[1]資本主義体制の新たな危機激化と「三正面戦争」
(1)世界で今、2つの大きな出来事が同時に起こり、ぶつかっている。一方で、米帝一極支配が急速に崩れ始め、資本主義世界体制が全面的な大混乱に陥り、体制的危機が激化している。この一極支配の維持と危機打開のために、米帝国主義は「三正面戦争」を強行している。他方で、社会主義中国が率いるBRICS・SCO(上海協力機構)などグローバル・サウス(新興・途上諸国)が主権・独立と平和共存、対等の相互経済協力を重視する枠組みづくりに全力を挙げ、それが勢いを増している。侵略戦争と収奪に明け暮れる米帝及び西側帝国主義の世界と、これに対抗する社会主義中国が主導する多極化世界は、戦争と平和をめぐって方向性が全く異なる。人類史はこの2つがぶつかり合う新しい時代に入りつつある。
(2)世界資本主義体制は、循環的・構造的危機、戦争策動のエスカレーションと戦争経済化、急膨張する軍事費と財政危機、インフレと物価高騰、債務危機、政治的危機、食糧危機、エネルギー危機、等々、全般的危機が一挙に激化する新たな局面に突入した。
第1に、NY株式市場から始まった株価大暴落と乱高下は、東京市場で史上最大の暴落となり、アジア各国、全世界へと拡大した。リーマンショック以降の長期的停滞と「慢性不況」の下で、世界恐慌循環は景気後退局面へと移行し始めた。異常な通貨増発が生みだした世界的な金融バブル、ドル覇権によるドル過剰流動性供給と超巨額軍事費による大軍拡によって作り上げられてきた米国の見せかけの「繁栄」「成長」が、ガラガラと音を立てて崩れ始めたのである。目先、一時的なリバウンドはあっても、この傾向は中長期的に間違いなく進む。
第2に、米帝が主導する帝国主義戦争、「三正面戦争」が、資本主義の全般的・体制的な危機と相互作用しながら進んでいる。米帝は、「三正面戦争」に日欧帝国主義を巻き込み、米国の大軍拡と軍事費急増、戦争経済に従うよう強制し、日欧諸国は進んでこれに応じた。帝国主義諸国の政治経済構造は、戦争経済へと変貌し始めた。米帝一極支配の没落と社会主義中国の台頭が、「三正面戦争」を引き起こし、逆に「三正面戦争」が、資本主義の循環的・構造的危機を一段と激化させ、人民生活の悪化を加速している。
第3に、膨大な軍事費による財政破綻と国家債務危機。その下での医療・社会保障・教育・雇用など人民予算の切り捨て、40年来のインフレ爆発と物価高騰が引き起こした労働者・人民の窮乏化、生活苦の広がりと格差拡大である。闘争の可燃物が蓄積し、階級矛盾が急速に激化し始めている。
第4に、米欧日のほとんどすべての先進国政府の政治的危機、ブルジョア諸政党の没落と退廃、極右勢力の台頭、政治的分裂・分断が一気に加速している。英国では極右・排外主義の全国的暴動となって爆発した。その背景にあるのは、戦争経済の下で進行する人民生活の窮乏化、政治不信、生活と未来への絶望感、閉塞感である。この絶望と不安を、左翼・共産主義政党の側が組織しなければ、労働者・人民は極右・ネオナチ勢力に翻弄され続ける。米国では、サンダースら民主党内左派(DSAなど)が、「三正面戦争」に血道を上げるバイデンを支持した結果、分裂と凋落過程に入った。パレスチナ連帯を闘う若者らは「よりまし政党」を拒否し、ブルジョア2大政党制の権力たらい回しの「罠」からの脱却を求めて闘っている。
第5は、命の危険を伴う熱波、前例のない気温上昇など気候危機の加速度的激化である。世界平均の最高気温の更新、熱波の規模・強度・頻度・期間の増大、大洪水、森林火災、巨大台風、干ばつの多発、そして大量死(国連推計で年間50万人)など破局的な様相を呈し始めた。「三正面戦争」は炭素排出を急増させ、気候危機を一段と先鋭化させる。脱炭素とエネルギー多消費型経済構造の変革を柱とする気候危機対策が急務である。
[2]米帝主敵を鮮明にして「三正面戦争」を阻止しよう
(1)米帝国主義は、対中東、対ロシア、対中国の「三正面」で、自らの国力を超えた無謀な戦争を遂行しさらに拡大しようとしている。この「三正面戦争」をどう停戦に追い込み、阻止するか――これこそが気候危機防止と並ぶ21世紀の今日の人類最大の問題である。米帝国主義を全人類の、全世界の反戦運動と左翼・共産主義運動の戦略的主敵として捉えるかどうかが決定的に重要である。
2つの問題がある。一つは、戦争の階級的性格である。「三正面戦争」は2つの異なる性格の戦争からなる。社会主義中国に対する米と西側帝国主義の「体制間戦争」、新植民地主義支配維持のための米と西側帝国主義による新興・途上諸国、民族解放勢力に対する帝国主義戦争だ。米・西側帝国主義と中露の間の「帝国主義間戦争」などどこにもない。ここを間違うと世界情勢も反戦運動も全く別のものに変質する。
もう一つは、3つの戦争を米帝国主義が主導する一つの戦争と捉えること、さらに準戦争行為(制裁や経済封鎖、政権転覆・クーデター、国家分裂策動、経済・関税戦争など)を帝国主義戦争の延長として捉えることである。この把握は、以下の5つの重要な解明につながる。
第1に、「三正面戦争」をバラバラに切り離せば見えない現代帝国主義戦争の真の元凶=米帝国主義に狙いを定めることができる。
第2に、様々な謬論、すなわちウクライナ戦争は「ロシアの一方的侵略」「プーチン独裁論」「ロシア帝国主義」に帰着させ、イスラエルの大虐殺戦争は「ハマス・テロリスト論」「パレスチナ連帯=反ユダヤ主義」に帰着させ、対中戦争・「台湾有事」は「中国軍拡」「習近平独裁論」「人権侵害」「中国帝国主義」に帰着させる、等々の誤りを的確に批判することができる。これら全ての謬論が、人類と世界平和最大の敵から矛先を逸らせる米帝免罪論であることを正しく指摘できる。
第3に、この元凶=米帝国主義に誰が対抗し、対決しているのか、どうすれば停戦や未然の阻止に追い込めるのか、その阻止勢力、阻止戦術を導き出すことができる。それは米帝に対抗する社会主義中国やBRICS・SCOなどの多極化機構の意義を正しく評価することにつながる。
第4に、なぜ米帝が、このような国力を超える「三正面戦争」で暴走しているのか。その歴史的・世界史的背景の解明につながる。それは、米帝一極支配と新植民地主義体制の崩壊に対する、また社会主義中国とグローバル・サウスの台頭に対する歴史的な巻き返しと捉えることである。
第5に、米帝国主義の異常な軍事的暴走のさらにその原因と推進力の解明に進むことができる。軍産複合体の異常な拡大、戦争で経済成長を目論む戦争経済、米国の金融資本と金融寡頭制の凶暴性、その政治経済構造の寄生性と腐敗、等々。(参照記事:米帝「三正面戦争」と戦争構造を暴く(その1) 超巨額な軍事費:米軍産複合体の異常な膨張の源泉)
(2)米・イスラエルによるガザ大虐殺戦争は、周辺諸国を巻き込む全中東戦争への拡大という危険な局面に入ろうとしている。イスラエルは、イラン攻撃によるハマスの最高幹部・停戦交渉の責任者ハニヤ氏の爆殺、レバノン・ベイルートへの攻撃とヒズボラ指導者殺害など、ガザ侵攻の行き詰まりを、軍事的暴走と戦争拡大によって一気に打開しようとして動き始めた。レバノンへの本格侵攻が切迫している。イランを挑発し、米軍と共同で中東全面戦争に持ち込むことがイスラエルの狙いだ。ハマスの殲滅、抵抗勢力ヒズボラの制圧、反米国家イランの破壊で、米とイスラエルの利害は一致している。(参照記事:ハニヤ氏・シュクル氏暗殺糾弾 米・イスラエルは戦争を中東全体に拡大するな)
(3)対ウクライナ戦争でも、ウクライナを介した「代理戦争」から、NATOによる対ロシア戦争、欧州地域戦争へと拡大する危険が高まっている。ウクライナはすでに軍事的・経済的に限界に来ている。NATO75周年首脳会議(7月9~11日)でバイデン大統領は、疲弊しきっているウクライナに、停戦ではなく最後まで命を懸けて戦えと迫った。共同声明は、ウクライナへの7兆円供与とウクライナ支援の新司令部創設、対空ミサイル、F16など武器・弾薬供与の継続を謳い、ウクライナが先頭に立って対ロシア戦争を継続するよう圧力を加えるものであった。
一方で米・NATOはロシアと直接対峙する欧州全面戦争の準備に入った。目的はプーチン政権打倒とロシア解体だ。この間、北欧でNATO加盟国を増やした。ドイツのショルツ政権は、ロシアのウクライナ侵攻直後に、軍事費急増、大軍拡を開始した。フランスはウクライナへの地上軍派兵を繰り返し示唆した。英国は軍事費を2・5%まで増やす。冷戦時のようにロシアに対して大軍で対峙し圧倒する計画を本気で進めはじめた。NATO加盟国全体が対ロシア戦争を想定し、冷戦終了後大幅に縮小した各国軍の大増強に走り出したのだ。現在4万のNATO緊急展開部隊を30万人に拡大する。戦争開始時には80万の同盟軍の戦車や武器・弾薬を迅速に輸送する道路網整備など具体的な戦争計画を進めている。
それだけではない。米国はドイツに2年後に中距離核ミサイル(INF)全廃条約後、初めて中距離ミサイルを配備することを決めた。将来、核弾頭を載せることも可能だ。われわれは、欧州大戦と同時に新たな核戦争の危険性さえ高める米・NATOに矛先を向け、対ロシア戦争準備に反対していかなければならない。
(4)3つ目の戦線が対中国戦争だ。米帝は、アジアの同盟国と欧州のNATO諸国をかき集め、アジア太平洋で中国と対峙させるつもりだ。日本、韓国、台湾、フィリピン、そして豪州とニュージーランドなど、同盟国を総動員した対中軍事包囲体制を追求している。個別の軍事同盟を横断的につないだ対中軍事同盟化、まさに「アジア版NATO」だ。
日米2+2会議は、在日米軍に新たな作戦行動の司令部を設置することを決めた。インド太平洋軍司令官に属する統合軍司令部として再構成され、対中戦争の指揮を担うことになる。自衛隊統合作戦司令部は事実上、この在日米軍司令部の下に指揮系統が統合される。まさに日米安保の歴史的大転換である。在日米軍と自衛隊、日本列島が対中戦争の最前線にたつだけでなく、司令部自体が最前線の日本に置かれることになる。すでに韓国では在韓米軍と韓国軍の指揮統制が一体化されている。「台湾有事」「朝鮮半島有事」の最前線である日本と韓国において、米軍が統一的指揮をとるという極めて危険な動きだ。
とくに日本政府は、比豪英との円滑化協定による準軍事同盟化、ドイツ軍との「物品役務相互提供協定」締結、米日韓共同演習の強化、日米韓豪比、リムパックなどの多国籍軍共同演習強化と日常化、NATO各国のアジア展開、南シナ海での挑発、「台湾有事」策動など、とどまることなく対中戦争挑発をエスカレートさせている。さらに「アジア版NATO」の構築の最先頭に立ち、日米軍事同盟を核同盟にレベルアップしようとしている。米韓による核=拡大抑止協定締結を受け、日本も協定締結を準備している。
米帝の対中挑発の中心は、フィリピン・マルコス政権を使っての領土紛争激化だ。領有権紛争をフィリピンに仕掛けさせ、軍事協力と軍事演習による砲艦外交で全面支援している。日本は紛争の矢面に立つ大型巡視船供与でこれに協力している。だがフィリピンを使った執拗な対中挑発は、中国による仁愛礁での挑発抑止行動で失敗し、ドゥテルテ副大統領の閣僚辞任などマルコス政権は手痛い打撃を受けた。7月23日には両国間で緊張緩和のための暫定合意がなされた。
「力による現状変更」を執拗に追求し、戦争挑発をしているのは中国ではない。米帝国主義こそ張本人である。
[3]「三正面戦争」を阻止する諸要因・諸条件の拡大
(1)「三正面戦争」は阻止できる。すでに始まった戦争は停戦に追い込むことができる。帝国主義を追い込む国際的陣形が形成され、帝国主義戦争を止める諸条件が拡大している。
まず第1に、パレスチナ人民を先頭とした反植民地・民族解放闘争である。第2に、パレスチナ連帯をはじめとした全世界の反戦運動である。第3に、帝国主義侵略国の経済的、財政的破綻が戦費の調達と戦争遂行を不可能にし、人民の生活苦が爆発し、侵略国政府を揺さぶるだろう。第4に、社会主義中国の防衛力強化であり、第5に、その中国による平和・外交攻勢と、中国が主導するBRICS・SCOなど主権尊重、平等互恵を掲げたグローバル・サウスの前進である。
ハマス・抵抗勢力とパレスチナ人民は、想像を絶する犠牲を出しながら、不屈の民族解放戦争を戦い抜いている。地下トンネルを駆使したゲリラ闘争は健在だ。ここまで虐殺され飢餓状態に押しやられても、ハマスと抵抗勢力に対する支持は依然高い。破壊された病院や学校、食糧配給も自力で復活させている。パレスチナ人民の闘いは全世界の労働者・人民を鼓舞し、パレスチナ連帯行動を拡大している。
米・イスラエルを孤立化させる国際的包囲網は確実に狭まっている。国際司法裁判所ICJは7月7日、新たにヨルダン川西岸占領・入植の違法性を断定し、入植地撤去を求める勧告的意見書を出した。国際刑事裁判所のネタニヤフ首相逮捕状請求、国連安保理の停戦決議など、国際機関が公然と批判を始めた。国連でパレスチナ国家を承認する国が増えている。
社会主義中国は、米帝主導の「三正面戦争」を阻止するために、怒濤の平和・外交攻勢に打って出ている。7月23日、北京でパレスチナ和解会議が開催され、ハマス、ファタハなどパレスチナ抵抗勢力14派は、暫定的な国民統合政府樹立で合意した(北京宣言)。パレスチナのすべての抵抗勢力が一堂に会し、暫定政府樹立で合意したのは歴史上初めてのことだ。まさにパレスチナ民族解放闘争の歴史的勝利であり、真のパレスチナ国家樹立への画期的な歴史的一歩である。それは、米・西側によるオスロ合意体制、米帝主導の帝国主義的植民地主義的「中東和平」の偽善を打破するものだ。パレスチナ和平の主導権はワシントンから北京に移った。
ウクライナ和平でもブラジルとの共同和平提案、ウクライナ外相の訪中など積極的にリーダシップを発揮し始めた。ウクライナ外相が突然北京を訪問し、米国ではなく、中国に頼る選択肢を加え始めた。パレスチナ和平に続き、ウクライナ和平でも社会主義中国が重要な役割を果たす可能性が生まれている。
(2)「三正面戦争」を阻止する決定的な要因、その土台を作り出しているのが、中国が主導するBRICSとSCOの急速な台頭であり、帝国主義に対抗する「多極化世界」の発展である。
ソ連崩壊後の米帝一極支配は、新興・途上諸国に侵略と軍事介入を拡大し、経済制裁・封鎖を連発し、謀略的政権転覆(カラー革命)や暗殺を繰り返し、石油・天然資源や途上国企業を略奪し、ドル・金融覇権を振りかざし途上国を債務奴隷にし、目まぐるしく変わる金融政策の変更で途上国の経済発展を翻弄し、グローバル金融資本は途上国労働者を直接搾取した。
BRICSやSCOなどの「多極化世界」「多極化機構」が急速に拡大を続けるのは、これら米帝国主義による5大覇権(軍事、政治、ドル・金融、ハイテク、メディア・文化)の乱用、帝国主義的新植民地主義支配の不可避的結果、必然的反作用である。「人権」「民主主義」「自由」が米帝の侵略と内政干渉の道具に過ぎないことは、グローバル・サウスは身をもって体験している。直近でもベネズエラの大統領選挙に対して、NED(全米民主主義基金)やCIA(中央情報局)等を使った介入や工作、暴動・政権転覆策動を行っている。ハイブリッド戦争である(参照記事:ベネズエラ大統領選挙…マドゥロ勝利! 政府・人民が革命防衛に起ち上がる)。だからウクライナ戦争やイスラエルの大虐殺戦争で米国を支持する国は国連で少数派にとどまっている。
[4]米帝と自国帝国主義に矛先を向けた反戦運動をつくり上げよう
(1)戦争の階級的性格を間違い、米帝主敵を外せば、反戦運動は最悪の場合「戦争運動」に変質する。ウクライナ戦争で米・NATOを支持したり、ウクライナに徹底抗戦を強いる。パレスチナ虐殺戦争ではバイデンに期待する。「台湾有事」では中国主敵論に転落する、等々。共通するのは元凶である米帝国主義を免罪することだ。レーニンの世界情勢論、戦争論、民族・植民地問題論、『帝国主義論』をより深く研究し、現代帝国主義戦争に創造的に適用しよう。
全世界で、米国に明確に矛先を向け、「三正面戦争」に反対する闘いが持続的に展開されている。米国やカナダ、欧州、日本、アジアやラテンアメリカ諸国で、パレスチナ連帯の闘いが続いている。米国や欧州の学生の野営地運動は、秋の新学年の開始を機に再び活性化しようとしている。
日本でもパレスチナ連帯行動が粘り強く闘われている。各地の街頭で連日スタンディングが行われている。大学キャンパスでの野営・スタンディングなど、学生や若者が自発的に行動に立ち上がっている。イスラエルと関係を持つ商品の不買運動や、川崎重工やファナックに対する抗議行動、申し入れ等が行われている。運動はさらに広がるだろう。
(2)パレスチナ連帯を岸田政権の対中戦争反対の闘いと結び付けよう。8月6日の平和祈念式典に広島市がイスラエル大使を招聘したことに対して、式典を取り囲む抗議行動が行われた。式典の演説で岸田首相は、イスラエルの暴挙や米の核保有には一切言及せず「ロシアによる核の威嚇」のみを挙げた。後の記者会見で岸田首相は、米の核の傘に入ることを意味する「拡大抑止」の日米閣僚級会議を報告し、被爆地広島で、NATOによる対ロシア核配備の強化を支持し、中国に対して核を含めた日米軍事同盟の構築を表明した。長崎市長は被爆者を含む市民の声も踏まえ、イスラエルを式典不招待とした。これに対し、米英仏独加伊の6カ国とEUが大使の出席を拒否し、日本政府も圧力を加え、「政治問題にする気か」と市長を脅迫した。まさにG7とはジェノサイド7なのである。
岸田政権が米の「三正面戦争」に加担し、対中戦争準備の先兵の役割を果たそうとしていることに対して、かつて天皇制軍国主義の日本が朝鮮を植民地化し、中国とアジア諸国を侵略し2000万人とも3000万人ともいわれる犠牲者を出した侵略戦争の反省を深く胸に刻まなければならない。「台湾有事」の最前線に立たされようとしている沖縄と南西諸島の島々では、「再び中国と戦争をするな」との声が高まっている。
(3)日本国内では、ガザ虐殺糾弾・パレスチナ連帯行動に加えて、沖縄の辺野古新基地建設反対闘争、米兵による暴行事件糾弾・日米地位協定見直しの闘い、宮古での弾薬庫建設反対運動、大分での弾薬庫増設反対、ミサイル基地建設反対闘争、祝園弾薬庫拡大反対闘争など、日本の軍国主義化、対中戦争準備反対の粘り強い地域闘争が闘われている。
関電の原発再稼働阻止のための使用済み核燃料乾式貯蔵反対闘争、むつ使用済み核燃料中間貯蔵施設反対闘争、令和書籍をはじめ皇国史観教科書反対、日の丸・君が代強制反対の闘い、入管法改悪反対と入管制度そのものへの反対の闘い、障がい者の人権擁護や差別に反対する闘争、部落解放闘争、反貧困と生活支援の闘争、非正規労働者の最賃引き上げ闘争、労働組合運動、LGBTQ差別に反対する闘いや女性差別に反対する闘い等々がある。
これらは、それぞれ地域や個別課題で分散的に存在していて、まだ全国的な対政府闘争にはなっていない。だが、粘り強い闘いは岸田政権に対する重要な闘いの一部を形成している。諸矛盾は確実に蓄積し、何から火が付き燃え上がるかわからない。岸田政権との闘いを継続・強化しよう。世論と大衆運動の力で、岸田政権を打倒し、自民党政治に終止符を打とう。
2024年8月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局