【103号主張】
沖縄を再び戦場にするな
日本列島を攻撃基地にするな
沖縄人民と共に対中戦争計画を阻止しよう

[1] 南西諸島の軍事要塞化 戦時さながらの住民避難訓練

(1) 南西諸島で戦時下のような戦争準備が始まった。宮古・八重山では12万人の住民全員を「退避」させる(島外に追い出す)計画が進められている。戦争が起こることを前提に、邪魔になる子どもや高齢者など島民を送り出す。かつて沖縄戦でやった「住民疎開」の再現だ。ミサイルの撃ち合いを前提に「シェルター作り」が推奨され、それで命が守れるかのように宣伝されている。沖縄本島でも戦争を想定して避難訓練が行われた。これらの活動が、住民に戦争が近いという意識を刷り込んでいる。
 しかし、一般住民の避難こそ戦争準備、その条件整備に他ならない。沖縄の人たちは対馬丸で送り出され死んでいった1500人の子どもたちと家族の悲劇を忘れない。疎開やガマの悲劇、沖縄戦の悲劇を忘れない。「軍隊は住民を守らない」「子どもたちを戦争に巻き込んではいけない」という思いは、沖縄戦の教訓として深く記憶に刻み込まれ、平和のために闘う沖縄人民の最大の原動力となっている。

(2) 南西諸島のミサイル発射基地化、要塞化、対中戦争に向けた準備が急速に進められている。住民避難訓練の背景には本当の戦争準備がある。南西諸島の対艦ミサイル、対空ミサイル配備は2014年からの中期防衛力整備計画(26中期防)から始まり、今年3月の石垣配備で奄美、宮古、石垣での配備を終え、今年度の沖縄本島配備を残すだけになった。南西諸島を盾に中国海軍の艦船、空軍の航空機を東シナ海に封じ込める体制を作った。次は、射程1000㌔を超える長距離巡航ミサイル(12式地対艦誘導弾の改良型)の配備だ。岸田政権が狙うのは南西諸島を対中国攻撃基地、最前線の攻撃拠点にすることだ。

(3) 自衛隊と米軍の軍事演習も変わった。2015年の現行日米共同ガイドラインによって、「米軍は攻撃、自衛隊は防御」ではなくなった。対中攻撃で自衛隊が主体的に前面に出ることになったのだ。憲法9条を根底から破壊する露骨な解釈改憲だ。米海兵隊はミサイル連隊を編成し、小部隊にして機動的に島嶼間を移動する攻撃態勢を取る。自衛隊はこの米軍と一体になって南西諸島への増援を行ない、ミサイル攻撃態勢を構築する。
 南西諸島では日米両軍が着上陸演習、両用作戦の訓練を頻繁に行うようになった。米軍艦に日本の水陸両用団(日本版海兵隊)が運ばれ、米軍のC130輸送機やオスプレイが自衛隊員を運ぶ。あるいは逆に、海自の揚陸艦が海兵隊員を運ぶ。宮古島、石垣島、沖縄本島だけでなく、与那国島の狭い道路にまで戦闘車(装輪戦車)を送り込み、公道を走りまわらせて存在を示し、島民を威圧している。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍事衛星打ち上げを利用し、対空ミサイルPAC3の移動展開訓練を強行した。
 本土メディアは、南西諸島全体の戦時体制づくりを全く批判も報道もしない。対中戦争の危険を沖縄の問題に押し込めてはならない、沖縄の闘いを孤立させてはならない。われわれは、「日本列島を対中攻撃基地にするな」を掲げて沖縄に呼応し、共に起ち上がり、一緒に闘う。

[2]戦前・戦後を貫く沖縄への犠牲押しつけと差別に反対する

(1) 沖縄の人々の危機感を共有するには、何よりも帝国主義日本の本土のわれわれが、沖縄が強いられてきた屈辱の歴史と現状、苦難の闘いの歩みを自己批判的に学ぶ必要がある。自己批判なしに共感も連帯もあり得ない。
 今日に連なる沖縄の悲劇の発端は、明治政府による1879年の琉球併合と事実上の植民地化であった(琉球処分)。琉球の人々は無理やり日本に帰属させられ、差別的な扱いを受けることになった。
 第2次世界大戦末期、天皇制軍国主義日本は、米国の本土侵攻を遅らせるために沖縄と県民を「捨て石」にした。凄惨な地上戦で6万6千の日本軍だけでなく、12万余、島民の4分の1が殺され、島全体が焦土と化した。沖縄の人たちは地獄のような戦場を身をもって学ばされたのだ。
 日本の敗戦後、沖縄は米軍の占領下に置かれ続けた。天皇裕仁も軍事基地としての沖縄を占領し続けるよう米軍に提言した。1952年のサンフランシスコ講和条約で米政府が施政権を持つことになった(第2の琉球処分)。沖縄は、一方的に日米同盟のための人身御供として米国に差し出され、米軍支配下の植民地的処遇で好き勝手に扱われ、生命と生活を脅かされ続けた。中国内戦、朝鮮戦争、台湾海峡危機、ベトナム戦争で米軍は沖縄を出撃基地、核兵器の発射基地として使い続けた。米軍による被害と闘い、米軍支配から解放されること、本土に復帰し平和憲法9条の下に暮らすことが沖縄人民の第一の要求となった。沖縄の人々は、本土に復帰する1972年まで、沖縄を支配する米国・米軍に対して、本土復帰を要求し、「核抜き本土並み」を掲げて闘い続けた。われわれはこの沖縄の民衆との闘いに固く連帯した。

(2) だが復帰後も、日本政府は一貫して沖縄の願いを踏みにじり続けた。米軍基地の「本土並み」を無視し、今度は日本政府が沖縄に米軍基地を押しつけ続けた(第3の琉球処分)。国土の約0・6%しかない沖縄に在日米軍基地の7割が集中する事態を固定化してきた。
 以後、沖縄の人々の命と生活を守る闘い、米軍基地と米軍犯罪に対する闘いに、それを押しつける日本政府との闘いが加わった。1995年の少女暴行事件で県民の怒り、憤りが爆発した。「もうこれ以上我慢ができない」。米軍基地を撤去し、米軍犯罪をなくせという全県民的な運動が高揚した。
 ところが、日本政府は97年に「日米新ガイドライン」を結び、「朝鮮半島有事」を理由に周辺事態法を作り、対北朝鮮戦争でも、自衛隊は米軍の後方支援に踏み出し、在沖米軍基地は再び最前線に位置づけられた。沖縄県民の怒りと屈辱は積み重ねられていった。

(3) 1995年以降の県民の反対運動を背景に危機感を持った日米政府は、狡猾にも、県民の切実な「負担軽減」の願いを逆手に取り、それを新たな基地強化にすり替えた。それが普天間基地の県内移転と引き換えの辺野古新基地建設だ。日本政府は、県外移転を要求する沖縄県民の長い闘いを弾圧し、2010年に「県外移設は不可能」なる判断を下した。今度は、辺野古新基地反対が県民共通の声となった。政府自民党が脅しと札束攻勢で県民を分断し弾圧しても、苦難に満ちた闘いは今日まで続いている。
 2012年末に成立した第2次安倍政権は、「県内移設」を掲げて、改めて辺野古新基地建設にドライブをかけ始めた。琉球新報はこの事態を「第4の琉球処分」と呼んだ。背景には2011年のオバマ政権の「アジア・リバランス」、つまり中東戦争から対中戦争準備への米の戦略転換がある。
 安倍政権は、集団的自衛権容認に踏み込み、新しい日米ガイドラインを確認し、2015年には、国会や世論の反対を押し切り、戦争法を強行採決した。
日本が攻撃されていないのに、米軍が中国と交戦すれば、自動的に中国を米軍と共同攻撃できるようになった。公然たる憲法9条破壊だ。

(4) 日米両政府、米軍と自衛隊が対中戦争準備を本格化して以降、沖縄の在日米軍基地も自衛隊基地も、特に自衛隊基地の位置づけと役割が大きく変わる。安倍政権の下で、日米両方が南西諸島の軍事力強化、対中軍事要塞化を進め始めた。それまで沖縄本島に航空自衛隊部隊と陸上自衛隊の1個旅団が配備されていただけで、他の島にはレーダー部隊や小規模な警備部隊しか存在しなかった。しかし安倍政権は、宮古島、奄美大島、石垣島、沖縄本島に新たに対艦対空ミサイル部隊、対空ミサイル部隊を新設、自衛隊部隊が次々増強された。与那国島には沿岸監視隊が配備され、さらに新しい電子戦部隊配備まで進められた。南西諸島全体が対中戦争に向けた対艦ミサイル、対空ミサイルの要塞にされたのだ。
 闘いも、対中戦争準備という新たな段階に備える必要が出てきた。自衛隊が南西諸島で部隊増強、戦争準備の主体となる中で、米軍の辺野古新基地反対一点で結集する「オール沖縄」の闘いだけでは不十分となった。日本政府・自衛隊に矛先を向ける新しい運動が必要だと考える人々が増えていった。「自衛隊が来ることで安全にはならない」「軍隊は住民を守らない」「新しい戦前になる」との思いで先駆的な闘いが始まった。この数年間、「命どぅ宝の会」「島々シンポ」をはじめさまざまなグループが活動を強め、南西諸島に対する自衛隊配備と日本政府に対する闘いを強めてきた。彼らは島々での抵抗闘争と本島の闘いを結びつけ、沖縄を再び戦争にするな、戦争にさせるなとの運動を強めている。今では全県レベルの運動を作り、積極的に沖縄から全国へと発信する活動も始まっている。同時に、中国、台湾との友好を掲げ、平和外交と日中友好協力を進める新たな闘いが構想され、実行に移され始めている。

(5) 岸田政権は、安倍時代にもできなかった危険な暴走を始めた。昨年12月の安保3文書、敵基地攻撃能力=大量の長距離巡航ミサイル配備、軍事費の2倍化で、対中先制攻撃も可能な戦争体制の整備に動き始めた。文字通りの「戦争国家」づくりだ。南西諸島を中国海空軍の東シナ海への封じ込めと太平洋の米空母を身を挺して守る防護バリアから、中国本土に対する先制攻撃も可能な攻撃基地へと変貌させようとしている。中国本土を直接攻撃できる射程1000キロの長距離巡航ミサイルを配備するつもりだ。
 南西諸島の各自治体は短射程の対艦ミサイルを「自衛のため」と受け入れたが、日本政府は自治体や住民の思いを無視して一方的に長射程の攻撃用ミサイル配備を狙っている。まさにこれは「第5の琉球処分」だ。
 もちろん他国に対する攻撃兵器も、その攻撃基地を南西諸島におくことも、専守防衛を投げ捨てる明らかな憲法違反だ。ミサイル防衛ではカバーしきれないからと、直接攻撃力を持ち相手を威嚇することで抑え込む。岸田政権・自衛隊は「抑止力」と言うが、抑止力は侵略戦争の論理に他ならない。

[3]中国を四方から包囲・攻撃する米新戦略に反対する

(1) 沖縄をめぐる戦争の危険、日本の超軍拡の背景には、世界一極支配、その軍事覇権を維持しようとする米帝国主義の野望がある。
 米国は現在、ウクライナ戦争で軍事大国ロシアと戦いながら、主敵としての中国との戦争準備を進めている。米国とはいえ2つの大国を同時に相手にするなど不可能だ。アフガニスタンやイラク戦争でさえ泥沼化し敗退したのだ。だから、オバマ政権が中国を主敵と定めて以降、米の軍事戦略は自国が中心になるのではなく、まるで業務委託(オフショア)するように中国の周辺の同盟国に攻撃・防衛を担わせる軍事構想を具体化している。これが「オフショア・バランス」構想だ。ウクライナ戦争も、ウクライナに挑発させ、欧州各国に重責を担わせロシアの弱体化、あわよくば打倒・分割を狙う、いわば一種の「オフショア・バランス」構想なのだ。

(2) バイデン政権は、今春、対中戦争で4つの方向から攻める新たな「四方包囲戦略」の実現にこぎ着けた。攻撃の戦端を、台湾と台湾海峡だけではなく、朝鮮半島、東シナ海と日本本土・南西諸島、南シナ海とフィリピン・オーストラリアの四方面から開くことが可能になったのだ。
 歴史を振り返ろう。かつて、米帝国主義は、1949年の中国革命の成功と中国共産党の怒濤の前進に恐怖して、建国直後の中国を三方向から攻め上がり、軍事的に叩き潰そうとした(「三路向心迂回」三方向からの中国侵攻)。中央からは台湾の国民党軍と共同の参戦、北方の朝鮮戦争への米軍の参戦、南方のベトナムからの参戦である。バイデンの米帝国主義は、包囲の輪をさらに広げて、四方向から包囲し、攻め上がろうとしているのだ。
 われわれの認識も大きく変えなければならない。今年初めまでは米中戦争は「台湾有事」との認識で反戦キャンペーンを張ってきた。実際、米軍が想定する戦争は台湾海峡だけだった。日本本土と南西諸島以外には中国包囲の攻撃拠点が確保できなかったからだ。
 しかし、今春、米は2つの軍事外交工作に成功し、新たな対中包囲戦略を手にすることになった。
――第1は韓国。朝鮮半島での緊張創出だ。尹政権は、4月の米韓首脳会談で「台湾海峡の平和と安定」の合唱に加わり、軍事外交政策を反中に転換した。米韓軍事同盟を対北朝鮮同盟に加えて、対中国同盟へと対象を拡大したのだ。同時に、徴用工問題と自国の屈辱の歴史を投げ捨て、日本に迎合する方針転換を行った。ミサイル情報のリアルタイム共有や軍事司令部の緊密化など日米韓での軍事一体化を進めている。米戦略原潜の韓国への寄港や戦略爆撃機の飛行なども中国に対する軍事的な威圧だ。
――第2はフィリピン。南シナ海と台湾近辺の緊張創出だ。バイデン政権は5月にフィリピンのマルコス大統領と首脳会談を行い、軍事同盟化と対中包囲網への巻き込みに成功した。フィリピンの南シナ海と台湾海峡至近の場所に新たに4つの基地を米軍に提供させた。南シナ海で米・フィリピンが一体となって領有権紛争を煽り、中国との軍事紛争を起こさせる条件が整った。また、海兵隊ミサイル連隊の配備やミサイル発射基地化、巡航ミサイル搭載爆撃機の出撃基地化も狙っている。
 しかし、ベースは、「台湾有事」が前提になる。トランプ政権時に採用された「海洋プレッシャー戦略」(「オフショア・バランス」構想のアジア太平洋版)の軸が「台湾有事」だ。第一列島線沿いの台湾、南西諸島、日本列島、フィリピンを攻撃拠点と戦場に仕立てる。米軍は挑発や開戦は引き受け、火をつけて回るが、主力はグアム以遠に後退する。戦闘と戦場は専らこれら諸国が引き受ける。ウクライナ戦争のように、全面戦争、核戦争になるからと、米軍主力は、結局は最後まで参戦しない可能性がある。現に、米・NATOが「東方拡大」やミサイル配備でロシアを挑発し、ロシアに手を出させたが、戦場と犠牲を引き受けたのはウクライナだけだ。その証拠に沖縄の米F15部隊はいつでも移動できるローテーション部隊に置き換え、海兵隊連隊も小規模・身軽で被害を避けられるミサイル連隊に再編している。在日米軍は戦いに参加しても極力被害は避けようと動いている。「海洋プレッシャー戦略」とはそういう米軍が前に出ない狡猾な戦略なのである。

(3) 岸田政権は、このような露骨に狡猾な米国の戦略を承知した上で、中国と戦争しようとしているのか!
 信じ難いことだが、政府・自衛隊は、米軍のこの「海洋プレッシャー戦略」に全面的に従属・奉仕する「統合海洋縦深防衛戦略」を打ち出している。「台湾有事は日本有事だ」として、台湾独立を煽って中国との軍事紛争に持ち込み、激烈なミサイル戦争、海空戦を戦い、台湾、日本が被害を全部引き受ける。政府・自衛隊に主体的判断はない。全てが米軍に追随するだけの無責任な自動参戦体制だ。
 その結果、基地だけでなく、空港、港湾や発電・交通などのインフラが壊滅的被害を受ける。市民の甚大な犠牲を甘受する。その上で、来るかどうかも分からない米軍の応援を待つという他人頼みの無責任な自滅戦略に他ならない。その後に残るのは瓦礫の山と経済崩壊した国土、膨大な人命の損失だけである。南西諸島だけでなく、日本全土が戦場となり、かつての沖縄戦と同様の被害を受ける。
 自公政権は元より、メディアも、この無責任で無謀な米日帝国主義の軍事的暴走の危険を明らかにしていない。われわれは、まず、この戦略の危険と無責任、悲惨極まりない帰結を人々に知らせることから始めなければならない。

(4) だが、米国の一極支配の限界が急速に露呈し始めている。軍事覇権とドル覇権で世界を混乱させ分断して支配してきたが、思惑通りにいかなくなっている。全力を挙げたウクライナ「代理戦争」も、大量の兵器・財力の投入、全面制裁をしても、ロシアを打倒できていない。社会主義中国の防衛力強化が進み、習近平時代以降、アヘン戦争以来の西側帝国主義に対する「屈辱の世紀」に対する党と人民の結束も格段に強くなっている。今日の中国は、米国の挑発と脅迫に屈した海南島事件時(2001年)の中国ではない。米はもはや核戦争でも通常全面戦争でも、中国に容易に手出しできないのだ。地球規模で見れば米帝の軍事力は優位に立つが、中国周辺では介入を許さない軍事的均衡ができつつある。先の「四方包囲戦略」はこの均衡を再逆転する方策なのだ。
 米帝は、国際的な政治的・階級的力関係の面でも後退しつつある。社会主義中国の発展と平和共存=多極化世界秩序の進展が米帝の政治覇権を突き崩しつつある。先のG7広島サミットは、米帝を盟主とする一握りの西側帝国主義では世界を支配できないことを暴露した。G7はもはや過去のものとなった。長期にわたり中東・アフリカで戦争や民族・宗派紛争をかき立ててきたが、サウジ・イラン、サウジ・シリアなどが中国の外交攻勢で和平へ動き始めている。米国の「裏庭」と慢心するラ米カリブ地域でも、社会主義、社会主義指向諸国、左翼的・進歩的諸国が米帝の支配欲に立ち向かっている。
 今年に入って、米帝のドル・金融制裁の乱用に危機感を抱いた新興・途上諸国が一斉に、「脱ドル化」の道を追求し始めた。米帝が乱用する制裁や「デカップリング」や「デリスキング」への反発が同盟国からも出始めた。
 もちろん、米帝国主義が一極支配を自動的に放棄することはない。必死になって巻き返し、中国を弱体化させる企てをやめない。台湾や新疆ウイグルやチベットで「カラー革命」を煽動し続け、中国の分裂を挑発し続けるだろう。
 しかし、もはや米帝=西側帝国主義が軍事覇権やドル・金融覇権で脅せば中国や新興・途上諸国を黙らせられる時代ではない。粘り強く闘えば、必ず矛盾・弱点は露呈する。われわれはそう確信する。反戦運動は、社会主義中国と多極化世界がつくり出す米帝一極支配の弱点、新しい力関係、新しい時代認識を見抜くことが必要だ。

[4]沖縄の人々と共に、対中戦争阻止・平和外交を掲げて闘おう

(1) われわれは過去の侵略と植民地支配の過ちを二度と繰り返してはならない。天皇制軍国主義日本が、中国をはじめアジア・太平洋諸国の数千万の人民を殺りくし、略奪と破壊と人権蹂躙、暴虐の限りを尽くしたこと、その加害責任を忘れてはならない。
 同時に、本土のわれわれは、沖縄に対しても加害者の側にある。その意味で二重の意味で加害者であったことを自覚する必要がある。それゆえ、沖縄を再び戦場にする対中戦争準備、中国の内政に介入し台湾独立を唆し中国を分裂させるような戦争行為を絶対に許してはならない。

(2) 本土のわれわれの反戦運動は初歩の初歩から始めなければならない。
① 最大の課題は、岸田政権が推し進める対中戦争準備の危険性と切迫性を人々にどう訴えていくかだ。政府が対中戦争準備を進めながら、日常生活では何も起こらないかのような幻想が蔓延している。それをどう打破するかだ。
 「海洋プレッシャー戦略」(「オフショア・バランス」構想)の危険を広範な人々に知らせていこう。この戦略が教えるのは、「今度捨て石にされるのは沖縄だけではない。日本全土だ」ということだ。沖縄は一度捨て石にされたので敏感だが、本土も他人事ではすまない。
 沖縄では、南西諸島の基地化や避難訓練、「命どぅ宝の会」などの取り組みを通じて、切迫感が増している。ところが本土では、「安保3文書」についても、「台湾有事」の「有事」が戦争であることすら認識されていない。メディアが全く取り上げないのだから当然だ。そこにわれわれの特別に重要な任務がある。
② 対中戦争が沖縄だけの問題ではないこと、本土のわれわれの問題として訴えていこう。戦場にされるのは沖縄と南西諸島だけはない。対中戦争となれば本土の在日米軍基地もフル稼働し、攻撃対象となる。それだけではない。自衛隊の全イージス艦がトマホークミサイルを装備し、自衛隊の航空機が長距離巡航ミサイルを積んで出撃すること、つまり全国の自衛隊基地が対中攻撃兵器を配備された攻撃基地になるのだ。日本全土が戦場になることを訴えていこう。
③ 岸田政権が進める超軍拡と軍事費倍増も、軍事費大増税も、社会保障や医療・文教予算の削減も、人民生活の全面的な負担増も、全てが対中戦争準備であることを暴露しよう。
④ 「中国脅威論」、反中・嫌中宣伝に反撃しよう。政府・メディアは、反中・嫌中プロパガンダで人民大衆の意識を好戦的な方向へ操作し、反戦意識を曇らせようとしている。維新や国民民主だけでなく立憲民主、共産党も含めほとんどの野党が「中国脅威論」では一致している。国会の翼賛化をどう打破するかも重要だ。
⑤ 岸田政権は、悪法を次々と強行可決している。今国会で「安保3文書」を具体化する「防衛費財源確保法」など軍拡法案が強行されると、いよいよ9条を軸とする明文改憲に着手するだろう。夏以降来年にかけて改憲反対闘争が最大の課題にのぼる。
⑥ 岸田政権に日中平和友好条約の基本原則に立ち返るよう要求しよう。対中戦争ではなく、日中平和共存の意義を訴え、地域・草の根の日中交流の取り組みを強化しよう。

(3) 沖縄と本土の闘いの交流、連帯を進めよう。
① 沖縄で、対中戦争の最前線基地化・軍事要塞化に反対し、日本政府に「軍備よりも外交」を要求する新たな闘いが始まっている。長距離ミサイル大型弾薬庫建設反対の運動も始まろうとしている。「命どぅ宝の会」を先頭に、「島々を戦場にするな」「沖縄を平和発信の場に」を全県的な運動に、さらに全国へと広げていこうと奮闘している。この先駆的な闘いを知り、連帯し、続こう。
② 沖縄県議会の代表団は4月下旬、「安保3文書」を批判し、「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取り組みを求める意見書」を日本政府に提出した。意見書は、軍備増強が地域の緊張を高めており、沖縄が再び「標的」となる不安が県民に広がっていると指摘し、日本政府に対し1972年以降に中国政府と合意した諸原則の遵守と日中友好、問題の平和的解決を要求した。日本政府は無視を決め込んだが、沖縄人民の切実な要望を代表するものだ。さらに沖縄を「万国津梁」(琉球を万国の架け橋にして貿易によって栄える国にすること)にしようという運動も始まった。7月には玉城デニー知事の訪中も計画されている。
③ 本土の反戦運動は大きく立ち後れている。しかし沖縄の危機感を共有し、共に対中戦争準備を阻止し、日中平和共存を求める気運が、まだまだ限定されたものだが少しずつ高まり始めている。三上智恵監督の「沖縄、再び戦場へ」(仮)スピンオフ上映会が各地で取り組まれている。この上映会運動を通じて沖縄との危機感の共有をさらに強めよう。
 「中国脅威論」を暴き出し、岸田政権に対中平和共存と平和外交を要求しよう。アジアと世界における戦争と緊張の張本人=米帝国主義とそれに付き従う日本帝国主義に矛先を向けて闘おう。沖縄人民と共に、「台湾有事」策動、対中戦争計画を阻止しよう。

2023年6月8日
『コミュニスト・デモクラット』編集局

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