
関西ガザ緊急アクションの呼びかけで行われた、イスラエルのイラン攻撃に抗議する
緊急スタンディング(6月14日 大阪駅前)
[1]切迫する米軍の直接攻撃=参戦。米軍は中東から引き揚げよ
(1)トランプは直接的イラン攻撃を示唆。米軍を中東に集結させる
イラン・中東情勢は一気に緊迫している。トランプは G7 首脳会議を途中退席し、テヘランの1千万人に避難を呼びかけた。「私がここを去ったらすぐに、私たちは何かをするつもりだ」と語った。その後、イランが屈服しなければ、核施設にバンカーバスター(大型爆弾)を使うと脅迫した。イスラエル軍もテヘラン中心部市民33万人に避難警告を発令した。これは軍事介入の予告であり、あからさまな脅迫行為、威嚇行為だ。トランプは自国内だけではなく、中東に対しても「キング」として振る舞おうとしている。もし米軍が直接攻撃すれば、イランは周辺の米軍基地を攻撃せざるを得ない。ホルムズ海峡封鎖という最悪の事態になりかねない。トランプは戦争を弄んでいるのだ。断じて許すことはできない。
米帝は、対イラン戦争に直接介入するための軍事態勢をとり始めた。空母ニミッツ打撃群が中東に移動した。これで空母2隻体制となる。イージス艦を東地中海に派遣した。31機の空中給油機をヨーロッパに送り、そこから中東上空で活動できるようにした。イランの攻撃に向け、超大型のバンカーバスターを搭載できるB-2爆撃機を配備している。
米国だけではない。ヨーロッパ諸国も、イランミサイルの迎撃、イスラエル軍機への給油、武器供与、攻撃目標やミサイル情報に関する情報提供などでイスラエル軍の攻撃を全面支援している。
トランプは、今がイラン打倒の好機だと考えている。ネタニヤフもトランプ就任中がイラン打倒の好機だと見なしている。「イラン核兵器問題」は単なる口実だ。
中東はかつてない戦争の危機、戦争の脅威の下にある。トランプは戦争脅迫をやめよ。米軍は中東から引き揚げよ。ヨーロッパも加担するな。西側帝国主義は戦争を弄ぶな。今こそ、米=イスラエルに矛先を集中した反米・反帝、反イスラエルの反戦運動を強化しよう。
(2)米国とイスラエルの帝国主義的八百長芝居
西側政府・メディアは未だにトランプを「調停者」「交渉者」だと、人々を惑わしている。だが、トランプは戦争の当事者だ。ネタニヤフはグルである。当初から直接間接の芝居を打ってきた。トランプは、イランとの「核交渉」を隠れ蓑として使い、世界とイラン指導者を油断させた。そもそも2018年に「イラン核合意」を破棄したトランプがまともな核交渉をやるはずがない。
ここ数日、「トランプが最高指導者ハメネイ氏の殺害を却下」との報道が流されているが、これは半ばイランに対する脅迫である。トランプが吹聴する「今こそ合意の時だ」も世界を攪乱するはったりに過ぎない。
もちろんイランは戦争中止と和平を求めている。「核合意」交渉の再開も求めている。
しかし、トランプはイランに完全屈服を要求している。原子力の平和的開発も断念、経済制裁解除もなしの無条件降伏である。しかし、イランはこのような屈辱を呑まないだろう。このままでは最悪の事態になりかねない。
(3)米とイスラエル、西側政府は共謀。イラン現政権の打倒が真の目的
米=イスラエルの最大の目的は反米・反イスラエル国家イランの打倒である。攻撃直後にネタニヤフはイラン国民に対して「今こそ『邪悪な政権』に対して決起せよ」と政権打倒を呼びかけた。米もイスラエルも自らの軍事力を過信し、一撃でイランを打倒できると思い上がっている。第1期トランプ政権で「核合意」を破棄し、今回は表向きは「核交渉」をやりながら、虎視眈々とイスラエルの攻撃とのタイミングを見計らってきた。そしてついに、「交渉は難航」のサインを出して、一気にネタニヤフに攻撃させた。米=イスラエルを切り離してはならない。「共謀」で一貫してみるべきだ。
今回の攻撃は、米=イスラエルの中東侵略史の歴史の流れ全体から捉えなければならない。今回を単独で切り離して見てはならない。切り離すから、米とイスラエルを対立的に見たり、トランプのはったりに幻惑される。米と西側帝国主義による一連の、少なくともイラク戦争以来の中東の軍事=石油覇権の中で捉えればどうなるか。
――すでにガザは民族絶滅・民族浄化の最終段階に入り、ヨルダン川西岸への攻撃と入植地拡大を開始し、レバノンにも壊滅的な打撃を与えた。シリアは、米・トルコと結託してアサド体制を崩壊させ、アルカイダ・テロリスト集団に政権を奪取させた。イエメンにも侵略し続けている。
――その前にイラク・フセイン体制、リビア・カダフィ体制は難癖をつけて崩壊させ、元首を斬首した。かつての反米・反帝諸国は全部壊滅させた。残るはイランのみとなった。
米=イスラエル帝国主義は今がイラン打倒の時だと考えているのだ。
[2]イスラエルは直ちに攻撃を中止せよ~ストップ・イスラエル
(1)国際法違反、国連憲章違反の侵略行為、戦争犯罪
6月13日未明、イスラエル軍は突如イランを侵略した。200機の攻撃機、300発のミサイルを使った大規模な攻撃だ。その後も今日まで持続的に攻撃を続けている。首都テヘランをはじめ各地の核施設、軍関連施設、中央政府施設を攻撃し、多数の軍・革命防衛隊や科学者のトップを暗殺し、一般住民の住宅や病院も空爆と巡航ミサイルで攻撃した。攻撃対象も世界最大のサウスパース・ガス田や貯油タンクなどエネルギー関連施設、空港・各官庁・テレビ局などに拡大している。イラン保健省は、攻撃以来3日間で、少なくとも224人が死亡し、1000人以上が負傷した、死亡者を含む合計1481人が入院していると発表した。犠牲者のほとんどは民間人、女性、子どもだ。
今回の攻撃は、国際法違反、国連憲章第2条違反の一方的な侵略行為だ。イスラエルには如何なる正当性もない。ネタニヤフは「先制攻撃」と主張し、まるでイランの攻撃が切迫しているかのような発言をし、それを西側メディアが垂れ流している。それは全くの言いがかりだ。「先制」とは相手の攻撃が切迫していることが前提だ。イランはイスラエル攻撃をする構えもしていない。
イランは即刻、自衛権を行使し、ミサイルやドローンで反撃している。当然のことだ。
社会主義中国やキューバやベネズエラはイスラエルを非難し、イランを支持した。ロシアも国連憲章・国際法違反だと厳しく非難した。
われわれはイスラエルの公然たる侵略行為に対し、満腔の怒りを込めて糾弾する。直ちに攻撃を中止するよう要求する。
(2)止まらない戦争犯罪、住民大量虐殺、国家テロ=要人暗殺
今やイスラエルは、侵略的暴走が止まらないブレーキが効かないファシスト的暴力国家、虐殺国家、テロ国家に成り果てている。今回もイランの軍人や科学者を暗殺した。核施設を攻撃した。放射能汚染で周辺を汚染する許し難い破壊行為だ。イランの基幹産業である石油・ガス施設を破壊した。それどころか、ネタニヤフは16日に、最高指導者ハメネイ師殺害を公言した。「それは紛争を激化させない。むしろ終結させる」と言い放った。言語道断、まさに正真正銘のテロ行為だ。
米=イスラエルはこれまでも平然と侵略と虐殺を繰り返し、拡大してきた。ネタニヤフは今回の侵略を「第7戦線だ」と豪語し、その「戦果」を誇示している。それは、ハマスと武装抵抗組織を口実にしたガザ地区、ヨルダン川西岸への攻撃と虐殺、ヒズボラを口実にしたレバノンへの侵略と虐殺、フーシ派を口実とするイエメンへの侵略と虐殺、イラクへの侵略と虐殺、シリアへの侵略と虐殺、等々、等々。そして最後にイランだ。
ネタニヤフの戦争犯罪の罪状は積み上がるばかりだ。ガザでは6月15日時点で5万5千人以上を虐殺し、12万8千人を負傷させた。行方不明者は1万4千人、計20万人におよぶ。実際にはこれよりはるかに多い。実際には子どもを「ハマスの予備軍だ」として平気で虐殺し、女性はその予備軍を生むとして無差別に虐殺した。
昨年7月にはイランでハマスの最高幹部ハニヤ氏を暗殺し、同年9月にはレバノンでポケベル爆弾・トランシーバー爆弾を使って3500人以上を死傷させた。最高指導者ナスララ氏を爆殺した。2020年にはイラン革命防衛隊ソレイマニ司令官を米軍が暗殺したが、これにもイスラエル諜報機関モサドが関与した。これも国連が国連憲章違反を非難した。
ネタニヤフやイスラエル、西側政府・メディアは、口を開けば、「ホロコーストの犠牲者」を口実に侵略と虐殺の限りを尽くす。だが、ホロコーストを起こしたのはナチス・ドイツであり、社会主義ソ連を打倒するために、ヒトラーを最後まで支持した英仏と米国など帝国主義列強である。パレスチナ人民や中東の人民ではない。「ホロコースト」を理由に中東を侵略し、その国土を破壊し尽くし、民を虐殺するのは筋違いも甚だしい。
われわれは、ガザ大量虐殺反対、パレスチナ連帯と結びつけ、イラン侵略反対、イスラエルの軍事的暴走阻止を掲げて闘う。ストップ・イスラエル!
[3]イランの「核兵器開発」問題は帝国主義プロパガンダ
(1)西側政府・メディアがでっち上げた「イラン核兵器開発」問題
われわれは、いわゆる「イラン核兵器開発」問題の犯罪性を厳しく糾弾する。この問題は、西側がイランを打倒するための西側政府・メディアが作り上げたプロパガンダであり、経済制裁・経済封鎖でイランを締め上げ、経済的に破綻させ、イラン国内で「カラー革命」(政権転覆)を起こす手段である。
米や西側にはイランの核問題を云々する資格はない。トランプは核軍拡を宣言し、マクロンはウクライナに「核の傘」を提供すると言い、石破は「核共有」を発言した。彼らにこそ核軍縮を押し付けなければならない。
確かにイランには「核開発」計画があるが、それは、石油枯渇を見据えた「原子力の平和利用計画」に過ぎない。サウジアラビアなど湾岸の王政諸国も原発導入・建設中だ。だが、イランだけが、それを「核兵器開発」にねじ曲げられ、集中砲火を浴びている。なぜか?反米・反イスラエルだからだ。
ネタニヤフは攻撃理由をこう正当化した。「イランの核兵器開発まであと数か月に迫っていた。黙っていられなくなった。最後の機会だった」と。メディアも、これを鵜呑みにし、まるで今回のイラン攻撃がイランの「核開発」にあるかのようにねじ曲げている。「イラン核脅威、力で排除」(日経6/14)、「ウラン濃縮、溝深く決断」(毎日6/14)など。
核兵器が問題なら、なぜイスラエルは住宅やインフラを攻撃するのか。そもそもなぜ核を持たないガザやレバノンやシリアやイラクを攻撃するのか。真の目的はイラン打倒、中東の石油覇権=軍事覇権による西側帝国主義の植民地主義的全一支配なのである。
(2)「イラン核合意」を破棄したトランプの責任は重い
イランが60%の濃縮度のウランを持つのは米国とトランプの責任だ。イランは、米英独仏中ロの6カ国との間で2015年に「イラン核合意」を締結し、その合意を遵守してきた。その核合意で、イランはウラン濃縮を民生用レベルに限ることを公約した。イランはこれを厳格に守った。これを2018年に一方的に破棄したのは第1次トランプ政権だ。米国は、自分が結んだ合意を一方的に破棄し、イランに対して一切の濃縮を認めない、従わなければ攻撃すると脅したのである。
そもそもイランは、最高指導者ハメネイ師は2003年にファトワ(布告)で「核兵器開発をしない」と宣言している。イスラム国家イランでは、これは絶対的な指示である。また、核兵器に必要な高濃度(90%以上)のウランは保有していない。60%程度のウランしか持っていない。基本的に民生用の核濃縮を行っているだけで、しかも全部の過程で国際原子力機関IAEAの査察と監視を受けている。秘密になどしていない。
最近のIAEAの報告でも60%濃度のウラン量が増えたと言っているに過ぎず、核兵器開発の指摘はしていない。イランの核武装阻止の緊急の必要があったというのは真っ赤な嘘だ。
(3)逆にイスラエルこそ核武装国家。すでに最大200発を保有
逆にイスラエルこそが中東で唯一の核兵器保有国、核武装国家なのである。日本を含む西側政府も、多くのメディアも知りながらあえてそのことを隠蔽し続けている。
イランが脅威だと言うが、既にイスラエルは80から200発の核爆弾を持っている。イスラエルこそ周辺の中東諸国に脅威を与えている。今回も最後には核を使うぞと脅迫している。
もう一つ重要な事態が迫っていた。それは、数日前からイランはイスラエルの核開発に関して重大な秘密文書を入手したと公表し、公表する直前だったのである。今回の攻撃はそれをごまかすためだ。イスラエルこそ核拡散防止条約NPTにも入らず、IAEAの査察も受けていない無法国家だ。
もし、イスラエルの核保有文書が暴露されれば、力を増した中露やグローバル・サウスが「イスラエルの核査察」を問題視しかねない。これまで米・西側はイスラエルの核保有を問題視しないということで、支持し、共謀している。米・西側諸国(日本を含む)は、IAEAによるイスラエルに対する核査察を否決し続けている。なぜ、イスラエルだけが「例外」で「特権的」なのか?今回、核保有文書が暴露されれば、再び「イスラエルの核査察」が問題になり、採決に影響を及ぼし、「査察採決」になりかねない。この問題が焦点化することを防ぐのがイスラエル攻撃の隠されたもう一つの理由である。
[4]パレスチナ連帯とイラン攻撃中止の反戦運動を結合して闘おう。
(1)G7支持声明糾弾。米・西側帝国主義が植民地主義的本性を露わに
G7は6月15日に公然たる戦争声明を出した。「われわれはイスラエルに自国を防衛する権利があることを確認する。イスラエルの安全保障に対する支持を改めて表明する」「イランは地域の不安定な情勢とテロの根源だ」「イランが決して核兵器を持てないことを明確にする」と述べ、米=イスラエルの侵略を公然と支持した。徹頭徹尾イスラエルを支持し、米=イスラエルによる中東戦争、戦火拡大を公然と支持する犯罪行為だ。帝国主義の本性を露わにするものだ。
米=イスラエルと日本を含む西側帝国主義は、戦争を中東全域に拡大し、火の海にするつもりだ。イラン打倒は西側帝国主義全体の総意になったのだ。われわれは、国際法を守らずとも許される無法国家、異常なファシスト的殺人国家イスラエルを軍事国家に育て上げ、防衛する米帝主導の西側帝国主義を糾弾する。責任はこれら帝国主義にある。
石破政権の「非難」はやはり口先だけのものであることが暴露された。イスラエルの暴虐と暴走は、日本を含む西側政府がイスラエルを育成し、如何なる国際法違反も黙認し、支持してきたからだ。今回もまたそれを証明した。
われわれは、戦争を中東全体に拡大させないためにも、米=イスラエルに直ちにイラン攻撃をやめるよう要求する。ガザの飢餓政策を中止し、ガザ封鎖を直ちに解除し、「ガザ人道財団」GHFを使った新たな虐殺(死の罠)政策を中止することを要求する。米国と英仏独政府にイスラエルへの軍事支援の中止と武器供与の中止を要求する。ガザ停戦、食料封鎖解除などの国連総会決議の遵守を要求する。日本政府をはじめ各国政府に対し、侵略国家イスラエル、戦争犯罪国家イスラエルに戦争中止を要求し、そのために強力な制裁を行うよう要求する。
(2)米帝主導の「三正面戦争」との闘いを強めよう
すでに、米・NATO=西側帝国主義は、ウクライナ戦争で対ロシア打倒「代理戦争」を3年半もやり続けている。2014年に対ロシア改善を掲げたヤヌコヴィッチ政権を打倒したマイダン・クーデターから数えると11年にもわたる長期戦争だ。1991年のソ連崩壊以降の米ソ間の約束を破って、「NATO東方拡大」を続けてロシアの崩壊と分裂を画策してから34年も経つ。
そして現在、トランプは、ロシアと和解し、中露関係を分断し、対中国・対社会主義戦争への戦力シフトを加速している。ヘグセス国防長官は5月のシャングリラ対話で、トランプの軍事大国化構想を明らかにした。中国の脅威の「緊急性」(urgency)を強調し、「自由で開かれたインド太平洋」を掲げ、共同軍事演習・兵站協力・産業基盤の強靭化を主張し、日米豪比四か国協力の強化を目指すことを表明した。それには日本の軍事費のさらなる急増も含まれている。
われわれは、イラン攻撃即時中止、ストップ・イスラエルの反戦運動を自国の帝国主義的軍国主義との闘いと結び付けて闘う。
2025年6月17日
『コミュニスト・デモクラット』編集局