軍事独裁クーデターを阻止した韓国人民に連帯する

若い世代が尹弾劾の最前線に

 昨年12月3日の韓国尹大統領の「非常戒厳」宣布は、武力を用いた軍事クーデターであり、ファシズム独裁を狙ったものであった。与野党の党首、国会議員、労働組合幹部らの逮捕、議会の解体、警察による報道機関封鎖、逆らう者に対する射殺命令など、ブルジョア民主主義を根底から破壊するファッショ的計画の詳細が明らかになりつつある。1987年の民主化以前の軍事独裁体制へと逆転させようとしたのだ。断じて許すことはできない。
 韓国の労働者・人民は、即座に反撃に出た。3日深夜から国会に集まり、野党議員らとともに戒厳軍の武装兵士と直接対峙し、わずか6時間で戒厳令に終止符を打った。その後も労働者・人民は数十万から100万、200万人を動員して波状的に反撃を加え、尹を内乱罪で逮捕することに成功した。
 その背景には、軍事独裁政権を打倒し民主化を勝ち取った韓国人民の闘いの伝統、とりわけ一昨年来、尹政権退陣デモが毎週土曜、欠かすことなく数万人規模で行われてきた驚嘆すべき闘い、そして民主労総を先頭とするストライキ闘争があった。今回特徴的だったのは、20代・30代の女性がこの運動を牽引したことである。参加者の3割以上を占めたと言われる。Kポップの曲を歌い、ペンライトを振って尹弾劾の最前線で闘う若い女性の姿は、日本の広範な若者にも共感を呼んだ。われわれは、尹大統領を逮捕・弾劾裁判へと追い込んだ韓国の労働者・人民を支持し連帯する。

今も続くファッショ化の危険

 しかし与党「国民の力」は尹支持で巻き返しをはかり、支持率を野党「共に民主党」と並ぶほどに急回復させた。「内乱」は決して終わっていない。戒厳令を強行した尹支持派は、軍を含め権力機関を今なお事実上掌握している。第2次戒厳令の危険、ファッショ化の危険は今も続いている。1月19日には、尹大統領と「国民の力」、極右牧師ら反共極右勢力の煽動で、尹支持の極右反動大衆が裁判所を襲撃する「1・19暴動」を引き起こした。尹支持の極右勢力は、弾劾審判と内乱罪捜査を執拗に妨害し、尹大統領を守り抜こうと躍起になっている。
 韓国においても、先進諸国で共通して広がるネオファシズム勢力の台頭、その基礎にある労働者・人民の窮乏化と二極化の急拡大、社会的分断の固定化が存在している。その中で政権内の尹一派、「国民の力」、プロテスタント右翼などの極右層が結集し、総選挙での「不正選挙」を煽り、北朝鮮敵視、中国嫌悪、女性蔑視などに取り憑かれた若者を中心に一定層を取り込んで、尹弾劾に反対する「暴動」の最先頭に立ったのだ。それは、軍事独裁体制を支持する反共極右の強固な社会的基盤が今も存在する韓国の現実を浮き彫りにした。
 現在、尹弾劾裁判と民主党李代表の選挙法違反裁判、この2つの判決時期と大統領選をめぐる与野党対立が激化し、政治的危機が深まっている。韓国のブルジョア民主主義は重大な岐路に立たされている。

戒厳令の狙いは軍事独裁体制の樹立

 尹の戒厳令発動の目的は結局、何だったのか?それは第1に、反中・反北朝鮮・反共で戦争挑発して与党独裁、軍事独裁体制を樹立することだった。米日韓軍事同盟がその土台であり、その危険性を露わにした。尹大統領による昨年10月の対北戦争挑発とドローン攻撃は、朝鮮半島での戦争誘発を目的とした戒厳令の布石であった。
 第2は、米日韓同盟を盤石にするための「日韓正常化」の維持である。それは、米日政府が、日米韓による対中包囲網を形成する上で、最大の障害となっていた日韓対立を解消するために、徴用工問題で日本政府・企業を免罪する屈辱的な「解決策」を韓国に受け入れさせたものであった。韓国の労働者・人民は、日本の侵略と植民地支配の責任を不問に付す「屈辱外交」を尹弾劾の理由の一つとして怒りを集中した。

日本政府の「屈辱外交」強要を許すな

 今年は、朝鮮半島解放(光復)80年であると同時に、日韓国交正常化60周年である。われわれは改めて、韓国に「屈辱外交」を強要した日本政府を批判する。日本の植民地支配の責任、戦争責任・戦後責任に真摯に向き合い、日本政府・企業に対して謝罪と賠償を求める声を広げていかなければならない。日米韓軍事一体化による対中戦争準備を阻止するために闘おう。

2025年2月4日 水

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