米=イスラエルはガザ全面占領攻撃をやめよ!
○食糧封鎖を解け!虐殺をやめろ!「ガザ人道財団」即時解体!
○G7諸国は無条件でパレスチナ国家を承認せよ        

 イスラエルの安全保障閣僚会議(戦争内閣)は8月8日、ガザ北部のガザ市完全制圧計画を承認した。100万人とも言われるガザ市住民を強制移住させ、全面軍事占領し、それをガザ地区全域へと拡大する計画だ。ネタニヤフ首相は、ガザ占領と人質解放の行き詰まり、軍中枢との対立などで深刻化する政権危機を、全面占領という軍事的強硬路線で打破しようとしているのである。だがそれは、すでに深刻化の一途をたどる飢餓を急拡大させ、虐殺戦争と民族浄化を歯止めのない泥沼に陥らせる。許しがたい戦争犯罪である。

 22ヶ月に及ぶ米=イスラエルのガザ虐殺=民族浄化戦争は、重大な転換点を迎えた。ネタニヤフはガザ全面占領攻撃をやめよ。全世界の運動と連帯し、虐殺と飢餓を止めるために行動しよう。

破局的段階に入ったガザの飢餓

 ガザ・ジェノサイドの死者数は6万1000人超、負傷者は12万人以上にのぼる。英医学誌ランセットによれば、実際の死者は40%多く、死者・行方不明者だけで11万人、間接的な死者を含めると35万人以上になる。
 ガザでの飢餓が急速に深刻化し、大規模な飢餓の危機が差し迫っている。国連機関はガザの約210万人全員が飢餓に直面していると警告している。ガザ保健省によると、栄養失調などによる死者は、8月4日までに子ども93人を含む180人にのぼる。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は7月24日、ガザ市の子どもの5人に1人が栄養失調状態にあると明らかにした。世界食糧計画(WFP)は7月29日、広範囲で食料不足と栄養失調が深刻化し、大規模飢饉ききん の危機を示す最も深刻な段階(IPC第5段階)が迫っていると警告した。人口の39%が数日間にわたって食事をとっていない。

 深刻化する飢餓は、イスラエルが3月以降に物資搬入を全面停止した直接的な帰結だ。

 イスラエル軍と、ドイツ・フランス・スペイン・アラブ首長国連邦(UAE)・ヨルダン・エジプト6カ国による、上空からの「援助物資」投下など全くの偽善であり、食糧封鎖を正当化するものだ。それ自体が死亡事故を引き起こすほど危険なうえ、量が圧倒的に足りない。飢餓に苦しむ人々をわずかな食糧投下場所に殺到させ、混乱を招くだけだ。ガザの飢餓を止めることは何も難しいことではない。停戦し、封鎖を解除し、陸路で物資を入れればいいのだ。

「死の罠」と一体の「強制収容所」建設をやめろ

 飢餓による住民殺りくだけではない。食料を武器とした「死の罠」でも虐殺を繰り返している。イスラエルと米国の「ガザ人道財団」(GHF)は、食料を配布するとして人々を集め、大量住民虐殺を組織的に遂行している。すでに1500人以上が食料を取りに行って殺され、数千人が負傷させられた。GHFに協力していた警備請負会社の元米軍人アンソニー・アギラル氏は、GHFの配給拠点は「集まった民衆を餌食にする〝罠〟」であり、実際にイスラエル軍が群集に戦車砲を撃ち込んで殺害したと証言している。

 イスラエルは、ついに「強制収容所」の建設に着手し、ガザでの民族浄化計画を次の段階へと進めた。カッツ国防相が7月7日、ガザ南部・ラファに「避難民を収容する区域」を設ける準備をするよう軍に指示したのだ。まず、ガザ南部に避難している約60万人の住民を、身体検査をして収容し、最終的には約200万のガザ住民全員を収容するという。イスラエル軍が周辺の警備を担い、運営はGHFが担う可能性が高い。イスラエルはこれを「人道都市」と称するが、実態は強制収容所だ。一度入ったら、住民は離れることを許されない。GHFと連携したボストン・コンサルティング・グループが、住民を域外に強制移住させる計画もある。

広がる国際連帯ーーイスラエル制裁に踏み出したハーグ・グループ

 イスラエルによる飢餓攻撃と「死の罠」を非難し、虐殺阻止のための具体的措置を自国政府に求める、数万人から数十万人のパレスチナ連帯行動が、欧州を中心に各国で途切れることなく続けられている。飢餓攻撃に対する抗議として、毎日午後6時に空の鍋を叩くアクションも、世界的に呼びかけられている。ガザ支援船「マドリーン号」「ハンダラ号」はイスラエル軍に拿捕されたが屈していない。今度は、8月末から9月初め、世界各地から数十隻の民間船舶が地中海に集結し、ガザ封鎖を海から破ろうという「史上最大の民間船団」によるガザ救援フロティラ派遣計画が進んでいる。

 このような国際的連帯の広がりに連動して、グローバル・サウス諸国はより直接的で実効性のある措置に動き始めた。イスラエルの戦争犯罪を糾弾し、ICJ(国際司法裁判所)判決ICCC(国際刑事裁判所)のネヤニヤフ逮捕状執行、国際法の適正な執行を要求するハーグ・グループは、7月15~16日、コロンビアの首都ボコタで緊急閣僚会議を開催した。コロンビア・南アフリカ両政府が共同議長となり、中国・ブラジル・メキシコ・トルコ・カタールなど30カ国以上が参加し、対イスラエルでの具体的制裁措置を協議した。

 会議には、パレスチナの人権状況に関する国連特別報告者、フランチェスカ・アルバネーゼ氏が招かれた。同氏は7月3日、グーグル、アマゾン、マイクロソフトなど米IT企業、米ロッキード・マーチンなどの軍需企業、日本のファナックを含む60社以上がガザのジェノサイドから利益を得ているとする報告書を、国連人権委員会に提出していた。ボゴタ会議で同氏は、「これ以上空虚な言葉ではなく行動に移す時だ」と力強く訴えた。

 会議の全参加国は、即時停戦の呼びかけとともに、即時の国内政策と立法を通じて国際法を恐れや偏見なく施行しなければならないことに同意した。さらに、コロンビア、キューバ、インドネシア、イラク、リビア、南アフリカなど12か国は、イスラエルヘの武器・弾薬・軍装備品・燃料などの禁輸、イスラエルヘの輸出品を積んだ船舶の寄港拒否など6つの措置を即時実施することを約束し、第80回国連総会開催日である9月20日を、他の国々の参加日として設定した。ボゴタ会議は、米国の拒否権によって機能不全となっている国連安保理に替わり、グローバル・サウス諸国が中心になって具体的な制裁措置を行う行動の第一歩となるものだ。

西側諸国の「国家承認」は詐欺 無条件でパレスチナ国家を承認せよ

 これまでイスラエルを支持してきた国々の政府も、持続的な運動の圧力を無視することが難しくなっている。7月21日には、オーストラリア・カナダ・イギリス・フランス・日本など31ヵ国外相が「ガザへの攻撃の即時停止」を要求する共同声明を出した。スペインなど欧州諸国の一部は、イスラエルへの武器輸出の停止を決めた。ドイツもガザで使われる武器の禁輸を決めた。

 さらに、パレスチナを国家として承認する動きが広がっている。すでに国連加盟193カ国中147カ国が承認しているが、G7の中からも初めてフランス、イギリス、カナダが7月下旬に相次いで国家承認の意向を表明した。
 しかし、その「国家承認」は、きわめて偽善的・詐欺的なものだ。「承認」と言いながらイスラエルに武器を送り続けている。それは、イスラエル制裁を具体化したハーグ・グループの動きと対照的だ。
 カナダの「国家承認」は、「ハマスが関与しない選挙実施」という条件つきだ。英国スターマー首相は「ハマスはテロ組織であり、いかなる二国家解決にも関与する余地はない」と明言した。フランスもハマスの徹底的な武装解除を将来の和平の前提条件としている。

 イスラエルとパレスチナの「2国家解決」を議題とする国際会議(共同議長はフランスとサウジアラビア)が7月30日に採択したニューヨーク宣言では、ガザ・西岸の統一統治をパレスチナ自治政府(PA)に集中すること、ハマスの武装解除とパレスチナ統治からの排除を、パレスチナ国家承認の前提として明記した(日本を含む17ヵ国、EUおよびアラブ連盟が署名)。イスラエルに代わってハマスを武装解除し、これまで西岸で抵抗勢力を弾圧しイスラエルの手先となってきたPAの武装部隊にガザを支配させようというのだ。
 要するに、これら諸国のパレスチナ国家承認と「2国家解決」とは、形を変えたイスラエルによる支配でしかない。パレスチナの民族自決、真のパレスチナ解放につながるものでは全くない。

 ハマスとパレスチナ抵抗勢力は、「いかなる前提条件もないパレスチナ人の独立国家樹立」との姿勢を変えていない。ハマスは8月1日の公式声明で、「各国の努力には感謝する」としながらも、「パレスチナ抵抗運動とその武装は、占領が続く限り認められた正当な権利であり、完全独立を達成するまで放棄されることはない」「まず大量虐殺と民族浄化を即時に止めさせ、占領そのものを終わらせることだ」としている。当然の要求だ。

 われわれは、一切の条件なくパレスチナ国家の承認を要求し、ジェノサイド阻止・パレスチナ解放の国際的なうねりに合流して闘う。石破政権に、以下の実行を要求する。

①イスラエルに、ガザ大虐殺の即刻中止、軍の即時全面撤退、恒久停戦を求めること
②人道支援物資のガザ搬入制限撤廃、「死の罠」の中止を求めること
③駐イスラエル大使召還など制裁を課すこと
④年金基金(GPIF)による投資引き上げ。軍用ドローン輸入中止など、イスラエルとの経済協力関係の停止。
⑤無条件でパレスチナ国家を承認すること。

2025年8月8日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

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