【第108号 主張】日本軍国主義の新段階と闘おう

○対中戦争のための日米安保大転換反対
○軍需産業復活・武器輸出全面解禁を許すな
○軍事費倍増、増税・人民生活切り捨て反対

[1]日米安保大転換-自衛隊が米軍の統一指揮下で対中戦争可能に

(1) 米帝国主義は、いよいよ日本を中心に、中国を包囲する日米比豪韓を米軍の統一指揮下に置く対中戦争体制づくりに入った。米の構想は、ウクライナ戦争やイスラエルの大虐殺戦争と同様、日本と周辺国による「代理戦争」であり、最前線に立つのは日本だ。日本列島全体を戦場にする恐ろしい計画である。
 4月10日のバイデン大統領と岸田首相の日米首脳会談では、日米安保の大転換を狙っている。米日の指揮系統の統一、自衛隊の運用を米軍の統一的指揮に置くことがメインだ。自衛隊は今年度中に自衛隊統合指令部を発足させる。しかし現状では、対応相手の在日米軍指令部には平時の訓練計画や連携の権限しかなく、戦争での共同作戦の指揮権限がない。ハワイのインド太平洋軍司令部に伺いを立てるしかない。今回の首脳会談で両国は指揮系統の強化と統一を打ち出し、実際に共同で中国と戦争できる体制に日米安保を格上げするつもりだ。岸田首相自ら「歴史的転換点」だと語り、軍事政策を転換し、戦争する国家へと根本的に変身する野望を明らかにした。
 4月4日、CSIS(国際戦略研究所)が第6次ナイ・アーミテージ報告「2024年の日米同盟~統合同盟に向けて」を発表した。①指揮統制の再構築、②情報とサイバーセキュリティ強化、③防衛産業と技術協力の優先などを打ち出している。さらに④米と二国間同盟の関係にある各国と日米比豪韓と台湾を加えた「アジア版NATO」を要求している。

(2) われわれはこれまでも、日本軍国主義の新しい段階を日米安保との関係で特徴づけてきた。しかし日本軍国主義も日米安保も、結局は、一貫して米帝国主義の戦略に従属したものであった。安保条約の条文は当初から変わっていないが、その実態は、米の戦略転換の度に危険な方向にエスカレートしてきた。
[第1段階]戦後の米ソ冷戦の下では、ソ連と中国を攻撃する前線基地、出撃基地である在日米軍基地と在日米軍を防衛することが日米安保における日本側の主たる任務だった。
[第2段階]ソ連崩壊後、クリントン政権は、危機に陥った朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を崩壊させようと「朝鮮半島有事」を戦略化した。94年には実際に米軍が侵攻直前に至った。これが日本の安保政策の転換につながる。1996年の「安保再定義」、97年の日米ガイドラインと周辺事態法である。それは北朝鮮を攻撃する米軍を自衛隊が後方支援で初めて参加・加担する道を開いた。その後、アフガニスタン戦争、イラク戦争で派兵に踏み切ったが、反対運動によって挫折した。
[第3段階]次は、2012年にオバマ政権が米軍を中東から対中シフトする「アジア・ピボット」戦略に対応する日米安保の転換である。これが2015年の新ガイドラインと戦争法である。安倍政権は憲法解釈を一変させ、集団的自衛権の行使容認の上で、米軍の始めた戦争に自衛隊が攻撃にも参加する法的根拠とした。「海外派兵」を自衛隊の恒常的任務として規定した。新ガイドラインは「日本は防御、米軍が攻勢」という従来の規定を、日本も攻撃に参加できると改めた。
 トランプ政権は2019年、対中関税戦争・ハイテク戦争と併せて、対中軍事外交政策を転換し、政治的・経済的な関与で資本主義化を狙う「関与政策」を放棄した。しかし、米の対中戦略シフトはまだ過渡的なものであった。
 安倍政権は丸々この段階に当たる。米戦略に追随して、日米安保体制をなし崩しで対中戦争準備に適応させた。日米共同演習や多国籍演習、南西諸島の軍事要塞化への着手など。
[第4段階]バイデン政権は、中国を「第一の仮想敵」と定め、本格的な対中戦争準備を加速する。トランプ政権と質的に異なる新しい段階である。それが「2027年台湾有事」政策である。トランプ時代の同盟間の亀裂を修復し、西側同盟全体を対中戦争に巻き込むという前政権以上に危険な戦略だ。
 米国の対中戦略転換に合わせて日米安保体制も全く新しい段階に入った。2021年に誕生した岸田政権は、22年の安保三文書以降、軍事費倍増、長距離攻撃ミサイル大量導入、南西諸島要塞化、南シナ海などでの多国籍軍事演習など対中戦争準備を次々具体化した。岸田軍拡は安倍軍拡の単なる延長ではない。日本軍国主義の全く新しい段階である。その軸に実戦的な指揮系統の強化と統一が置かれている。

(3) だが、第4段階は単なる日米間の指揮系統の統一だけではない。今回の訪米では日米比の3国首脳会談も行われる。日米安保の新段階に対応して、アジア規模の対中軍事同盟体制=「アジア版NATO」づくりが始まった。もちろん憲法違反であり、国会審議もなしだ。政府は同盟を結んでもいないフィリピン、オーストラリア、韓国を「同志国」と呼び、軍事同盟の相手であるかのように軍事協力をエスカレートさせている。これらの国と頻繁に共同軍事演習を繰り返すようになった。航空自衛隊はオーストラリアへの飛行隊のローテーション配備を決めた。陸上自衛隊はフィリピンへのローテーション配備を検討している。日米比豪は南シナ海での共同訓練や共同パトロールで対中挑発を策している。米英豪はAUKUSへの日本参加の検討に入った。米軍はこの地域に中距離ミサイル(トマホーク、SM6ミサイル)の地上発射部隊を置くと発表した。日本とフィリピンが配備候補地だ。

(4) 戦争の実戦準備が異常な速さで進められている。軍事予算の大増額、中国を狙う長距離巡航ミサイルの大量導入、米国製兵器の爆買い。武器輸出の急速な解禁、次期戦闘機やミサイルの輸出解禁、国家主導による軍需産業の再生、共同生産やファイブアイズとの情報共有のための軍事機密保持と監視体制強化、セキュリティクリアランス(SC)法案等々である。日本国憲法と9条のもとで厳しく制限されてきた軍事費GDP1%、「専守防衛」と個別的自衛権、武器禁輸三原則、基本的人権などをことごとく公然と踏みにじっている。
 並行して、対中戦争に向けて「南西諸島」の要塞化が急ピッチで進んでいる。石垣、宮古、沖縄、奄美への対艦ミサイル部隊配備に続いて、各島に電子戦部隊が配備された。民間施設の軍事利用の動きが強まり、昨年11月の「自衛隊統合演習(JX)」では大分、徳之島、岡山、奄美の民間空港で初めて自衛隊機の離発着が強行された。政府は全国で16の軍民共用の「特定重要拠点空港・港湾」を指定し、軍用を受け入れないと港・空港・道路、橋梁などの建設補修をできなくした。弾薬庫の新増設は、京都府の祝園をはじめ、全国14カ所で始まっている。さらに戦争勃発時の住民の全島避難、防空壕(シェルター)建設、自衛隊員や住民に死者が出た場合の遺体収容袋、負傷者の治療のための血液の冷凍保存など実戦を想定した準備が進められている。
 国会審議もなく、メディアも真実を伝えず、日本国民がほとんど知らぬ間に、米の命令一下米軍の指揮下で、沖縄のみならず日本列島全体が対中戦争の戦場になる恐ろしい対中戦争準備が、岸田政権と米軍・自衛隊の間で進行しているのである。

[2]国家・金融資本主導の軍需産業復活、「死の商人」国家への転換

(1) 日本の戦争国家化の目下の最大の焦点の一つが武器輸出全面解禁と軍需産業復活だ。3月には公明党を巻き込んで、日英伊共同開発の次期戦闘機の第三国への輸出を解禁した。事実上の武器輸出全面解禁だ。昨年末に武器輸出三原則と運用指針を改悪し、パトリオットのライセンス元米国への輸出(ウクライナへの迂回輸出)、共同生産兵器の部品輸出、殺傷兵器を装備した警備・掃海艦などの輸出を認めた。今回の次期戦闘機の第三国への輸出は、正真正銘の最新鋭兵器の輸出の解禁だ。
 安保三文書では「防衛力そのものとしての防衛生産」として軍需産業強化と武器輸出拡大を強調し、昨年は防衛産業基盤強化法でテコ入れを開始した。軍需産業は防衛省だけが販路の段階から本気で国外での市場獲得を追求している。新しいナイ・アーミテージ報告は日本の軍需産業との技術・生産協力強化を打ち出しているが、それは米国が武器生産能力の不足を補うために利用するだけに止まらず、日本の軍需産業の要求でもある。

(2) 軍事費は安保三文書制定からわずか2年間で1.5倍に急増した。しかし、軍需産業、軍需関連企業の売り上げ膨張はもっと大きい。軍事費のうち、人件・糧食費以外の装備費、維持費、施設費、訓練費、研究費などの伸びはすでに2倍近い。敵地攻撃用の長距離ミサイル生産・開発費など重点部門の予算の突出と前倒しはもっと大きい。しかも財界の要求を受けて装備の利益率を2倍化しようとしている。軍需企業筆頭の三菱重工は従来5000億円程度だった軍需関連の売り上げを24年度は7000億円に、25年度以降は1兆円に増やす。他の軍需企業も同様だ。これらの企業では、軍需生産の比率が上がり、更に将来の拡大に向けて設備と人員の拡大を進めている(戦争と軍需に群がる軍需産業=「死の商人」の本性)。味をしめた軍需産業は軍拡への発言力をますます強め、日本軍国主義の新段階の物的衝動力の源泉の一つになっている。

(3) 2月に発足した防衛省の諮問会議「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」は、金融資本主導の軍拡と軍需産業復活の司令塔だ。初会合で早くも「43兆円ありきではない」と、軍事費の上限を撤廃し、さらなる増額方針を打ち出した。会議のメンバーは、経団連名誉会長を筆頭に、元防衛事務次官、元防衛相、読売グループ社長、NTT会長、三菱重工会長、元駐米大使、東大・早稲田・慶応の御用学者など巨大金融資本、軍需産業、通信、メディア・学界、政府・官僚の代弁者が勢ぞろいしている。
 われわれは、自民党の裏金問題の本質が、経団連企業による自民党への献金=政官財の癒着構造、金融資本による政治支配であることを問題にしたが、この有識者会議こそ、軍事費倍増、軍需産業育成と武器輸出推進をめぐる政官財癒着の司令塔に他ならない。22年4月に経団連は自民党に先駆けて「防衛計画の大綱に向けた提言」を公表した。それ以後も、財界は防衛産業基盤強化法や、SC法案、武器輸出解禁などを急速に推進している。金融資本の戦争衝動と「死の商人」の本性が露わになっている。

(4) 岸田の露骨な対中戦争準備は、日本の経済と社会全体をも軍事化しつつある。いわば「戦争国家」化だ。今国会に提出されているSC法案は、「特定機密保護法」が防衛、外交、テロ、スパイ防止の分野で公務員に機密保持を義務づけたのに続き、対象範囲を「重要経済情報」に拡大すると共に、民間企業にも機密保持と詳細な身元・身辺調査を義務づける。国全体に機密保持と身元調査の網を広げるものだ。政府はファイブアイズ等西側のスパイ・謀略機関との情報共有のためにSC制度導入を求め、金融資本と軍需独占体は外国との装備の共同開発の必要からSC制度を要求している。
 軍事研究への大学の取り込みも強まっている。軍事技術へ応用可能な基礎研究を助成する防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」への大学の応募は23年度は対前年度で倍増した。大学への予算を削減する一方で、研究費をエサに大学と研究者を軍事研究に引き込もうとしている。日本学術会議は一昨年にデュアルユース(軍民両用)の先端技術研究を否定しない姿勢に転換した。研究者の軍事研究への抵抗感も薄れつつある。
 最大の問題はメディアの取り込みだ。金融資本を代弁する日経をはじめ、読売や産経などの保守メディアは軍拡と改憲の論陣を張り、軍需産業の推進と武器輸出解禁を煽り、世論をリードしようとしている。総じてメディアの全体が政府の宣伝機関に成り果てている。

[3]対中戦争を許さない新しい力関係ーー中国の台頭、資本主義の危機と米帝の没落

(1) しかし、米日帝国主義支配層による対中戦争は、3つの大きな障害・困難に直面している。第1に、何よりも社会主義中国そのものの防衛力の格段の強化である。第2に、資本主義の体制的危機の深刻化。第3に、米帝一極支配の没落の下で、中国の台頭が作り出す新たな国際的力関係である。
 もはや中国は、アヘン戦争で列強に侵略された清朝末期の中国でも、新中国建国直後の中国でもない。改革開放後の社会主義市場経済に基づく持続的成長は46年目を迎え、中国の経済力はすでに購買力平価GDPで米国を超え(2022年に1.19倍)、防衛力を支える製造業の対GDP比は中国の約40%に対して、米国はわずか10%だ。しかも、中国は、世界中で戦争する米国と違い、自国防衛に徹し、全資源を平和建設に集中している。だから、米と西側の戦争挑発に乗らず、堂々と構えている。

(2) 一方、西側帝国主義は、解決不可能な全般的・体制的危機に見舞われ、足元が揺らいでいる。2008年リーマンショック以降の、一方での低成長と構造的衰退、出口の見えない長期慢性不況とインフレ・物価高騰、他方での金融バブルと株式市場の過熱は、労働者・人民の生活悪化、窮乏化と貧富の格差を急拡大させている。
 米帝主導の西側帝国主義による「三正面戦争」は、加担する西側諸国全体で、超軍拡・軍事費急増、財政危機と増税・社会保障切り捨てを加速し、労働者・人民の生活破壊と窮乏化を加速し、各国内の階級矛盾を一段と激化させている。米国では、11月大統領選を控えた民主・共和両党の対立激化と財政危機の下で、ウクライナ軍事支援が財源不足で決められない状況だ。若い世代を中心にイスラエル非難とパレスチナ連帯が高まり、ストライキが復活し、労働運動の活性化が始まっている。
 欧州も同様だ。仏マクロンは対ロ戦争を呼びかけロシア強硬論を唱え、ドイツもまたロシアと正面対決を追求する「再軍備」「時代の転換」政策に転換した。しかし、各国でウクライナへの軍事支援停止を求める世論が拡大し、イスラエル非難の声が高まりつつある。
 西側諸国全体で、反戦闘争と生活闘争、パレスチナ連帯行動が結びつき始め、各国政府の軍国主義・戦争政策を大きく揺るがし始めている。

(3) 米帝一極支配を支えてきた世界覇権(軍事、政治、経済、ドル・金融、技術、メディア等々)が急速に掘り崩されている。その最大の原動力となっているのが、社会主義中国の急成長と、これと結合したグローバル・サウスの台頭である。とくに経済、政治、技術で米帝は世界覇権を失いつつある。残る軍事力、ドル・金融、メディアの覇権を総動員して一極支配を維持しようと躍起だ。
 すでに中国は、世界の製造業総生産の35%を占める。EV、太陽電池、半導体、産業ロボットなどの最先端技術・産業分野では、帝国主義に追いつき追い越すまでになっている。2035年の社会主義現代化目標に向かって、「新しい質の生産力」=イノベーション戦略を原動力に、米国を上回る持続的成長の道を進み始めた(中国全人代:「新たな質の生産力」で社会主義現代化の道を示す)。
 今年1月、新興・途上諸国10ヵ国からなる新BRICSがスタートした。すでにBRICSのGDPは、購買力平価でG7諸国を上回り、世界の3割を超える(2022年)。「一帯一路」は提唱から10年を経過し、151ヵ国と32国際機関が加わる、相互尊重と平等・互恵の経済協力体制となった。
 戦争拡大や経済制裁、「カラー革命」で世界を支配し、抑えつけようとしても、それが簡単には通用しない新しい時代に入りつつある。西側帝国主義を数や勢いではるかに上回る中国とグローバル・サウスの協力の力が作り出す新たな国際的力関係である。米の「三正面戦争」は、対パレスチナでも、対ウクライナでも大きく行き詰まっている。このような中で、自滅を覚悟して対中戦争に踏み切れるのか。孤立し、追い込まれているのは米と西側帝国主義である。

[4]岸田政権の軍事最優先=人民生活破壊を転換させよう

(1) 日米が主導する対中戦争準備もまた、大きな困難に直面し、諸矛盾を激化させることは確実である。
 日本の戦争国家化へのエスカレートは、中国をはじめアジア諸国からの批判と警戒を呼び起こしている。アジアにおける緊張激化、戦争の脅威を飛躍的に高めるからだ。とくに中国は、かつての侵略戦争の歴史を忘れ、対中戦争準備へとひた走っている日本を厳しく批判している。歴史問題は、日本支配層の最大の弱点の1つである。
 われわれは、かつての天皇制軍国主義による中国・朝鮮とアジア諸国の侵略、植民地化の歴史そのものを否定し、記憶から消し去ろうという日本支配層の動きを徹底的に追及しなければならない。かつて中国に甚大な被害と犠牲を与えたという自己批判を忘れてはならない。

(2) 岸田政権の戦争国家化への暴走に歯止めをかけられない最大の要因の1つは、ブルジョア議会の腐敗と翼賛体制、野党の体たらくである。
 岸田自民党は裏金疑獄で支持を大きく失い、腐敗と個利個略が渦巻く深刻な党内危機に陥っている。にもかかわらず、野党は過去最高の軍事費を盛り込んだ予算案も、殺傷兵器輸出解禁も阻止できなかった。それは野党が世論も運動も組織せず容認したからだ。それどころか、SC法案で立憲民主は早々と付帯決議を条件に賛成に回り衆院を通過させた。昨年には、軍需産業を復活させる「防衛生産基盤強化法」に賛成した。最大野党が公然と、日本軍国主義強化に手を貸しているのだ。中国非難とロシア非難では、共産党を含む一種の翼賛体制が作られている。さらに芳野連合の自民党や財界との関係緊密化など、労働運動における労使協調・階級協調路線が進行中だ。

(3) だが、このような翼賛体制はいつまでも続かない。岸田政権が、本格的な対中戦争同盟にカジを切り、経済・社会全般に及ぶ全面的な軍国主義化を進めれば進めるほど、階級矛盾は一段と激化せずにはおかない。戦争準備一辺倒、軍事最優先政策は、労働者・人民の生活を直撃している。
 24年度予算では、8兆円近くの巨額軍事費を捻出するために、人民関連のあらゆる予算を徹底的に抑え込んだ。所得税・法人税・たばこ税などの大衆増税、復興税の軍事費への転用も画策し、高齢者の介護保険の自己負担増、後期高齢者医療保険の上限引き上げ、厚生年金の支給減額、退職金の非課税枠縮小、配偶者控除の縮小、扶養控除縮小等ありとあらゆるところから搾り取り、軍事費につぎ込もうとしている。軍事費や原発、無駄な万博、ハコモノやリニア・新幹線など巨大プロジェクトにカネを使うのか、福祉・医療・教育はじめ人民生活や命と平和のために使うのか。今後ますます予算闘争が階級闘争の焦点になるだろう。
 日本の階級闘争は、欧米諸国と比べても歴史的に大きく立ち後れてきた。しかし今年に入り、大衆運動の中に少しずつ新しい気運が生み出されている。沖縄と各地での反基地闘争の復活、パレスチナ連帯行動での新しい若い人々の参加、SNS等を通じた反中・戦争プロパガンダに対する批判の広がり、労働者のストライキ闘争の芽生え、等々。闘争条件は不均等だが確実に成熟しつつある。粘り強く闘い続けるならば、日本の戦争国家化を阻止することは可能である。
 日本軍国主義の新段階と戦争イデオロギー、人民負担・収奪強化に対する暴露・批判を強化しよう。創意工夫をこらし、多様なやり方で自信を持って訴えよう。対中戦争準備ではなく対中平和共存、人民生活最優先への抜本的政策転換を要求しよう。岸田政権を徹底的に批判し、追い詰め、打倒に追い込もう。

2024年4月9日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました