USAIDの犯罪を暴く(その3・完)
「ならず者国家」アメリカ合衆国の真の姿
世界中で反米政権打倒 親米政権樹立に関与


 7月1日、ルビオ米国務長官は「対外援助を再び偉大に」との声明を発表し、米国際開発庁(USAID)を公式に廃止し、世界各地での事業を同日付で停止すると命じた。3月、米連邦地方裁判所は、USAIDの解体は憲法違反の可能性があるとして、さらなる措置を禁止する命令を出したが、トランプ大統領が上訴中にもかかわらず、ルビオが解体を強行したのだ。ルビオは、今後「政権の政策と一致し、アメリカの国益を促進する対外援助は国務省が管理する」「慈善ベースのモデルは廃止し、貿易や投資を優先する」と公言した。何のことはない、従来のUSAIDの役割をより純化し、より強硬的に進めるということだ。米民主党や西側メディアは「人道支援活動への打撃」のみを強調して、この組織の存続を叫び続けている。

 そもそもUSAIDは、純粋な「開発援助」機関、「人道支援」機関ではない。それなら国連や赤十字を通じれば良い。そうしなかったのは、「開発援助」「人道支援」とセットで反米政権転覆や親米勢力の育成をすることが主目的だったからだ。いわゆる「ソフトパワー」だ。
 シリーズの最後は、諜報機関CIAや米軍と結託して反米政権の転覆、親米政権の樹立を任務としてきたUSAIDの血生臭い本質を暴露する。

イラク、アフガニスタン ~ 侵略後、「復興ビジネス」を主導

 USAIDは2003年のイラク戦争前から「復興ビジネス」を計画し、イラク侵略に独占資本を巻き込んだ。侵略後、USAIDは、イラクの下水道システム、電力網、市営水道システム、その他インフラ再建の契約として、米議会で侵略賛成票をとりまとめた建設会社ベクテルに18億ドルを与えた。ところがベクテルはプロジェクトの半数以上を未完了で逃げ去った。10億ドル以上の税金を食い逃げしたのだ。また、イラクを「自由市場経済」に変えるべく、コンサルティング会社「ベアリングポイント」と契約し、イラクの全ての国有産業、ことに石油部門を大規模に民営化する計画策定契約を結んだ。間もなくイラクの石油は、グローバル金融資本の間で分割された。USAIDは政治工作にも一役買い、米国の利益を代弁する勢力や市民団体に資金を提供した。USAIDはイラクを資本の草刈り場にする司令塔の一つになったのだ。アフガニスタンも同様である。

ウクライナ、グルジアでは「カラー革命」で暗躍

 ウクライナを対ロシア「代理戦争」に駆り立てる上で、USAIDは決定的に重要な役割を果たした。2014年の「マイダン・クーデター」で暴力的に暴れ回る反体制派メディア、親米勢力・活動家に資金を提供し、ヤヌーコヴィチ大統領打倒に関与した。2022年のロシア侵攻後、米議会はUSAIDを通じてウクライナ政府と親米市民団体の運営支援に多額の資金を投入した。2022会計年度約90億ドル、2023年度160億ドルが支払われた。これはUSAIDの運用資金の36.6%に当たる。バイデン政権によるウクライナ戦争資金の一部はUSAIDが分担したのだ。

 グルジアでは、シェワルナゼ大統領を打倒(2003年バラ革命)した反政府勢力に財政的、兵站的支援を提供した。反乱参加者は、「USAIDは市民社会を支援し、市民意識を持つ人々のネットワークを作り上げました」と内情を吐露した。また、一般市民の動員に重要な役割を果たすグルジア青年弁護士協会などの非政府組織を支援した。グルジアの治安機関は、2023~24年、国内で発生した大規模騒乱(「外国影響透明性法」をめぐる)は、USAIDの資金提供によって支えられたと述べた。

 ベラルーシでは、2000年代から現在まで、ルカシェンコ政権打倒を狙うベラルーシ野党メディアや非政府組織、反体制派グループや抗議運動に資金を提供してきた。

キューバ、チリ、ベネズエラ ~ 社会主義政権打倒に資金提供

 キューバでのUSAID工作は、少なくとも3つの作戦で構成されていた。

 反体制派のキューバ人ミュージシャンのアンダーグラウンドの音楽シーンへの潜入プログラム、反体制ソーシャルネットワーク・ズンズネオ設立計画、観光客や援助要員を装った秘密工作員が接触した潜在的な反体制派を引きつける作戦である。

 チリでは、USAIDはCIAと結託し、野党、ビジネスグループ、メディアキャンペーンに資金を流入し、1973年のアジェンデ政権打倒、ピノチェット独裁政権樹立に関わった。
 ニカラグアでは、米国支援の反政府勢力コントラと同盟関係にあるグループに財政支援した。USAID資金は、「民主的統治」プログラムなど様々な回路を通じて提供されたが、その多くは反革命野党に支払われた。USAIDは現在に至るまで、サンディニスタ反対派の創設と訓練(2018年にはクーデター未遂を引き起こした)を支援している。

 ベネズエラでは、USAIDは、1990年代から最近に至るまで、OTI(移行イチシアチブ局)を通じ、野党、学生運動、メディア組織に資金を提供した。リコール国民投票を通じチャベスを排除する活動を行った野党選挙グループ「ステマ」のようなNGOを通じて支援した。2002年のチャベス大統領暗殺未遂にも関わった。マドゥーロ政権になってからも、USAIDは反革命野党勢力に資金を提供し続けた。2019~22年、USAIDからベネズエラの反政府NGOへの支出は急増した。その他、「ハイブリッド戦争」――クーデター策動、マドゥーロ大統領暗殺未遂、経済封鎖、石油生産の妨害、外交的に孤立させる、暫定大統領擁立など――にも関与した。昨年7月の大統領選挙の際も米帝はクーデターを計画した。

 ボリビアでは、2000年から13年まで、反政府勢力がモラレスの社会主義政府から離脱しようとするサンタクルスの分離主義運動を支援した。13年、モラレスはUSAIDを非難、ボリビアから追放した。19年、モラレスはクーデターにより辞任させられたが、これにもUSAIDが関与した。アニェスが暫定大統領に選出され、米帝や右派政権が統治するブラジル等がこれを承認した。アニェス政権が最高選挙裁判所(TSE)長に任命したサルバドール・ロメロはUSAIDと関係を持ち、政府とモラレスの与党・社会主義運動(MAS)に反対するキャンペーンを始めたことを、ウィキリークスが暴露した。

 ハイチでは、USAIDは、アリスティド大統領の誘拐のため、ハイチの政治組織を組織し、指示し、資金を提供した多くの米国機関の一つだった。USAIDが隣国メキシコ政府を不安定化させようとしている野党や、汚職と不処罰に反対するメキシコ人会議(MCCI)、関連NGOに資金提供していたことは、それを止めるよう、バイデン大統領にオブラドール大統領が送った書簡で明らかとなった。

シリアやエジプトで米帝の中東戦略実現に関与

 シリアでは、2011年以降、USAIDは「人道支援」と「統治支援」と称し、シリア反政府勢力に多額の支援を提供した。難民「支援」はまさにアサド政権打倒のためだった。資金の一部は自由シリア軍(FSA)に所属する人々を含む、反アサド武装勢力に流れた。

 エジプトでは、2011年から13年、「アラブの春」の期間中、「民主化」プログラムを支援し、反政府活動家がデジタルツールや組織戦略を活用できるよう支援した。モルシ大統領の任期中、USAIDは、シシ将軍が率いた13年の軍事クーデターに沿って、モルシを打倒しようとしたグループを支援したとして非難された。

リビアやジンバブエで親米勢力を支援

 リビアにおけるUSAIDの活動は、カダフィ打倒直後の2011年から露骨になった。それを正当化するのが19年に署名・成立した「グローバル脆弱性法」(GFA:Global Fragmentation Act)だ。この法律は、自らが武力で打倒し、元首カダフィを暗殺し、崩壊させたリビアを「脆弱国家」と決めつけ、「紛争予防」と「安定」を口実に米国が好き放題に介入できる内政干渉法である。もちろん国際法違反だ。USAIDは、リビアの石油資源を支配し略奪する一方、欧米の権益に挑戦する政治勢力を壊滅させるという米帝国主義戦略に沿って関与している。

 ジンバブエでは、2000年代から現在に至るまで、ムガベとジンバブエ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)に反対する野党や市民団体に資金を提供してきた。ジンバブエ政府は、USAIDとNEDが政権転覆を画策しようとしていると繰り返し非難している。

対中戦争に備えソロモン諸島で親中政権転覆を狙う

 対中戦争に備え、米は太平洋諸島への介入を強化している。中国と安全保障協定を締結したソロモン諸島は、政権転覆の標的だ。昨年5月、4月の総選挙結果を受けて同諸島で国会議員による首相選挙が実施され、親中派の与党候補が勝利した。だが、USAIDは2020年来、米の他の諸機関と共にソロモン諸島の有権者を洗脳し、米国に有利な候補者に投票する選挙工作に資金を投入した。USAIDは、若者グループに暴動まで起こさせた。


(MK)

USAIDの犯罪を暴く(その1)USAIDの「人権」「人道」援助のデマゴギーを暴く階級的目的は親米勢力の育成と反米国家転覆 | コミュニスト・デモクラット

USAIDの犯罪を暴く(その2)巨額の資金を親米メディア構築に投入親米勢力育成と反米国家転覆の大衆煽動が目的  | コミュニスト・デモクラット

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