今こそ凍結資産を返還し、制裁を即刻・全面解除せよ!
6月24日にM7.2とM7.5の連続大地震がベネズエラを襲った。8月3日現在、死者は6100名を超えた。ボリバル革命政権は懸命の救援・復興活動に奮闘している。だが、日本を含む西側メディアは、ベネズエラ政府やコムーナの即刻の活動は一切報じず、政府の「対応の遅れ」やそれに対する「民衆の不満」を意図的にかき立てている。共通するのは、米と西側の制裁・封鎖・資金流用に全く触れないことだ。実際、災害対応や復興の資金不足の元凶は制裁なのである。
災害拡大と復興阻害の最大の元凶は制裁・封鎖だ
今回の地震による経済的損失は、7月2日に発表された国連防災機関UNDRRによる詳細な評価では、直接的な被害額だけで370億ドルに上る(ベネズエラの国内総生産の32%に相当)。復興資金はそれをはるかに上回る額になる。
チャベスが「ボリバル革命」を開始して以来25年以上にわたり、ボリバル革命を絞め殺そうとして、米帝国主義はクーデターや右翼勢力による暴力的な反政府運動など、ありとあらゆる反革命策動を断行してきた。
米国による制裁は、ここ10年の間に1088件にのぼり、そのうち1040件が現在も有効である。特に今年1月3日の攻撃とマドゥーロ大統領拉致以降、制裁がいっそう強化され、ベネズエラの輸出収入の管理権を米国が掌握するようになった。それによって、石油収入をはじめとするベネズエラの対外収入の大半を略奪している。今年1月3日以降の石油収入だけで少なくとも130億ドルと見積もられている。このうちベネズエラ政府が受け取ったと公表したのは5億ドルに過ぎず、多くの売り上げがどこに行ったのか明らかにされていない。トランプは130億ドル以上手に入れたと豪語している。つまり資源の略奪だ。
また、ベネズエラの国外資産が銀行口座を含めてすべて凍結されている。米国だけで資産凍結は110~130億ドルにのぼると推定されている。英国もこれに加わり、イングランド銀行に保管されている31トンの金(gold/45億ドル超)の返還を拒否している。さらに50億ドルのIMF特別引き出し権も凍結され、利用できない状況にある。米国は、今回の地震に際して一部の制裁の一時的な免除措置を取ったが、それは人道的ジェスチャーにすぎないもので、それも10月で期限切れとなる。制裁のほとんどはこれまで通り維持されている。
米国による経済的略奪については、次のような評価が出ている。トリコンチネンタル社会調査研究所は、2017年から2024年までの石油収入の損失額を2260億ドルと推定しており、これはベネズエラのGDPの2倍以上に相当する。また、ワシントン・ラテンアメリカ・オフィス(WOLA)の試算によれば、2017年から2020年の間だけでもベネズエラ政府は170億ドルから310億ドルの歳入を失ったと推定している。
米制裁の解除は、ベネズエラ政府をはじめとしてベネズエラを支持する諸国政府や諸組織が要求しているが、米国内でも7月7日に、ジェフリー・サックス、ジェームズ・ガルブレイス、ジャヤティ・ゴーシュ、イザベラ・ウェーバーら100名を超える経済学者や研究者が、ベネズエラの凍結資産の解除、制裁の全面的な撤廃、債務の帳消しを求めた。また7月14日には、米民主党下院議員14名が署名してトランプ大統領宛に書簡を送り、凍結された約110億ドルの国家資産へのアクセス許可と、人道支援物資の搬入を妨げる無差別な金融制限の緩和を求めた。それを多数のNGOが支持している。
米国に対して制裁・封鎖の解除、海外資産の凍結解除を要求しよう。
ボリバル革命政権・コムーナの闘いを支持しよう!
ロドリゲス政権は、地震発生の数分後から即応し始め、1時間半後には本格的な対応を取り始めた。指揮系統を一元化して混乱を排除し、迅速な対応を実施した。それは、大規模な自然災害に際してこれまでに行われた他国の政府対応に比べ、かなり迅速で優れたものであった。
ところが西側メディアの報道は醜悪だ。「政府対応の遅れ」「国民の不満」独裁政権の情報統制」など、まるで当事者能力がないかのように煽動している。外部からの圧力で政権転覆するしかないという邪悪な国際世論を醸成しようとしている。それには、右翼の反動的なメディアだけでなく、「リベラル」や「独立系」とされるメディアも加わって、世界中で大衆を欺いている。日本では朝日新聞や毎日新聞がそれだ。ベネズエラ政府の迅速な対応などは全く報じられず、なかったものとされ、逆に「独裁的な」政府が「人道的支援の障害」となっていると報じているのである。
素早かった革命政府の地震直後72時間の対応

https://orinocotribune.com/venezuela-beacon-of-solidari
ボリバル革命政府は、地震発生から数分後には対応を開始し、1時間半後には「緊急参謀本部」を発足させて本格的な対応を開始した。25日には非常事態宣言を発令した。国軍の少将が最高責任者に任命され、指揮系統が確立された。これによって意思決定が一元化され、対応の分散化と非効率が抑止された。ロドリゲス大統領代行が各省庁の調整役となり、国際支援の管理を担当した。国内の治安と秩序の維持はカベージョ内相が一元的に指揮し、国軍、警察、消防隊、市民部隊などの配備を指示した。その他さまざまな活動が、指揮系統の一元化によって集中される形になった。
国内で病院や物資貯蔵施設が最も多く集中しているのは首都カラカスだ。物流ルートを確保するために、首都と災害の中心地との接続ルート確保が最優先され、カラカスと災害中心地ラ・グアイラ州との交通ルートが、いち早く運輸省と軍の工兵隊によって復旧された。救援活動に、最初の24時間で4000人が配備され、48時間で1万人以上になり、さらに軍民合同要員で約3万人に増員された。また、初日に1万9000人のボランティアが登録された。1日で電力と飲料水の90%が復旧し、治安は維持され、混乱と略奪は排除された。
国際協力・支援に対しては、政府が緊急空路を確保し、最初の3日間で9か国からの救援隊員の円滑な入国を可能にした。その後147か国と33の国際機関からの連帯が表明され、外国からの支援部隊に、「緊急参謀本部」が作成した被害状況地図に基づいた正確な地理的配置が割り当てられた。
トランプは軍事介入部隊を投入 反革命野党糾合策動
米軍は、首都近郊のシモン・ボリバル国際空港に100人の空軍管制要員を送り込んだが、ベネズエラ政府は管制権を渡さず、支援を止めさせた。主要港であるラ・グアイラ港には米国の軍艦2隻が停泊し、MQ―9リーパー無人機や戦闘ヘリコプターがカラカス上空で偵察飛行していて、ベネズエラ周辺には陸・海・空にわたり約2000人の米軍部隊が展開している。ラ・グアイラ港には当初強襲揚陸艦フォート・ローダーテールが、交代でサン・アントニオが送り込まれた。海兵隊員、上陸用舟艇、ヘリコプター、軍事装備を紛争地域へ輸送するために建造された強襲揚陸艦である。もう1隻は、沿岸海域での作戦行動を想定して建造された高速戦闘艦である。
米国はベネズエラ国内に当初900人以上の軍人を派遣したが、そのうち救助活動に従事したのはわずか300人のみ。しかもほとんど活動しなかった。派遣された軍艦2隻は1月3日の攻撃のときにも配備されたもので、同時に「第82空挺師団」が展開された。この師団は、世界各地での米国の軍事介入部隊として有名であり、直近ではイラン戦争のために湾岸に配備されている。ベトナム、アフガニスタン、イラクに派遣され、またラ米カリブ地域ではドミニカ共和国、グレナダ、パナマ、ハイチなどに米国の軍事的支配のために派遣されてきた。
米軍は7月26日には「復興支援」の任務を終えて今回派遣された全員がベネズエラを離れた。米国の動きは、この自然災害を好機とみて、戦争の軍事的下見を行うと共に、反政府分子と連携してさまざまなデマをばらまき不満を煽り、政権弱体化を狙ったことを明瞭に示している。ベネズエラの国家権力とボリバル革命を支える人民諸組織の解体まで狙っているのだ。さらに米国は、自国の軍だけでなく、反革命に転じたシリアからの「ホワイト・ヘルメット」を含むチームとイスラエルの軍も活用している。「ホワイト・ヘルメット」は、シリア政権打倒を目的としてつくられた組織で、「政権交代」を狙う勢力に「人道支援」という体裁を与える役割を担った専門家たちだ。
さらにルビオ国務長官らの影響下で、ベネズエラ議会と「2015年議会」を僭称する野党との間で「民主化プロセス」を巡る話し合いが始まった。政権は制裁解除と災害復興に向けて野党の協力、国民の一体化の可能性を追求している。逆に野党はマチャドが参加せず、他の野党も足並みが乱れ、統一して政府に対決できず、米側の思惑が崩れている。
コムーナが災害救援・復興の先頭に立つ

(ベネズエラ大統領府報道局)
長年にわたる制裁に加えて、1月3日の米侵略と大統領夫妻の拉致、その後の制裁のいっそうの強化にもかかわらず、ボリバル革命の根幹であるコムーナをはじめとする人民の諸組織は依然として健在である。このコムーナが今回の大災害の救援・復興の先頭に立っている。
コムーナは、地域住民が自発的に組織し、生産、分配、統治を自ら行う地域自治・直接民主主義のネットワーク・システムだ。故ウゴ・チャベス前大統領が提唱した「21世紀の社会主義」の根幹をなすものであり、国家の官僚機構に頼らず、住民自身が地域の課題を解決することを目指している。現在、全国に5300以上あり、「コムーナ連合」を形成している。
コムーナは、長年培ってきた自主管理活動を駆使して救援活動を展開している。難民キャンプは自主的に管理・運営され、キューバの医療団と連携した医療活動、避難所・共同食堂・被災家庭への食料配給、治安維持のための巡回などが、コムーナの若者たちを中心として取り組まれている。食料調達は、かなり困難である状況の中でも、コムーナと連携している食料配給システムであるCLAP(多くはコムーナの女性たちが主導している)の備蓄や、農村のコムーナからの調達などでまかなっている。それに、国際的な食糧支援が加わっている。また、コムーナは、「住宅再建ブリゲード」を結成し、住宅再建計画にも参画している。さらに、西側のメディによる大々的なニセ情報の流布に対抗して、独自のコミュニティ・ラジオによって正確な情報を発信している。
政府と人民の団結した統一的な活動は地震発生直後の素早い対応を可能にしたが、その後の救助・復興の活動でも人民諸組織と政府が一致団結して復旧活動に取り組んでいる。ベネズエラ国内の技術者、消防、救急、市民防衛隊、軍など2万6000人以上の公務員・専門職が24時間体制で現場に展開している。さらに2万5000人以上の市民ボランティアが登録して活動している。チャビスタ青年団、コムーナの住民などが中心である。民衆は「冷静な団結」と「国家的統一」を保っている。これらは、「ボリバル革命」に基づく20年以上にわたる組織化の成果である。コムーナを中心とする人民は、混乱や分裂・対立などは米帝の介入を許すだけだということを理解しているのである。
フィゲラ派ベネズエラ共産党(PCV)は、相変わらずロドリゲス代行政権に敵対している。政府やコムーナなどの活動には加わらず、独自の活動をしている。米国の経済制裁を批判するが、「国内階級矛盾」こそが主要なものだと主張し、ロドリゲス政権を「米帝への屈服」「主権の切り売り」などと批判している。だが、それは誤りだ。今ボリバル革命政権批判を優先させることは、親米傀儡政権を樹立しようとするトランプの策動に対する「左からの補完勢力」に成り下がることになる。米帝の侵略と大地震の「二重危機」に立ち向かうには、今こそ全人民的な統一と団結が必要である。
キューバ医療団が救援の最前線に キューバ連帯の闘いと結合しよう
キューバは、医療先進国として即刻緊急医療チームを派遣し、医薬品・医療物資を空輸した。キューバの医療団が、初期の段階からコムーナの活動家と連携して、現地で医療活動を展開している。また、中国をはじめとして、ロシア、イラン、ベトナムなど、およびALBA(米州ボリバル同盟)諸国やブラジル、メキシコなど他のラ米カリブ諸国、その他多くの諸国の連帯と救援の活動も重要な支援となっている。
ベネズエラの大地震に立ち向かうロドリゲス代行を支持する闘いは、トランプのキューバ革命に対する軍事脅迫、封鎖・制裁解除要求の闘いと結合する必要がある。今日、キューバへの包囲網は再び強化されている。燃料封鎖はエネルギー危機をもたらし、輸送、電力、食料生産、病院、日常生活のあらゆる側面に打撃を与えている。また近々では、コロンビアで、米国の支持を受けた米国籍のアベラルド・デ・ラ・エスピリエラが、トランプ政権の資金提供による不正選挙で勝利した。ペルーでは極右ケイコ・フジモリが大統領に就任した。トランプはボルソナロ前大統領の長男を担ぎ10月のブラジル大統領選挙へも介入している。米帝国主義は、ラ米カリブ地域全体で、帝国主義的植民地時代へ逆戻りさせようとしている。ラ米カリブ地域の反米・反帝の民族解放闘争全体と連帯して闘おう。
(HD)
