米=イスラエルの「援助大虐殺」を糾弾する  
ガザ占領=封鎖を中止し、支援物資を搬入せよ  
ガザ封鎖打破の世界大行進に連帯しよう

「自由船団」活動家を即時釈放せよ ガザ封鎖打破へ世界から集結

 ガザを飢餓から救うことが目下のパレスチナ連帯運動の最大の焦点に浮上している。3つの運動が連携してガザに向かっている。一つは、ガザに直接支援物資を届ける自由船団=支援物資を乗せた非武装の人道支援船マドレーン号である。これには、グレタ・トゥーンベリさんはじめ7ヵ国の活動家12人が乗り込んでいる。ところがイスラエルは6月9日朝、これを公海上で強制的に拿捕し、活動家全員を拘束した。ハマスは、イスラエル占領軍による連帯船拿捕は海賊行為であり国家によるテロ行為だと強く非難した。米国の反戦団体コードピンクは、イスラエルによる活動家逮捕を非難し、彼らの即時釈放とガザ封鎖解除を呼びかける声明を出した。 

 もう一つは、北アフリカ諸国の数千人が参加するボランティア陸上輸送隊を送り出す行動だ。さらに加えて、NGO150団体の数千人がエジプト・カイロからガザ・ラファに向かう予定である。ガザへのグローバル行進 (Global March to Gaza)だ。

 イスラエルは何をするか分からない。彼らの命が危ない。この行進を人々に知らせ、イスラエルが手出しできないよう、世界中で監視しよう。

 全世界で、イスラエルの飢餓戦略に対する直接行動が急速に広がっている。われわれも、自由船団の拿捕・活動家拘束を糾弾し、ガザ封鎖打破の直接行動を断固支持し、この行動に連帯する。

米とイスラエルが共謀した食糧配布の「死の罠」

 米国とイスラエルは5月27日、新たなジェノサイド作戦を開始した。人々を飢えさせ、援助でおびき寄せ、そして殺害するという米国とイスラエル共同の「飢餓誘導作戦」である。それは、イスラエル軍が周囲を取り囲み、米トランプ政権が支援・主導した「ガザ人道財団(GHF)」が、警備の民間軍事会社と共に食料を配布するというものだ。最初から、集まった大群衆をまとめて殺害することが狙いである。配布初日からイスラエル軍は殺到した住民に発砲し、死傷者が相次いでいる。6月1日には、少なくとも32人が死亡し200人以上が負傷した。最初の8日間で100人以上が殺され、数百人が負傷させられた。国連をはじめ世界中から「援助配布は死の罠だ」(デュジャリック国連報道官)と非難の声がわき起こっている。イスラエルは、機関銃とヘリコプターからの掃射を浴びせたが、それを「撃ったのはハマス」だとデマ情報を宣伝した。それだけでなく、ガザで収監されていたISISなどの犯罪者に武器や弾薬を与えた武装集団に住民を撃たせ、ハマスがやっているかのように偽装していたのだ。米とイスラエルは、「飢え死にするか、食料を求めて撃ち殺されるか」という究極の選択をパレスチナ人に突きつけたのである。それは紛れもない戦争犯罪である。
 米国とイスラエルによる、飢餓作戦と食料配布を装った虐殺を糾弾する。即時停戦し、封鎖を解き、国連と人道支援団体による支援物資を搬入するよう要求する。

イスラエル軍による「援助の武器化」

 「ガザ人道財団」は、人道支援の組織ではない。国連とも従来の人道支援組織とも全く無関係である。仕切るのは退役軍人。軍や民間軍事会社から人をかき集め、資金はイスラエル国防省とモサドから出ているといわれる。イスラエルの軍事作戦の一部として計画された組織なのだ。国連が、援助とは「来させるのではなく届けるもの」と批判し、協力を拒否したのは当然だ。
 イスラエル軍の下でGHFが配布するのは「ハマスに食料を奪われないため」という。しかし「ハマスが食料を奪う」などということは起きておらず、国連関係者も否定している。米=イスラエルの狙いは、配布対象者を選別することで、住民をハマスから離反させることだ。しかも物資配布所は南部のたった4カ所だけで、「ギデオンの戦車」作戦に合わせて住民を南部に追い出し、イスラエル軍の占領地域を広げるための「餌」にしているのは明白だ。人道支援団体は「援助の武器化」と呼んで非難している。
 「支援」など全くの偽善である。ガザの住民の生存には、1日あたりトラック500~600台分が必要だが、実際に入れているのは1週間100台程度で、最初から住民全体へ配布するつもりなどない。しかも配布所4カ所は国連や人道支援団体の400~500カ所とは比べるべくもない。ガザ市から遙かに遠く、負傷者、病弱者、高齢者、妊婦などはとうてい取りに来られない。何時間も歩いてたどり着いた末に、全く食料が手に入らないか、ごくわずかでしかないとなれば、争いやパニックが起きるのは当然だ。初めからそれを想定していたのだ。

イスラエルは飢餓を意図的に作り出している

 食べ物を求めて何時間も歩く人々。配給所で差し出される数え切れない空の鍋。わずかな食料を奪い合う人々。文字通り「骨と皮」になってかろうじて息をして横たわる子どもたち‥‥。ガザから伝えられる飢餓の深刻さに言葉を失う。
 異常なのは、この飢餓をイスラエルが意図的に作り出しているということだ。イスラエルはまだ停戦中の3月2日から、ガザへの食料・水・医薬品など一切の物資の搬入を禁止した。住民保護を義務づける戦時国際法さえ無視した暴挙だ。国連が届ける予定だった食料は、数千台のトラックに乗ったままガザに入れずにむなしく腐敗していった。飢餓はイスラエル軍による虐殺作戦なのである。
 ユニセフと世界食糧計画(WFP)の5月12日の発表では、ガザの全住民210万人がすでに「急性食料不安」以上の状態にあり、9月末までに47万人が、最も深刻な段階である「飢饉」に陥るおそれがある。5月13日、世界保健機関(WHO)は、完全封鎖以来57人の子どもが栄養失調で死亡したと報告し、このままの状態では、今後11カ月で5歳未満の子ども7万人以上が急性栄養失調に陥るとしている。

米=イスラエルのガザ全面占領=民族浄化を許すな

 イスラエル軍は、5月19日の「ギデオンの戦車」作戦開始以降、ガザ全土で砲撃・空爆などによる全面攻撃を行い、住民の移動を強制し、南部ラファ付近に収容して帰還を許さず、住民の国外追放を追求している。住民を追い出した地区はブルドーザーで更地にし、将来イスラエルに併合するつもりだ。ガザ占領は全く新しい段階に入っている。
 北部で住民に残されているのはガザ市の一部だけであり、南部でも海岸沿いのヌセイラト、マワシ地域だけだ。すでに100万人に強制移動命令が出され、81%の土地がイスラエルによって立ち入り禁止か強制移動対象にされている。マワシなどは強制収容所にされ、住民は外に出ることを許されず、食料などの供給さえイスラエル軍に握られ、飢えながら死ぬまでそこに残るか、国外に出るかの選択を迫られる。
 ネタニヤフの目的は、イスラエルが長年追求し続けてきた民族浄化だ。ガザ住民を追放し、土地はイスラエルに併合する。その先にあるのが、トランプ米大統領がぶち上げた「ガザ接収」であり、「リゾート地」再開発、石油資源採掘だ。
 ガザ全面占領=民族浄化は、トランプとネタニヤフの共同作戦である。一時、トランプとネタニヤフとの間の「ズレ」が喧伝されたが、実際にはそんなものはない。6月4日の国連安保理では、ガザにおける無条件かつ恒久的な即時停戦と、人道支援の搬入に対する制限解除を求める決議案にまたしても拒否権を行使した。6月5日には、ネタニヤフなどに逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)の裁判官ら4人に制裁し、国内では、ガザ連帯運動に「反ユダヤ主義」のレッテルを貼り、運動参加者の度重なる拘束、ハーバード大学への補助金停止・留学受け入れ資格剥奪など、弾圧を強めている。

イスラエルに実効力ある制裁を行え

 イスラエルの暴虐を許さない国際的世論が高まり、外交的包囲が強まる中で、これまでイスラエルを支持してきた帝国主義各国政府の対応も揺らぎ始めた。だが、これらは口先だけで、実効ある行動を伴わない偽善的なものだ。隠然・公然と武器を送り、国内では連帯運動を弾圧している。今緊急に求められているのは実効性のあるイスラエル制裁と圧力で、言葉を行動に移すことだ。イスラエルとの共謀を止めるよう各国政府に要求しなければならない。
 全世界で高揚するパレスチナ連帯運動は、イスラエルに対する抗議と同時に、自国の政府に対しイスラエルと手を切るよう要求する姿勢を鮮明にしている。

イスラエルと手を切れーー日本政府に圧力を

 日本政府も24カ国の共同声明に加わったが、口先以上の措置には踏み込んでいない。イスラエルに飢餓作戦をやめさせ、さらに虐殺と占領、民族浄化をやめさせるための具体的行動をとるよう、要求しよう。メールやFAXなどによって、以下の要求を伝えよう。

  • イスラエルに、大虐殺の即刻中止を要求すること。
  • イスラエル軍の即時全面撤退と恒久停戦を要求すること。
  • イスラエルに、人道支援物資のガザ搬入制限撤廃、ガザ住民への援助物資の提供を要求すること。
  • 駐イスラエル大使召還など、イスラエルに外交断絶を含む制裁を課すこと。
  • 大阪・関西万博へのイスラエル参加の中止。
  • イスラエル軍・軍事産業との協力中止。年金基金(GPIF)によるイスラエルへの投資引き上げ。軍用ドローン輸入中止。
  • パレスチナ国家の承認

2025年6月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

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