米トランプ政権は1月29日、キューバを抹殺しようと60年以上続けてきた経済封鎖を全面的に強化し、石油全面封鎖を強行した。キューバには、3月末まで約3カ月間1滴の石油も輸入されなかった。しかし、全世界のキューバ連帯行動の結晶として、ロシアから石油を満載したタンカーがキューバに派遣され、3月31日、ついに石油備蓄タンクがあるマタンサス港に到着した。しかしキューバの燃料不足は続いている。全土にわたる停電は頻発し、そしてガソリン等を燃料とする車両や船舶は止まったままだ。まさに窒息状態にある。
しかし、このような中、世界中からキューバに連帯する人々がキューバに結集し、政府・人民に暖かく迎えられている。さらに、厳しい経済・生活状況にもかかわらず、キューバ政府・人民は決してこうべを垂れてはいない。この状態を少しでも改善しようと日夜奮闘している。
(佐竹)
全世界からキューバ連帯の人々が続々とキューバに結集

3月に、コードピンク等の米平和団体や欧州議会議員を先頭に全世界から「ヌエストラ・アメリカ・コンボイ」(われらアメリカキューバ支援船団)の旗を掲げたキューバ連帯団が、キューバへの大量の支援物資(医薬品等)と共に、キューバに続々結集した。特に米からの連帯団は、帰国して空港に降り立った瞬間に逮捕・拘束される危険が高いにもかかわらずだ。また、メキシコからの連帯団は漁船を改造しての海上からの訪問である。70年前にカストロ達が革命のためグランマ号に乗船してキューバに上陸したのになぞらえて、船名を「グランマ2.0」としている。これら連帯団の合言葉は「LET CUBA BREATHE(キューバに息をさせて)」だ。そして、キューバへの結集行動と軌を一にして、世界各国で3月21日を「キューバ連帯国際デー」と宣言し、各国の米国大使館前で抗議活動を含む様々な連帯行動が展開された。またプエルトリコでは、「キューバでの太陽のために100万人の友」キャンペーンが開始された。
連帯団だけではない。世界各国からも多くの支援がキューバに届けられている。特に突出しているのがメキシコだ。メキシコ政府は、「キューバは兄弟国だ」とのもと、ほぼ毎週キューバに食料品を中心とした人道支援物資を海上から送り届けている。それも米軍の拿捕や軍事介入を抑えるためにメキシコ海軍が随行する形で。また、コメを大量に送り支援した中国、キューバでコメ栽培支援を継続して行っているベトナム、そしてロシアからは「キューバへの支援は義務と考える」とのもと、米からの直接軍事攻撃の危険性が高い中、タンカー派遣による石油支援が行われ現在第2弾が計画されている。
昼間発電量の5割を太陽光発電で
厳しい経済状況を改善するため、キューバ政府・人民は日夜奮闘している。特に目を見張るのが太陽光発電の急進展である。本紙でも何度か紹介したように、キューバでは2年前から急ピッチで大規模太陽光発電の建設が進められている。2年前には発電量のわずか数%しか占めていなかったのが、3月には昼間の比率が50%に達するまでになっている。2月のディアスカネル大統領の記者会見では比率は38%と発表していたので、わずか1カ月だけで10%以上も伸びている。ただし、太陽光発電は昼夜や天気により発電量が大きく変動するので、一日の総発電量ではまだまだ限定的だ。それでも、3月にも大規模ソーラーパークが4カ所開設・運用された。さらに家庭への太陽光パネルの導入も急ピッチである。まず優先しているのが、田舎で孤立している住宅や社会福祉施設で、千基近くがすでに導入済みだ。そして、医療と教育労働者宅では、計画していた1万基の導入がすでに完了している。
しかしこれだけ太陽光発電設置が進んでもなかなか停電は減少していない。むしろ状況は悪化している。なぜか。それは、周波数の乱れによる電気遮断が頻発するためだ。従来発電の中心であった火力発電で生み出される電気は交流であるのに対して太陽光発電の電気は直流だ。この電気を電線に周波数の乱れなく同期化し接続することが非常に難しい。少しでも周波数の乱れを起こすと電気機器保護のためブレーカーが落ちて電気は遮断される。まさに今キューバは「生みの苦しみ」の真最中のだ。政府は今年、昼間に発電した電気を蓄えるためのバッテリーステーションの増設に重点を置いている。
数少ない電気自動車をフル回転
石油全面封鎖で当然ガソリン車等は動かない。人員・物品共に輸送は電気自動車が頼りとなる。現在キューバには電気自動車はわずか3000台弱しかない。すべて個人所有だ。しかしこの危機的状況を受け、事実上地方政府が運用するように変わり、地域でどうしても移動が必要な人を優先し、それも燃料節約のためできるだけ乗り合いで運用している。また、中国からの援助もあり、合わせて千台近くの電気自動車・バン・三輪車が今年導入され、3月にはその内の約100台が実際の人員輸送に回された。
さらに、現在輸送停滞と停電の頻発で、他地域から食料・食料加工品を持ってきたり、冷凍・冷蔵して保管したりすることが非常に困難となっている。否応なく地域(コミュニティ)で食料を中心にした自給自足経済の確立が強いられている。政府・人民はこの状況を逆手に取り、地域での食料増産を第一に、しっかりと地に足を付けた自給自足体制を達成しようと日夜奮闘している。
いかなる外部からの侵略者も、打ち破ることのできない抵抗に直面することになる
米トランプ政権は、1月以降もキューバへの圧力を強めている。まず、米の圧力を受け、エクアドル等がキューバとの断交を一方的に宣言した。さらに、ジャマイカ等が国内で活動しているキューバ医療支援団の引き上げを宣告した。そしてなんといってもトランプはことあるごとにキューバへの侵略・攻撃を公言し続けている。イラン攻撃の軍事的行き詰まり・敗北が誰の目にも明らかになる中、威厳回復のためにトランプがキューバに軍事攻撃を仕掛けることは十分予想される。実際2月末にはマイアミで、船一杯に重火器を満載したテロリストがキューバ西部に上陸しようとする潜入未遂事件が起きている。これらの挑発・脅迫に対し、ディアスカネル大統領は毅然と次のように強調している。「最悪の事態に直面しても、キューバには確固たる信念がある。いかなる外部からの侵略者も、打ち破ることのできない抵抗に直面することになるだろう」と。
全世界のキューバ連帯活動は正念場を迎えている。キューバ政府・人民の奮闘に応えるときがやってきた。全力を傾けよう。
