半年に及ぶ不屈のパレスチナ抵抗闘争

イスラエルは即時恒久停戦に応じよ 
米は武器・弾薬をイスラエルに渡すな
 

ガザのパレスチナ抵抗勢力が、イスラエルの包囲壁を打ち破り、パレスチナ民族解放闘争の新たな突破口を切り開いた10月7日から半年。米を先頭に西側帝国主義が全面的に支援するイスラエルは、ジェノサイドと民族浄化で虐殺の限りを尽くし、3万3000人を超えるガザ住民を虐殺し(瓦礫に埋もれたままの行方不明者を除く)、生活インフラと病院、学校、宗教施設をことごとく破壊しつくし、ガザ全体を廃墟に変えた。住民を中部から南部へと、さらにエジプト国境のラファにまで追い立て、ラファ全面侵攻の姿勢を露わにしている。
 だがハマスを中心とするパレスチナ抵抗勢力は、決して屈していない。頑強な抵抗闘争を続け、自らも数多くの犠牲者を出しながらも、イスラエル占領軍に甚大な損害を与え続けている。パレスチナ人民もまたスマホを武器に発信し、米・イスラエルの暴虐を全世界に暴露し続けている。この闘いは、アラブ・イスラム諸国、新興・途上諸国から西側諸国へと、文字通り全世界の人民を鼓舞し、全世界的なパレスチナ連帯行動の嵐を巻き起こしている。ガザは降伏していないのだ。
 パレスチナ抵抗闘争と全世界で高まる即時停戦の声は、エジプト・カイロでの停戦交渉を再開させた。カタールとエジプト、そして米国が仲介する形でパレスチナ抵抗勢力とイスラエルの間接的な交渉が続けられている。だが現時点で、イスラエルはパレスチナ側の要求を拒否し、あくまでも戦闘継続の強硬姿勢を変えていない。
 停戦交渉に臨むパレスチナ代表団の要求は、パレスチナ抵抗勢力の総意に基づく正当かつ喫緊のものである。即時停戦、ガザ地区からの占領軍撤退、避難民の居住地への自由な帰還、占領軍が破壊したものの再建、救援物資運搬路の開放、封鎖解除、イスラエル人人質とパレスチナ人捕虜の相互解放のための協定締結、等々。われわれはこの要求を全面的に支持する。米とイスラエルによる交渉破壊を許してはならない。もはや一刻の猶予もならない。米・イスラエルはパレスチナの要求を直ちに受け入れなければならない。今すぐ恒久停戦に応じ、ガザから全面撤退して占領を終結させるべきだ。

米・イスラエルはラファ侵攻をやめよ
一切の戦闘行為を中止せよ

 イスラエル軍は4月7日、数千人の1個旅団を除いてガザ南部から部隊を撤退させた。だがこれは停戦でもなければ戦闘中止でもない。ガザ中部など各地で空爆を継続し、殺りくを繰り返している。部隊撤収時には赤新月社の救急車23台を破壊した。ガラント国防相は、ラファ侵攻を含め「今後の任務に備えるため」と、あくまで戦闘と占領を継続すると言明した。ネタニヤフ首相は「ラファに入り、ハマスの部隊排除なしに勝利はない」と言い続けている。イスラエルはラファ侵攻に固執し、パレスチナ人の追放=民族浄化を執拗に追求している。破局的被害をもたらすラファ侵攻は、絶対に止めなければならない。
 イスラエルは停戦に応じるどころか、攻撃をエスカレートさせてきた。3月18日から4月1日まで、イスラエル軍はガザ市のアル・シファ病院を襲撃した。ガザ当局によると「400人以上を殺害し、数百人の患者、避難民、医療スタッフを拘束し、拷問した」。病院内にいた医療関係者をはじめとする人々と施設そのものを消滅させたのだ。

深刻化する飢餓と人道危機
食料を武器にするな

 ガザでは、飢餓の危機が一段と深刻化している。国連のグテーレス事務総長は、ガザの100万人以上が壊滅的な飢餓に直面していると指摘した。国連が支援する食料安全保障調査で、2月中旬から3月中旬に、最も深刻な「フェーズ5(飢餓/壊滅的な状況)」とされたのはガザ全域で約68万人に達する。
 この飢餓は、イスラエルが人為的に引き起こしているものだ。人道支援物資の搬入を執拗に妨害し、生存可能な物資搬入を阻止している。人々が生きていくのに必要な物資を届けるには1日最低500台は必要で、100台では全く足りない。
 米国などが盛んに宣伝する食料の空路・海路による輸送も茶番だ。陸路輸送を妨害するイスラエルを免罪するものでしかない。1機の輸送機からの投下量はトラック1台分程度に過ぎない。それどころか、空中投下や海上輸送、新ルートの陸上輸送は、パレスチナ人を分断し支配を強化するための手段でもある。イスラエル軍が警備し、ハマスに従わないパレスチナ人に分配作業をさせるのだ。海上輸送のための桟橋

建設は、パレスチナ人を追放するための出口ともなる。
 妨害だけではない。イスラエル軍は援助活動家らを繰り返し攻撃し、国連機関、国際赤十字・赤新月社、国境なき医師団などの職員を殺害してきた。4月2日、食料支援活動をしている米NGO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」のスタッフ7人を空爆で殺害した。WCKを含む複数の支援団体が活動停止を余儀なくされ、国連も夜間の人道支援活動を一時停止した。

首謀者バイデンの偽善を許すな
武器援助をやめさせよう

 ジェノサイドへの国際的批判が高まる中で、イスラエルがここまで強硬な姿勢を貫けるのは、米バイデン政権がイスラエル支持と軍事援助をやめないからだ。バイデンこそ、イスラエルの対ガザ戦争の張本人、首謀者に他ならない。
 バイデン政権が、ラファ攻撃に反対し、ネタニヤフと対立しているかの報道が盛んになされている。しかし、口で何を言おうともバイデンがやっていることは、ジェノサイド完遂の手助けである。米国はイスラエルに、年間40億ドル近くの軍事援助を与え、武器の70%近くを供給している。3月にも、最新鋭のステルス戦闘機25機や2300発以上の爆弾の売却を承認した。1800発は1トン爆弾で、ラファ全域を更地に出来る量だ。売却額は180億ドルを超え、昨年10月以来最大規模となる。
 バイデン政権は、イスラエル支持を貫いているが、国際的批判の圧力に晒されているのも事実だ。3月25日の安保理決議に拒否権を行使できなかったのも、ラファ攻撃に懸念を示しているのも、その表れだ。
 国内からの批判も強まっている。「中東情勢への対応支持」と答えた民主党支持者は、去年11月の60%から3月には47%にまで低下(ギャラップ)、民主党支持者の56%が「イスラエルへの軍事支援を続ける大統領候補は支持しない」(ロイター)と答えている。特に若い世代や黒人のバイデンへの批判が強まり、大統領選の遊説で「ジェノサイド・ジョー!」のヤジで演説が遮られることが常態化している。
 偽善者バイデンの姿を徹底的に暴き出し、批判を集中し、イスラエル支援と一切の軍事援助をやめさせなければならない。

米・イスラエルは孤立している
今こそ恒久停戦を押しつけよう

 米とイスラエルの国際的孤立はますます深まっている。
 イスラエルのシリア・ダマスカスのイラン大使館爆撃は、あからさまな国際法違反であり、国際的な非難が急速に広がった。イスラエルはイランからの報復を怖れて、国内外で警戒態勢を取らざるを得なくなった。これに追い打ちをかけるように、イスラエルの意図的なWCK空爆・殺害は、とくに欧米諸国からの批判を一段と高めることになった。さすがのバイデンも無視できなくなってきた。急きょネタニヤフと電話会談し「即時停戦が不可欠」と強調し、「イスラエルの行動次第ではガザに関する米国の政策を考え直す」と警告せざるを得なくなったのも、そのためだ。イスラエルはその後、ガザ北部のエレズ検問所などを、昨年10月以降はじめて開放した。
 3月25日、国連安全保障理事会は、ラマダン期間中の即時停戦を求める決議を初めて採択した。米国は拒否権を行使できなかった。4月5日には、国連人権理事会が、各国にイスラエルへの兵器提供をやめるよう求める決議を採択した。この決議採択も初めてだ。
 さらに国際司法裁判所(ICJ)は3月28日、イスラエルに対し、ガザで飢饉が起きているとして早急に必要な措置を講じるよう命じた。1月のジェノサイド防止命令に続く追加措置だ。全会一致で、食料や医薬品の供給などの人道支援を、ガザで遅滞なく提供するようイスラエルに求めた。
 さらに米と同盟諸国16ヵ国が行っていた国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出は、カナダ、スウェーデン、オーストラリア、そして日本などが拠出を再開した。
 即時停戦を求める運動も、世界各地で継続されている。パレスチナの「土地の日」にあたる3月30日には、ロンドンで20万人、ニューヨークで3万人など、全世界で大規模な集会やデモが行われた。日本でも、新宿駅を一周する「新宿円周ラッピングデモ」など、各地で行動が行われた。イスラエル国内では、3月30・31日、国会前に、10月以降で最大規模となる数万人が集まり、ガザでの戦闘休止と人質解放交渉の早期妥結、ネタニヤフの辞任を要求した。
 恒久停戦につながる道はまだ見えない。しかしそれでも、小さいが確かな変化が生み出されている。世界の運動と世論によって、こうした小さな一歩を積み重ねることこそが、恒久停戦を実現し、イスラエル軍撤退からパレスチナ民族自決権の保障へと進む、唯一の道である。
 イスラエルはラファへ侵攻するな。飢餓作戦をやめよ。恒久停戦を受け入れよ。軍をガザから撤退させよ。封鎖を解除し食料・物資搬入を拡大せよ。
 米国と西側諸国政府はイスラエル支持、武器供与を止めよ。日本政府はイスラエル支持をやめよ。日本企業はイスラエルに協力するな。

2024年4月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局



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