トランプ大統領はベネズエラ侵攻を睨んでカリブ海に米軍部隊を送り込み、挑発を繰返している。イージス巡洋艦、駆逐艦4隻、原潜、強襲揚陸艦など3隻、F35・10機や哨戒機、攻撃ドローンと4500人の兵士を送り込んでいる。この部隊は強襲上陸作戦を行うためのもので、他国に侵略するために部隊だ。

「麻薬戦争」のデタラメを暴露しよう
トランプ政権はすでに4度にわたって「密輸船」をミサイル攻撃し、21人を爆殺してきた。麻薬密輸船である証拠は何一つ開示されない。臨検も取り調べもなく、突然「処刑」されているのだ。単なる私刑であり、国際法違反だ。
さらに米国はベネズエラのカツオ漁船を拿捕し、8時間にわたって拘束した。駆逐艦を沿岸に近づけ、5機のF35戦闘機をベネズエラ領空に近づけるなど挑発を強めている。カリブ海北部の米領プエルトリコで海兵隊が強襲上陸作戦の訓練を続けている。トランプ政権はベネズエラに対する陸上攻撃の実施に何度も言及している。「密輸船爆破」はベネズエラ侵攻のための口実づくりにすぎない。
トランプは、ベネズエラが麻薬生産地で、マドゥーロ大統領が密輸団の首領だと主張するが、全くのウソだ。麻薬の主要生産国はコロンビア等であり、コカインはベネズエラ・カリブ海経由ではなくメキシコと太平洋ルートでほとんど運ばれる。太平洋に展開するならともかく、カリブ海での麻薬密輸への艦隊派遣などカモフラージュに過ぎない。
米国の麻薬問題は米国の問題であり、米国政府の責任である。米国内で抜本的な密売組織対策を取らず、人々が麻薬に走るような格差と貧困にまともな対策を取らないことに根本原因がある。
トランプの狙いはマドゥーロ政権転覆
情勢は緊迫している。最新報道では、米=反革命野党が在ベネズエラ大使館を爆破し、これを口実に米軍が介入するという自作自演の「偽旗作戦」も浮上している。さらに昨年7月の大統領選挙ででっち上げの「選挙結果」を捏造して勝利を宣言したゴンサレスやマチャドが、艦隊派遣に呼応して「すぐにことが起こる、待機せよ」と米軍介入に合わせてクーデターや暴動を起こせと呼びかけている。これは治安当局が事前に察知し、彼らの計画は失敗した。だが油断はできない。
ベネズエラ侵攻と国内弾圧強化は一体のもの
もう一つ重要なことは、トランプ政権が、今回のベネズエラ侵攻計画と強権的な国内弾圧体制強化を同時に推し進めていることである。米政府は現在国家防衛戦略(NDS)を作成中だが、その中で従来優先順位1位の敵は中国であったものを、それと同列かそれより優先して「ホームランド・セキュリティ(本土防衛)」を入れたという。このホームランドには南北アメリカ全体が含まれる。モンロー主義そのものだ。すなわち、対外侵略=ラ米カリブで米に服従しないベネズエラ政権の転覆と、対外弾圧=米国内で違法移民逮捕と追放、民主党系首長の大都市への州兵派遣と軍による弾圧が一体となっているのだ。この内外の軍事的強権が緊張を高め、右派の支持者を固め、来年の中間選挙に向けた選挙戦略になっているのだ。
防衛体制を強化するマドゥーロ政権
マドゥーロ政権は米に対して軍事挑発をやめるよう要求するとともに、万一の軍事侵攻に備えて国内の防衛体制強化を進めている。国民に民兵への志願を呼びかけ、すでに800万もの人々が民兵に志願し、訓練などに参加している。民兵組織は全国のコムーナ組織と結び付き、地元の自治・生産組織に支えられている。もちろん正規軍も自衛のために緊張した体制を維持している。マドゥーロ政権は24州全州に「主権と平和のための国家評議会」を設置し防衛体制を強化するとともに、侵略が行われれば「外部動乱状態」令を発動して態勢を強化する。カリブ海沿岸の諸国もベネズエラを支持して米国に対する牽制を行なっている。コロンビアのペトロ大統領はベネズエラに対する介入はコロンビアに対する介入とみなすと宣言した。キューバ、ロシア、中国など多くの国がカリブ海での米軍の軍事行動と緊張激化に反対の態度を表明している。
今こそ世界中から米帝のベネズエラ侵略反対の声を集中しよう。社会主義指向ボリバル革命を支持しよう。コムーナ国家防衛に連帯しよう。
2025年10月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局