オスプレイの屋久島沖墜落に抗議
すべてのオスプレイの飛行を禁止し、全機を撤去せよ!
11月29日、横田基地所属の米空軍CV22オスプレイが岩国から嘉手納に向けて飛行中、鹿児島県屋久島付近で機体にトラブルが発生、制御不能となり海中に墜落した。8名の搭乗員全員が死亡という、オスプレイの事故としては開発段階を除き最多の死者数となった。目撃証言では、「高度を下げながら飛行していた機体がひっくり返り、左翼のプロペラから火を噴き、その後爆発音とともにプロペラが吹き飛んだ」とのこと。明白な墜落事故にもかかわらず、日本政府は当初、「不時着水」との米軍の発表をそのまま用い、危機感のない無責任な対応であった。
事故直後から、沖縄、横田などオスプレイ配備基地周辺や飛行訓練区域周辺の住民、自治体から飛行停止を求める声が挙がった。事故翌日になって日本政府は「捜索救助活動を除き、飛行にかかわる安全性が確認されてから飛行を行うよう」米側に要請したが、米軍は「安全点検を行った上で運用している」と回答し、横田配備以外のオスプレイの飛行停止には全く応じなかった。12月7日 米軍は全軍のオスプレイの飛行を停止したが、それまでは救助活動以外でも各地で離着陸が繰り返されていた。また、引き上げられた墜落機の残骸はすべて米軍が回収し、事故原因の究明もすべて米側で行われる。日米地位協定を言い訳にして日本政府は主体的に原因究明を行おうともしない。
欠陥を抱えたまま飛行し続けるオスプレイ
オスプレイの墜落事故は、昨年2件、今年は8月に1件(いずれも海外で)発生し、今回はそれらに次ぐ日本国内で起きた墜落事故である。もし市街地上空での事故であれば大惨事となったであろう。墜落に至らない飛行中のトラブルも多発しており、特に今年9月から10月にかけては、九州・沖縄の民間空港への緊急着陸が相次いで起きている。
オスプレイの重大な欠陥として、ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)と呼ばれる、エンジンとプロペラをつなぐクラッチの故障が明らかになっている。2022年6月に起きた米カリフォルニア州でのオスプレイ墜落事故の調査報告書を米海兵隊が今年7月に公表し、その中でそれを墜落の原因としている。クラッチに関係する事故は10年以上前から報告されていたが、それをやっと公式に認めた。ところが米軍は、根本的な対策を行わないまま、飛行時間の管理とクラッチ部品の交換で「再発リスクが99%減少した」として運用を続けている。今回の事故原因はまだ不明だが、原因に関わらず墜落事故のリスクは増大することになる。危険なオスプレイをこれ以上飛行させないため、自衛隊機も含めて全機の撤去を求める。
東京、神奈川でも抗議行動
墜落事故を起こしたオスプレイが横田基地所属ということもあり、首都圏でも抗議行動が各地で行われている。辺野古への基地建設を許さない実行委員会は、毎月防衛省に対して辺野古新基地建設への抗議・要請行動を行っている。12月4日の行動については、オスプレイ事故に対する緊急抗議としても行うこととした。
いつも通り18時30分に開始。沖縄からの電話メッセージを沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんに依頼。海兵隊のオスプレイが飛行を停止しないことへの怒りと、沖縄防衛局への抗議行動などの報告があった。防衛省への申入れは、3団体がオスプレイ墜落抗議、飛行停止と配備撤回を求める文書を準備し、防衛省の担当者に手交した。さらにこの日は伊波洋一参議院議員も駆けつけ、南西諸島へのミサイル配備など岸田政権の軍拡に対する批判、オスプレイの危険性、国会での政府への追及などについて発言。各団体からのアピールでは、横田基地周辺の市民団体から、各自治体の対応と要請行動の報告、さらに陸上自衛隊立川駐屯地での陸自オスプレイの訓練への抗議があった。
第五次厚木基地爆音訴訟原告団など4団体は12月6日、米海軍厚木基地(神奈川)に対して、オスプレイの飛行に抗議し、飛行停止を求める申し入れを行った。配備されてはいないものの厚木基地には米海兵隊と海軍のオスプレイが頻繁に飛来し、飛行訓練を行う。墜落事故があった11月29日にも4機のMV22が飛来し、離着陸を繰り返していた。厚木基地司令官宛の「抗議・申し入れ書」をゲート前で読み上げ、「オスプレイの飛行を停止しろ」などのコールを行った。