トランプはイランとの暫定和平合意(イスラマバード覚書)を踏みにじり、7月7日から3週間以上にわたって断続的に大規模攻撃を繰り返した。しかし、イランを攻撃で痛めつけ、不利な条件を強制しようとしたトランプのもくろみは全く失敗した。トランプは「第2次大戦以来の大規模攻撃」「大変な目に遭わせる」「その前に屈服せよ」と恫喝をさらにエスカレートさせたが、大兵力の航空機を結集させイスラエル軍も参戦する予定の攻撃は、開始当日とされた8月2日に突如見送られた。トランプはイランからの要請だと言ったが、イランはその主張を否定した。
露呈した米軍事力の限界と八方塞がり
実際には米軍の軍事力の限界と米の覇権の限界が再びはっきりと現れた。トランプはイランが譲歩する見通しもないまま、攻撃を先送りせざるを得なかった。まず米軍とCIA自身が「これ以上空爆をしても効果は上がらない」と無謀な作戦に警告した。長距離誘導対地ミサイル在庫を使い尽くした。対空ミサイルパトリオットは3分の2を、THAADミサイルは約8割を消耗した。すでにミサイル迎撃体制がとれなくなり、被害が増大している。湾岸諸国の米軍基地はイランの攻撃でボロボロ状態だ。
軍事的限界だけではない。ホルムズ海峡、バブ・エル・マンデブ海峡の封鎖の影響で、石油価格が高騰を続け、米の原油備蓄が底をつきかけ、トランプの恐れるガソリン値上げとインフレ、経済危機が現実の問題になっている。直接の打撃は同盟国であるサウジアラビアから来た。同国は攻撃の中止をトランプに要求し、もし実施すれば米国債を売ると脅したという。軍事力、経済危機、同盟関係の全方位から迫られてトランプは攻撃を延期せざるを得なくなったのだ。
トランプのイラン攻撃は完全に行き詰まり、八方塞がりにある。暫定合意は、米国の戦略的敗北を明らかにした。それは変わっていない。米軍はイランに地上戦を仕掛けるための陸上兵力を湾岸に持っていない。たとえどんなに大規模な空爆を行おうとも、それに備えているイラン政府を屈服させることはできない。
あくまであがく米帝の凶暴性
トランプは数日以内にイランと協議が始まるとごまかしている。しかし、イランは協議は存在しないと言っている。存在しているのはホルムズ海峡の管理を巡るイランとオマーンの2国間の交渉だけである。トランプは関係者であるかのように装っているだけだ。たとえイランと交渉ができたとしても、新たな条件をイランに押しつけることはできないだろう。暫定合意と交渉に戻ること以外の道は残されていない。
しかし、相手はトランプだ。勝利の見通しを失い、八方塞がりに陥っても、何をするかわからない。何の展望もないまま再び攻撃に転じる可能性は否定できない。現に交渉がうまくいかなければ攻撃を再開すると言っている。さらにネタニヤフが自身の政治的延命のために戦争の永続を望み、対イラン単独攻撃もあるなどと米国に圧力をかけ続けている。侵略戦争によって信じられないほど巨額の暴利が転がり込む米軍産複合体が、イラン戦争のみならず、世界中で戦争が続くことを追求している。米国内の支配層と戦争推進勢力は、米国民の約6割がイラン攻撃に反対していることなど全く気にしないのだ。
イランと連帯して米の侵略戦争をやめさせよう
イランは大規模な空爆で大きな被害を受けながらも、攻撃に耐え抜き、米国に一歩も引かずに侵略を押し返し、トランプを追い詰めている。戦争はすでに地域全体に広がり始めている。サウジアラビアはイエメンを攻撃し、逆に紅海を封鎖され、報復にあって国内の製油施設に大きな被害が出た。クウェートとバーレーンがUAEの協力でイランに攻撃を仕掛け、反撃を受けた。何よりもイスラエルがガザで虐殺と占領を続行しながら、レバノンでの空爆と戦闘を行っている。
イランはこれら米・イスラエルの中東侵略戦争全体と最前線で闘っている。このイランを支持・連帯し、米・イスラエルに戦争を止めさせ、暫定和平合意と協議に戻らせ、湾岸からの米軍の撤退を要求しよう。侵略をやめろ、ジェノサイドをやめろの声を世界中から突きつけなければならない。
高市政権はトランプのイラン侵略を支持し、戦争を止めるために動くどころか、タンカーを通峡させるためにさえ指一本動かさなかった。原油輸入の9割近くを占める中東からの供給が現に脅かされ、物価高騰が労働者・人民の生活を直撃しているのに、それよりも米国との同盟関係を優先させた。高市政権は米・イスラエルと並ぶ侵略戦争推進勢力なのだ。高市政権の米国・イスラエル支持を厳しく批判し、米軍による攻撃の即時中止と湾岸地域からの撤退を米国政府に要求させなければならない。
2026年8月6日
『コミュニスト・デモクラット』編集局
