AUとNATOの高官たちはアジスアベバとブリュッセル(NATO本部)で非公開の会合を開いている。アフリカの民族解放の革命勢力や進歩勢力は、ウクライナ戦争で米・NATOが勝利すれば、次は資源略奪を狙いアフリカへの侵略を本格化すると警戒している。
③ ラ米カリブ地域では、米帝国主義の軍事力が強い。コロンビアが戦略的パートナーとして米軍の拠点としての位置にある。2019年のベネズエラのクーデター策動や内政干渉の拠点はこのコロンビアだった。2021年10月にローラ・リチャードソンが米軍南方司令部のトップに就任して以来、石油・リチウム・金などの資源支配を公然と宣言し、介入を強化し始めた。この地域では米南方軍が介入の中心だ。揺れるペルーに軍隊を派兵した。昨年末時点で、米軍はパナマに12、プエルトリコに12、コロンビアに9、ペルーに8、ホンジュラスに3、パラグアイに2、アルバ、コスタリカ、エルサルバドル、キューバ・グアンタナモ、ペルーなどに軍事基地を置き、CIAや民間軍事会社、傭兵や現地軍と行動している。個々の基地は小規模だが、介入時には南方軍が全面介入する。NATOとしては、アルゼンチン領でイギリスに簒奪されたマルビナス諸島を中心に南極地域で軍事プレゼンスを強化している。英原子力潜水艦が活動し、フランスとアメリカが定期的に合同軍事演習を行っている。
先進帝国主義のわれわれは、日々、制裁・介入・政権転覆と闘うキューバ、ベネズエラ、ニカラグアを含むラ米カリブの反帝勢力や労働運動・社会運動との連帯を片時も忘れてはならない。米・NATO帝国主義の侵略性と凶暴性をいささかも曖昧にしてはならない。
(3)中国主導の「多極化」「脱ドル化」攻勢。NATO拡大に限界と矛盾が噴出
なぜ米・NATOは中国とロシアを戦略敵に据え始めたのか。両国が米・NATO帝国主義に服従しないからであり、とりわけ中国が社会主義国として政治的・経済的力量を付けてきたことが大きい。だが同時に、米・NATO帝国主義と植民地主義との密接不可分の関係を忘れてはならない。新興・途上諸国に対する略奪・収奪は、米帝と西側帝国主義の「成長」「繁栄」の源泉である。ここに政治・経済支援で中国が、軍事支援でロシアが急速に浸透し始め、これら諸国の民族主権の後ろ盾、形式的・政治的独立から経済的独立に発展する後ろ盾になり始めたのである。収奪源泉がなくなれば、西側帝国主義支配の根幹が揺らぐ。だから、後ろ盾を叩かねばならなくなったのである。
しかし、米帝一極支配が急速に後退する中では、NATOの凶暴性にもグローバル化にも限界が出てきている。第1に、ウクライナ戦争で米・NATOの思惑通りにロシアを敗北させられなかった。逆に、対ロシア全面制裁はインフレ・物価高となってはね返り、また軍事費急増・軍拡一辺倒は、労働者・人民に財政危機と大増税となってはね返り、労働運動・人民運動を活発化させている。
第2に、社会主義中国は防衛力を強化し、香港や新疆ウイグルなどでの国家分裂策動を次々と撃退し、容易には攻め込めない状況だ。
また第3に、NATO加盟国が増えれば増えるほど、内部矛盾が増大する。NATO東京事務所をめぐるフランスの反対、農産物輸出を巡るポーランドとウクライナの対立、対中国デカップリング、デリスキングをめぐる帝国主義間矛盾など。
何よりも第4に、米帝一極支配の急速な後退がNATOを掘り崩し始めている。今年に入ってからの中国の怒涛の外交攻勢、「脱ドル化」攻勢が、新しい「多極化世界」を急進展させ始め、社会主義中国と新興・途上諸国(グローバル・サウス)が世界政治・経済の中心に躍り出はじめた。
中国が主導する「多極化」戦略は、今日における世界的規模の階級闘争の基本戦略の柱である。米帝一極支配と西側帝国主義による世界覇権体制、帝国主義の支配・抑圧・略奪と内政干渉に対して、非同盟・非対立、主権尊重・内政不干渉、対話と交渉に基づく紛争解決などを原則とする新たな平和共存戦略だ。米と西側帝国主義が戦争一辺倒、制裁と略奪で世界覇権を維持しようとしているのに対して、中国と上海協力機構SCOは戦争と軍事支配、略奪と内政干渉に反対する。米とNATOがウクライナ戦争長期化、NATOのグローバル化を追求するのに対し、停戦と対話と協議促進、政治解決の道を追求し、軍事同盟に対して非同盟・平和共存を求める。両者の対比は鮮明だ。
「多極化」の要にはSCOや拡大BRICSを柱にする国際的協力関係がある。8月のBRICS拡大サミットは基軸通貨ドルを根底から揺るがし、世界的な脱ドル化をさらに加速するだろう。
[4]NATOのアジア太平洋への拡大反対 NATO東京事務所開設を許すな
(1)岸田政権の突出した危険性――日本のNATO化に反対しよう
バイデン政権は、ウクライナ戦争を利用し、NATOの「アジア太平洋化」とアジア太平洋同盟国の「NATO化」を加速させた。米国は2022年4~5月に相次いでNATO外相会議とNATO軍事委員会参謀総長会議を開催し、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを抱き込み始めた。翌6月には、4カ国はNATOサミットに参加した。以来、4カ国は、日常的にNATO会議に参加し、軍事協力を拡大している。
岸田はいったいどこまでエスカレートさせるつもりなのか。岸田は今年5月、NATOのストルテンベルグ事務総長と東京で会談し、2024年に東京にNATO連絡事務所を開設することで一致した。これは単なる事務所設置ではない。アジア太平洋4カ国との協力調整の拠点とする計画である。つまり日本がNATOのアジア太平洋の拠点となる危険きわまりない合意なのだ。安保3文書の閣議決定、関連法の強行採決に次ぐ、国会審議も何の議論も経ない岸田の独断の「決定」だ。断じて許すことはできない。
すでに日本は、自衛隊の欧州でのNATO共同訓練参加など軍事協力関係を緊密化してきた。2018年にNATOバルト海軍演習に初めてオブザーバー参加したのを皮切りに、黒海やバルト海での共同訓練に参加し始めた。2022年4月にはNATOサイバー防衛共同演習に参加、今年6月にはNATO空軍演習に自衛隊をオブザーバー参加させ、欧州でのNATOの共同演習に参加することが常態化しつつある。岸田政権は、NATOのアジア太平洋への拡大、グローバル化に全面的に協力し、主導的役割を果たそうとしているのだ。
ヴィリニュス首脳会議で、日本政府はNATOとの間で個別目標パートナーシップ協定ITPPに署名し軍事協力強化を確認した。それはサイバー防衛、宇宙安全保障、新興破壊技術などでの協力強化のための協定だ。7月に民間シンクタンク主催で行われた台湾有事の机上演習で重要焦点となったのがサイバー攻撃の問題だ。想定される戦争はサイバー攻撃で始まる。検討の中心に置かれたのは、いかにサイバーでの先制攻撃を行うかの問題であった。ITPP協定はこの今後の戦争技術の最先端での協力強化を決めたのだ。
侵略同盟NATOのアジア太平洋への拡大、日本のNATO参加に反対するか否か――日本の反戦運動は、これを正面から取り上げ闘うかどうかが鋭く問われている。NATOグローバル化反対、日本のNATO参加反対の声を上げていこう。
(2)西側帝国主義を総動員した対中包囲、対中戦争挑発を許すな
NATOの「アジア太平洋化」と日韓豪の「NATO化」の目的は、台頭する社会主義中国の封じ込めである。すでに2018年頃から英仏独などはインド太平洋戦略を作成し、アジアへの軍事的政治的経済的関与強化を追求してきた。2021年には米英豪の軍事同盟AUKUSが創設され、その前後には英独などNATO各国が空母や艦隊、さらには航空機や地上部隊をインド太平洋に送り込み、日米豪各軍と大規模な共同演習を行うようになった。
そして、昨年のNATOマドリード首脳会議で「NATO2022戦略」を決定し、初めて中国を脅威と表記した。米国の要求、対中戦略に全面的に従った戦略転換を図ったのだ。ヴィリニュス共同宣言では「中国の野心と威圧的な政策は、私たちの利益、安全、価値観に挑戦」「中国とロシアの間の戦略的パートナーシップは価値観と利益に反する」と公然と戦略敵であると規定した。さらにNATOのアジア太平洋への拡大によって、ASEANを切り崩し、対立と分断を持ち込み、対中包囲に取り込むことを狙っている。文字通り、西側帝国主義を総動員した対中包囲網、対中戦争挑発である。アジア太平洋における戦争挑発と対立激化を食い止めなければならない。
NATOグローバル化と日本参加に反対し、「沖縄を再び戦場にするな」「日本全土を攻撃基地にするな」「戦争を止めよう」を掲げ、大衆的な運動と世論を作ることに全力をあげよう。日本の対中戦争計画、日本の軍備大増強を徹底批判し、軍事費大幅増に反対しよう。戦争に誘導する反中国のプロパガンダを徹底的に批判しよう。
2023年8月7日
『コミュニスト・デモクラット』編集局